EX.シーア

私ことシーアは少し『暁』に居づらくなっていた。『暁』のパーティーメンバーは人のギードとリト、獣人のレーミア、そしてエルフの私だ。

少し前まではいいパーティーだった。しかし最近、何があったのかはわからないがギードとリトの仲が悪い。しかもレーミアがリトを擁護するので、ギードとレーミアの仲まで悪い。

そんな中、私たちはトレントの討伐依頼を受けた。数は多いらしいがトレント位なら今の状態でも大丈夫だろうと思い、何も言わなかった。


トレントが多く目撃されたという木の洞に入る。洞でも仲が悪いので、やはり居心地が悪い。

その時『暁』全員が隠し部屋から出てきた蔦に引きずり込まれた。

そこにいたのは、トレントではなくエルダートレント。その姿を見て私は、抵抗を諦めて仲間のほうを見る。

死んでいた。木と相性のいいエルフは木の魔物にも殺すのを躊躇されるようだ。

・・・どの位時間が経ったのかはわからない。わかるのはエルダートレントに自分が取り込まれてようとしていることだけ。死にたくなくて咄嗟に悲鳴をあげる。そこで私の意識は途切れた。


翌朝。私は起きた。そのことに現実感を持てず茫然としていると誰かが入ってきた。


「起きたか、シーア」

「ギルドマスター?」


私はギルドマスターに昨日のことを話した。すると・・・


「クロトのやつ、1人で倒しやがったのか・・・。ゲルドの推測が正しいかもな」

「1人?エルダートレントを?というか私はなぜ助かったんでしょうか。助かるような状況ではなかったと思うのですが」


そこで聞いたのは1人の男の話だった。

最近ゲルド商会で雇われて、西の森で冒険者のサポートをしていたらしい。全く気付かなかった。

しかしギルドマスターも実力あるとは思っていたらしいが、エルダートレントを1人で倒せるとは思っていなかったようだ。


その後色々あってその男、改めクロトさんと仕事をすることになった。

魔王と吸血鬼王をやっているらしいが、とてもそうは思えなかった。

実力は疑いようもないが自分の力に自惚れているわけでもないし、その力を無為に使ったりもしない。さらに私が『暁』のことで気分が落ち込んでいると、こちらのお願いを簡単に飲み込んでくれたりなど優しくしてくれた。

それでも恩返しのためだからとなんとか仕事関係で保ち現在に至る。

・・・のだが、それが今にも崩れそうだ。

散髪が上手いというのも考え物である。似合いすぎで彼の顔を直視できなくなってしまった。

慣れるとは言ったが本当に慣れることができるだろうか。


1時間後・・・

これだけ考えて出した結論は仕事関係と私情の関係の両立。

なんで今まで気づかなかったのだろうか。別に片方だけなんて決まりはないのだ。

さ、明日からはドンドン攻めてみよう。

とりあえず言葉づかいを変えてみよう。

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