第3話 先生は猿

「ふわ~あ」


日が差してきて目が覚めた。

そして自分の周りを、自分の体を見る。


「ははっきたねえ。やっぱ血を飲むのには限界あるよなあ…水が欲しい」


衣は望み薄。食の確保は殺せば行けそう。住?森だろ。


「水~。雨~」


前まで外で遊べなくなる雨を嫌っていたのに…今は降ってほしい。毎日でもいい。


――「ほら高いでしょ?あそこが家だよ~」


思い出した…名前も知らない塔に登ったときのこと。


「…登ってみるか。この木」


数十分後…


「登れん!」


昨日、切り倒したときは気づかなかったが枝って思ったより高い所にある。届かん。どうやって登るんだ?サルってどう登ってんだ?


というわけで俺はなんとサルを探すことにした。

昨日まで逃げ回ってたのに。

まあ今なら勝てるし。


いた。結構大きいし牙やばいけどサルだ。

木に抱き着いて…腕と足でスルスルスル。

枝まで行ったらもうスイスイ。


「わかった!」


やってみよう。


木に腕を回して。足もまわ…


ズルッ


ドテッ

背中から落ちた


「いてえ…むう…靴邪魔!」


俺は靴を投げ捨てた。


「よし。行ける」


同じように登っていく…足いてえ!!


「なんか刺さる!けど…」


昨日の狼にやられたのよりは痛くない。


そこからチャレンジすること1時間ほど…


「ははは!きた~!」


俺は雲に近づいていた。


「さてと、あとは簡単。枝から枝にひょいひょいっと」


はは、下にいるよりよっぽどいい。気持ちいい。


ボキッ


「ん?」


ボキ?


「あああああああ!!!」


落ちた。背中打った。やば息できない。


「かはっかはっ」


アッさっきのサル。何見てんだ…?


「キキッ(笑)」


💢


「殺す」


俺はあのクソ猿めがけて木を登る。背中痛。


「キキッ」


くっそ…尻叩いて挑発してきやがる。てか早いなおい。


「上まで来ても…枝が折れたら…」


さっきみたいに落ちる。


ならどうする?


「たしかこう」


よし行けた。


「クソ猿。お前の動いた通りに行けば折れねえんだろ?」


追いかけっこだ!!


猿のルートを同じようにたどる。


「ほら、落ちない、折れない」


それでも…追いつけない。


「速い…」


それでも何十分と追い掛け回しているうちに木の上での移動法が分かってきた。


「逃がさない」


ゴツッ


「あう…」


何か頭に飛んできた?


キキキキキキキキキ


いつの間にか猿に取り囲まれている。


「仲間?」


ゴツッ、ビッ


肩と足…血も出てきた。


「痛て、石?」


こいつら石投げてきやがる!!!


シールド


ふふっ。


「野生動物ってすげえなあ。石投げて攻撃か…なんで考えなかったんだろう」


さっき投げられた石。枝に引っかかってるやつがあるから拾う。


「フンッ」


全力投球。


「キキッ!?」


猿の1匹に当たった。


「うしっ!ってあれ?」


倒れない?

弱すぎた?


「「「「「「「「キキーーー!」」」」」」」」


やばっ

猿が俺目掛けて一斉に石を投げてくる。

何個か当たる。痛い痛い。


「クソ…」


枝を伝って移動しながら身を隠す。でも群れの追跡は恐ろしい。


「うきー」


「見つかった!」


石が飛んでくる。


パシッ


俺はとっさに、何も考えずそれを掴んだ。


「行ける!」


そして掴んだ石を投げ返す。


「よしよしよし」


攻防一体カウンター戦法。


「投げてこいや!全部投げ返す!」


そこからは石の投げ合い。当然1人しかいない俺の傷が増えていく。血も出てる。それでも…


「ウキ~!!そこ~!」


血だらけになり、多くの生傷を負いながらも俺は石合戦を続けた。


ここ、来る、キャッチして、後ろに投げる。ついでにあっちに飛び移って避ける。

後ろにいるけど…石持ってないでしょ。俺はまだ持ってるぞ。

当たり。1匹下に落ちた。横から…ナイスキャッチ。


「今日はゆっくり寝れそうだなあ」


もう殺気を感じる。見なくてもなんとなくわかる。こいつら…これが本能で出来るから寝れたんだな…


「あっ水を探しに来たんだ。まあいいか今日も血で」


もう疲れた。


「ゼーレ」


俺はとうとう剣を使う。

剣を出した瞬間サルたちが引いていくのが分かった。


「逃がすわけないでしょ」


俺はゼーレを投げた。猿一匹貫く。


「次、ゼーレ」


念じたら、さっき投げたゼーレは消え、おれの手元にゼーレが戻ってきた。


――【大丈夫、もう君の中にある】


俺の中にあるんだもんな。


また投げる。手元に戻す。猿の動き方が手に取るようにわかる。ずっと追いかけっこと石合戦してたんだ。当然。


少しすれば群れを壊滅させていた。


「今日のご飯だな」


ぴちゃ


「ん?」


ポツポツ


ザー


「雨だ…」


てことは?


「水だ!!きた!!!!」


俺は天を仰いで、口を開けて雨を飲む。


「水うま、体も洗おう」


もう血が固まってしまったがそれでも体を洗う。服…暖かいけどもうボロボロ…いらないか。


「は~生き返る」


汚れが取れる。のども潤った。

幸せ…


「ハックシュン…寒いなあ」


服…ないと結構違うなあ…


「次はいつ雨降るかなあ…」


雨で出来ることはもう済ませてしまった。


「コップでも用意しとけばよかったかな」


今日のご飯はびしょびしょの猿肉だった。


――あとがき――

さて問題です。この主人公の名前は何でしょう?


面白かったり、やべ、なんだっけ?ゼーレ?とか思った方は星やコメントやレビューお願いします。


ちなみにゼーレは剣の名前なので違います。答えは読み直して確認してください。

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