第2話 これが本物のクロスオーバー!!(BL注意)

 ここはどこだ? 白くて何もない。まるで、箱にでも入れられたような感覚だな。いや、何もないわけでもねぇか。なぜか布団がある。

 この状況で寝ろと? いくら俺が普段から寝るのが好きだからって。こんなところで寝ろなんて不可能だろうが。どこの馬鹿がこんなところで寝るんだよ。


「…………カクリ」


 …………返答はない。俺だけがここに放り投げられたという事か。


 ――――ガタン!!!


「ちょっと!! こんなところに放り込んでどうするつもりなのさ!!」


 なんだ、餓鬼の声? なんか、慌てたような声だな。


「あぁ?」

「え?」


 なんだこいつ。餓鬼…………では、ないな。俺とそんなに変わらん歳か? 


「えっと、こんにちは」

「…………だれだ」

「えぇ、挨拶してくれないの? しょうがないなぁ。 僕は京谷要きょうやかなめ。さぁ、僕は名前を言ったよ。これで君は自己紹介してくれるよね」

「…………ちっ。筐鍵明人きょうがいあきと


 こいつ、読めねぇな。考えるのもめんどくせぇし、とりあえず余計なことを言わねぇように必要最低限なことしか口にしないようにするか。


 見た感じの感想になるが。こいつは一般人ではない。雰囲気が今までの依頼人と違う。何か思ってるかもしれねぇけど、それを巧みに隠してやがるな。


「それだけ?」

「ほかに何を言えってんだよ」

「んー---。趣味とか?」

「必要ねぇだろうが。意味がないことはしたくねぇんだよ」

「えぇ。まぁ、いいけど。とりあえず、ここはどこ? 君は、なんでここにいるの?」

「知るか。いつの間にかこんな所に連れてこられたんだよ」

「連れてこられたってことは、僕と同じ?」

「みたいだな」


 こいつも考えてんな。何でここに連れて込めれたのか。

 正直、全く意味が分からん。俺はこいつを知らねぇし、こいつも俺を知らねぇ。共通点が全くない俺達を、なぜこんなところに。何かに巻き込まれたのは明らかだが…………。


 ちっ、カクリがいねぇと力を使えん。体力が持たねぇし、知らん奴に頼りたくねぇ。今後、恩とかなんとか言われてもめんどくせぇし。


「あ、ドアに何か貼ってあるよ?」

「何が貼ってあんだ?」

「紙」

「文字とか書いてあるか?」

「こっち来てみたら? 自分で見た方がいいと思うよ」


 ちっ。まぁ、そうだな。警戒し続けても俺が疲れるだけだし、何かあれば、その時対処するか。


「何が書いてあんだよ――――あ?」


 ”○○しないと、出られない部屋”


 …………これは、あの定番の部屋か? ドアはガタガタ音鳴らすだけだし、紙は取ろうとしても何で貼られてんのかわからんくらいがっちり貼られてる。


「これって、定番のあの部屋?」

「らしいな。知ってんのか?」

「有名だからね。でも、なんで僕たち?」

「知るか。この部屋を作った奴に聞け」

「聞きたいけど、誰かわからないから無理じゃん? そもそも、ここから出られないし。出る方法ある?」


 あったら速攻で出とるわ。


「布団があるのが生々しいよねぇ」

「だまれ」

「あれ、もしかしてそっち系はだめな感じ?」


 答えるのも馬鹿らしいな。


 ここの部屋。なにでできてるんだ? ドアも。鍵がついてねぇのに開かない。カクリと同じ魔力で閉じてんのか? それとも、単純につっかけ…………いや、つっかけはちげぇな。


「僕の質問は無視なの? ねぇねぇ、お兄さん。無視なの?」


 こっちは考えてるのに、頬をつついて来る餓鬼。うぜぇ。


「おい、お前もここから出る方法考えろや」


 こいつの手をへし折ってやろうか。


「うーーん。そうだね。いつまでもここにいるわけにはいかないし、小夜ちゃんが心配しちゃう」

「小夜? なんだ、ませがき。いっちょ前に彼女か?」

「気になる?」

「どうでもいいわ」

「つれないなぁ」


 ん? いきなり、布団に向かって何してんだ? 


「この家主の通りに動くのって、なんか癪だよね。君もそう思うタイプだと思っているんだけど、違うかな?」

「…………知ったような口きいてんじゃねぇよ」

「でも、そうでしょ?」

「…………」


 こいつに主導権握られているように感じて、胸糞悪いな。


「だが、どうするつもりだ」

「んー…………。正直、僕はなんも役に立たないと思うよ? だから、お兄さんが考えてよ」

「結局かよ……」


 つーか、本当にここは、あの例の部屋なのか? 伏字になってるし、俺達が変に知識持っているせいで勘違いしている可能性がある。

 だが、だったら何をしたら開く。


「……………お兄さん?」


 なるべくなら俺達が想像している方法はやりたくない。つーか、やる訳にはいかねぇ。簡単に手を繋ぐとかだったら楽なんだが。


「お兄さん、おーい」


 いや、2文字の伏字ということは2文字の言葉か? 俺達でもできる二文字の言葉。考えんのめんどくせぇな……。


「筺鍵明人さーーん。無視ですかー???」


 とりあえず、色々試すしかねぇか。知らんやつとこのままこんなところにっ?!?!


「おっも!!!!」

「あ、やっと気づいてくれた。さっきから声掛けていたんだよー? 酷いなぁ」

「いいから、降りろなクソ餓鬼!!!」


 いきなり右腕に重しが………。腕が外れるわ何抱きついてやがる!!!


「おま、マジで外れる外れる!! さっさと手を離せ!!!」

「すごい!! 明人さんって見た目によらず力があるだね!! ねぇねぇ、このままブランコみたいにしてもいい?」


 ────ブチッ


「いい加減にしろやこのくそ餓鬼ぃぃいいいい!!!!!」

「いったぁぁぁああい!!!!!」


 っつぅ!!!! 殴った拳が痛てぇ。こいつ、石頭かよ……。まぁ、離れたからいいわ。


「はぁ、てめぇ考えてんのか?」

「考えるのは明人君の仕事でしょ?」

「おめぇ、君はないだろ君は」

「今までどんな呼び方しても突っかかって来なかったのに君はダメなの? なら、これからは明人君って呼ぶね!! ここであったのもなにかの縁だし、これからもよろしく!」


 握手を求めてきやがったこいつの手をへし折ってもいいか? いや、いいよな。もし何かヤバいことが起こりそうならカクリに伝えて記憶を抹消すればいいそうすれば問題ないな。


「はぁ………。ここだけだと思うけどな」


 馬鹿な考えは辞めるか。ひとまず握手。そうしねぇと今後うるさそうだしな。


「それで、どうすればいいかまとまった?」

「ひとまず、手を握るは除外されたな」

「へ?」


 握手をしてもドアは開かなかった。なら、次は……。


「え、何してんの?」

「頭撫でてる」

「なんで?」

「もしかすると、条件は俺たちが想像しているようなものじゃないかもしれないからだ。色々試してみる」

「あ、そう……」


 頭を撫でるもダメか。なら次……


 ~1時間後~


「やっぱりセッ○スしか方法ねぇのか?」

「伏字になっちゃってるよ明人君」

「伏字にしても通じるやつには通じるのに意味ねぇよな」

「そういう問題じゃないと思うよ。それに、なんで僕は抱きつかれたり頭を撫でられたり、抱っことかおんぶとかさせられたの」

「俺がされるのは癪だから」

「…………そっかぁ」


 何をやってもダメだったなぁ。なんなんだよこの部屋。この部屋ごと壊してやりてぇな。


「あ、まだ試してない方法あるよ?」

「あ? なんだよ。セッ○スはしねぇぞ」

「それより少しまでの段階のこと!」


 前の段階だと?? どゆことだ?


「ふふっ。えい!!」

「──っ!」

「へへっ、どうだ!!」


 ────ガチャ


 あ、ドアが開いた………え? 

 な、何が起きた今。頬に、何やら柔らかいものが………。え? 


「あ、開いたね。早く行こうよー」

「…………ナニヲシタ」

「え? キス」


 あぁ、キスか。なるほど。伏字はキスだったのか。たしかに二文字だし、納得いくな。うんうん。


「って、はぁぁぁぁぁぁあああ!?!? お、前!! 彼女いるんじゃねぇのかよ!? 俺を変なことに巻き込むな!!」


 ふざけるなよ。浮気しただの、慰謝料など言われたらたまったもんじゃねぇよ。つーか、男が男に普通するか? 戸惑う事せずするか?

 やっぱりこいつは普通じゃねぇ。巻き込まれねぇように逃げるか。


「ん? いないよ? だから安心してよ!!」

「…………へ? い、ない? いや、いないにしてもよ…………」

「ついでに言うと。僕、男も女も。どっちもいけるよ?」


 悪寒。やべぇ、こいつ、やべぇ。笑顔でいい放ちやがった。


「ま、まぁ、いい。ひとまず開いたし、行くか」


 早くここから出よう。俺の身体を守るために。


「明人君! ちょっと待ってよぉ~。もっと、楽しもう?」

「後ろから抱き着いて耳に息を吹きかけるなぁ!!!!」


 何なんだよ!! こいつ!! 確かに俺は美形だが、今は素で話してんだぞ!? 少しは距離感意識しろや!!


「照れてる? ねぇ、照れてるの? 明人くーん」


 ……………………イラ。


 ――――バコン!!!!!


「いったぁぁぁぁぁぁぁい!!!!!!」


 後で頭を抱えてるこいつは知らん。俺は行く。


「あ、待ってよ、明人君!!!」


 はぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ。なんか、匣を開けるより何倍も疲れたな…………。


 後日談


「あ、明人君!! ここで会うなんて奇遇だね!! って、なんで逃げるの?」

「俺のケツを守るため」

「もう、それから離れようよ。もしかしてやりたいの?」

「やりたくねぇから逃げてんだが?」

「僕は明人君ならいいよ?」

「そうだな。なら、まず俺の話を最後まで聞き、理解して話せるようになってから言え」

「してるのになぁ」

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