EX.勇者
攫われたクラスメイトを探すことに大賢者様の協力は得られなかったが、国王の協力は得られた。
ただ、ウィーン帝国でも行方不明になっている人がいるらしくその捜索のついでという形になるらしい。
自国よりも優先するとなると、優秀な人材だったのだろうか。
「アメリア、終わったよ。次は何をすればいいかな?」
「では、この書類をお願いします。…本当に手伝っていただいていいんですか?」
「うん。というか是非やらせてほしい。僕たちに関係する仕事だし、捜索も国に任せちゃってるからね」
僕たちはやることが無いので、クラス総出でアメリアの仕事を手伝っていた。
内容はもちろん僕たちが狙われている件だ。僕たちを狙っている勢力だが、最近になって動きが大きくなってきたのだ。とはいっても襲われるとか毒を盛られるということはなく、いわゆるハニートラップみたいな物だった。城内を歩いている時にどこかのご令嬢がお茶会やパーティーなどに誘ってくるのだ。
最初のほうにアメリアから注意を受けていて良かった。そうでなければ頷いていただろう。
「あっ、勇者様。お疲れ様です。姉の仕事を手伝っていただきありがとうございます」
「大丈夫だよ、レイネシア。僕たちに関係することだから問題ないよ」
レイネシアはアメリアの妹なのだが、幼いころから変に大人びていたようで一部の貴族から避けられているようだ。アメリアに聞いたところ少し前までは取り込もうとしていた貴族もいたらしい。
しかし、レイネシアが簡単に対応してみせたことでそういう貴族は大分減ったらしい。
まあ、確かに大人びてはいる。ただ、それがなぜなのかはアメリアにもわからないらしい。
「勇者様?」
「ああ、ごめん。考え事をしてた。レイネシアも巻き込まれないように、気を付けてね」
「はい、ありがとうございます。私はこれで失礼します」
そういうとレイネシアは歩いていった。
「これを利用すれば・・・」みたいなことをつぶやいていたが、勉強だろうか?暇があったら今度教えてあげよう。
とりあえずは仕事を頑張ろう!
翌日。
今日は僕たちの仕事はなく、別の予定がある。
剣の訓練だ。今までも城の騎士に教えてもらったり、魔物相手に特訓したりはしていた。
しかし、今日は特別講師的な人が来てくれるらしい。
「ねえねえ、特別講師って誰なんだろうね」
「うーん、高ランクの冒険者とかじゃないかな?」
流石に大賢者様は剣を使わないだろうから、他に特別講師として招かれるのは普段は城に入れない冒険者ではないだろうかと思ったのだ。
普段から使っている訓練場の前につくと・・・
「特別講師の方が1人づつ見たいということなので最初の1人以外は控室でお待ちください」
メイドの人にそう言われたため、僕たちは控室に移った。
ちなみに、僕は一番最後にしろと言われているらしい。
・・・
「次の方、どうぞ」
「結構呼ばれるペースが早いね」
「そうだね。もしかしたら面接みたいなものなのかもしれない」
剣の修行と言われていたから勝手に模擬線だと思っていたが、スピード的に違うかもしれない。
・・・いや、模擬線だけど特別講師がものすごく強いという可能性もあるのか。
少し経って、僕の番になった。
「勇者様、どうぞ」
「はい。…あの、何をするんですか?」
「他の方と同じく、模擬線です」
模擬線。つまり、あの短さで全員倒したということなのだろう。
中にいたのは赤い髪に
…どこかで見た気がする。
「君が今代の勇者か。僕はヴェルト・ヘスティア。
そうだ。確か城のどこかで肖像画を見たんだ。
本人は一応などと嘯いてはいるが、剣聖は彼しかいないだろう。これまで何度も活躍を聞いていた。
「剣聖だから特別講師ということですか。あなたに教えてもらえるというのは嬉しい限りです」
「勇者にそういってもらえて僕も嬉しいよ。これは頑張らなければ」
僕は強くならなければいけない。せめて、あのドルドという奴を倒せるくらいには。
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