第2話  森のルール

「なんだったんだろう…エルタ…」


結局エルタのことについては何もわからない。


「どうしよう…ハイムに戻れるかな」


未だにモーテは森の中である。


歩こう…

歩いてればいつか外に出れるはず…

そう思い立ち上がる。そして歩き出した。

だがすぐに止まった。


明らかにこっから先に進んではいけないと本能が告げた。


「エルタ?」


目には見えない。どこにいるかもわからない。でも…この殺気はエルタだ。

なんで?


「こっから先に入っちゃいけないってこと?」


分からない。しかしエルタはついていっていいか聞いた時もダメと首を振った。


「森のルールがあるのかな?」


もしあるなら仕方ない。逆方向に向いて歩いていく。


「誰かいないかなあ」


出来れば人に会いたい。

しかしそんな甘くはなかった。

しばらく歩いていたら足にくる。疲れてきた。


「はあ、はあ、何もない…」


シャアアアアア


「何!?」


とっさに飛びのいたら目の前には大きな蛇がいた。


「わあああああああ!!!!」


一目散に逃げだす。


「でか、でか、気持ちわる~!!!!」


わめきながら走る俺。でも疲れもあってすぐ転んでしまった。

振り向いたら大蛇が口を開けている。


アッ死んだ


【もう…サービスだよ】


するとまたあの声。そして…

いつの間にか俺は剣を手にし、蛇に突き刺していた。


「なんだ…これ」


でも確信した。

いつでも俺はこの剣を取り出せる。ただそう考えただけで念じただけで…この剣は消えるし出てくる…!


「はあー----!」


俺はもう一度振りかぶって蛇にとどめを刺した。


「あ~軽い」


何か吹っ切れた気がする。あのエルタのくれた鳥を食べて少し。この蛇殺しで完全に。今まで意識していなかったが…俺たちは生物を食らって生きてる。


「これを繰り返して生きていく…」


そうして周りを見てみると…どうにもこうにも…結構この森は動物いるなあ…

疲れてたからか、血の匂いに寄ってきたのかわかんないけどさっきまで全然気づかなかった。


「蛇ってどうやって食べるの?」


流石に鳥とはまた違う…かぶりつくのは嫌だ。


――「モーテ、料理中は近づいたらだめよ。危ないからね。やけどしちゃうよ」


「燃やせばいいのかな?」


でも火の魔法を習ってない。というより魔法で習ったことが身を守るためのシールドしかない。


「火ってどうやったらつくんだろ?」


魔力の感じ方はわかってる。シールドのときにやった。


「適当にイメージして…ファイア


ちょっとだけ暖かい魔力が出た。


「できない…」


そうなると…またあのまずいやつ食べないとか…しんどいなあ

それでも生きるためにはやるしかない。


「もっと食べやすいやつ探そ」


それでも蛇はヤダ。気持ち悪い。

喉が渇く。


「また血を飲むのもなあ…」


あれも美味しくなかった。

ただこの空腹、喉の渇きはまだましであった。


地獄はここからである。







エルタと別れて初めての夜が来た。

瞼が重くなってきたので眠ろうとする…寒いし寝心地はとても悪い地面。


「適当に…草でも何でも集めてから…」


流石に上に何かないと寒すぎる。

疲れ切った体に鞭を打って動く。暗い。


ホーホー

ガサガサゴソゴソ


「夜の森って…騒がしいな…」


ガサッ


「エルタ?」


一瞬エルタかと思った。暗くてよく見えなかった。しかし目を見たらすぐわかった。


「違う!!」


まじの狼!


飛び退いて逃げる。痛った!!


腕から血が出る。


「うぅ」


一目散に逃げだした。

つい10秒前までもう体動かせないとか思っていたのに…今一番早く走れてる。


ゴツ


何かにぶつかった!?違う動物!?大きい!!!


「うわあ~!!!ゼーレ!!」


俺は何も考えずにあの剣を出して振った。


「ガウッ」


よく見えない…それでも切った感触があった。


ズズッ


「え?これ?木か?」


何かにぶつかったと思ったのは木だった。切ってしまった為そのまま…


バキバキバキ


枝が折れながら倒れていく。


「はあ…狼の方は?」


だいぶ暗さに慣れてきた。

いた…まだ生きてるけど…結構切ったっぽい。動けてない。


「いってえ~。ここでとどめを…」


そこで気づいた。口をついて出た言葉。


「この剣…ゼーレって言うのかな?」


俺は剣を振って狼にとどめを刺した。


「キキッ」


すぐに倒れた木から何か出てきた。人??


「ウキ~」


違う!サルか!


「寝てるとこ起こしちゃったのかな?」


ただ次の瞬間飛びかかってきた。


「うわ!」


俺はゼーレを突き出す。

見事にサルに刺さった。


「もう…なんなんだよ~…」


しんどすぎる…


「はあはあ」


俺は仕留めた狼とサルを運ぶ。そしてその死体の下で眠った。

ほんの少しだけ暖かかった。


のに…


ほんの数瞬後


「なんでこんなに動物がいるんだ!?」


俺は寝ることが出来ずにまた謎の剣ゼーレを握っていた。

逃げたい…


「エルタ~助けて…」


しかしエルタは今いない。


「どしよう…眠い。寝たい。やばい」


そんなこと考えているうちも敵の獣は血の匂いに釣られて襲ってくる。


シールド


弾けた。剣を一閃。

さっきと違ってあっさり倒せたな。

そうか…魔法というのを獣はよく知らないのか。急に弾かれたと同じだもんな…

てことは?


「ふう…早く寝たいから来いよ」


獣ってのは殺気や敵意を感じる力はあるらしい。

一気に襲ってきた。


シールド


それを弾き返して。

剣を振る。


「はは、簡単じゃん」


殺しまわった獣の血の海で俺は眠った。

何故かこれ以上敵は寄り付かなかった。


――あとがき――

カクヨムコンに出してます。


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