09.遠征
遠征が決まってから2週間。ギルド側の準備も必要とのことだったので2週間の間は仕事をしていた。明日には出発だ。
変わったことといえばシーアだ。何がきっかけかはわからないが様子が明るくなったのでいいことなんだろう。敬語もなくなっていた。
「シーア、明日の荷物とかは準備できてるのか?」
「子供じゃないんだからその位できるよ・・・え?私そんなに子供っぽく見えるの?」
「見えるというかそういう行動を繰り返してはいるな」
それはいいのだが同時に、部分的に少し・・・うん少しポンコツな部分も見えてきた。
ちょっとこける位ならいいのだが、欠陥品を掴まされたりぼったくられたりということを頻繁やってくるのだ。そのため買い物のほとんどは俺がやっている。
それから俺だ。シーアに《木魔法》を教わっている時に中級魔法を覚えた。種類は《雷魔法》、《光魔法》、《空間魔法》の3つだ。検証は終えているのだが、《転移》も《空間魔法》の1つだと思うのだがちがうのだろうか。まあ魔王特典の1つだと思っておこう。
そんなこんなで2週間が経ち出発の日となった。もちろん感動の別れなどあるはずもなく、見送りはおっさん2人である。
「これが紹介状みたいな物だ。着いたら向こうのギルド職員に渡してくれ」
「後はこれが生活用の金だ。・・・借金して帰ってこないことを祈る」
「大丈夫だ。基本シーアに金は持たせないからな。じゃあ行ってくる」
「ああ。頼んだぞ」
シーアに金は持たせないのところでなにか文句を言っていたが無視だ。
モルテリア共和国には途中に森があるため馬車では無く、徒歩で行く。普通は馬車で森を迂回していくそうだが、俺とシーアなら慣れているので森を突き抜けたほうが速い。
「今日はどこら辺まで進むの?」
「森の入り口付近にある泉までだ。走るが問題ないだろ?」
「うん。その位なら問題ないよ」
走りながらシーアに中級魔法のことを話しておく。
《雷魔法》が《放電》、《雷纏》。
《光魔法》が《ヒール》、《結界》、《聖槍》。
《空間魔法》が《収納》。
・・・という感じだ。
「それ大分凄いね・・・」
「
などとぼやいていたら
「いや、《収納》か《転移》だけでも中級魔法としか伝わっていない伝説だから!」
怒られたよ。まあ確かに《収納》はありがたい。今も手ぶらで行けてるのは《収納》のおかげだ。
荷物を持っていたら1週間位はかかっただろう。
夕方、俺たちは泉についた。
「俺は《結界》使うから、先に焚火とかの準備をしててくれ」
「わかった」
《結界》は俺の魔力が込められた物が置かれた範囲内に、使用者が許可した者以外を拒むというものだ。今回は2人なのでそんなに広くないものを2つでいいだろう。
・・・よし、できた。後は・・あれ?シーア遅いな。少し様子を見に行くか。
シーアは木が多いところに立っていたのだが、近くに変な気配がある。
「シーア、何してるんだ?それとその変な気配はなんだ?」
「え?クロトって精霊を感知できるの?!」
なんか精霊らしい。
「感知というか、まあ気配はつかめてるな。ただシーアと話していたみたいだが声は聞こえなかったな」
「声を聞けるのは契約者か、契約されていない精霊に限るけどエルフだけだからね。あとは・・・実体化していただいてもよろしいですか?」
シーアがそういうと気配のある部分に魔力が集まり始め、人型になっていった。最終にできたのは小さな男の子(だと思う)だった。
「ありがとうございます。・・・こういう風に実体化したときだね。こちらは風の中位精霊様」
「風の中位精霊だよ。よろしく」
「クロトだ、よろしく。・・・1つ聞きたいんだが、実体化した精霊っていうのは魔力でできているのか?}
実体化するときに魔力が集まっていたからそう思ったのだ。
「すごいね、魔力の流れまで見えるのか。・・・少し違うかな。例えば僕のような風の精霊だと辺りの風を取り込んで核としてその周りを魔力で囲う感じだね」
「なるほどな。だとすると火の精霊は火、水の精霊は水、土の精霊は土をそれぞれ核にしているということか?」
「付け加えると闇の精霊は影だね。あと精霊王は核がない。それとあまり居ないけど名前を持つ精霊も核が無いね」
《闇魔法》も精霊も名前は影でいいんじゃないのか
それにしても精霊王か。自分以外の王にあったことは無いからな。・・・そいつも転移者だったりしないよな?
「そういえば君たちはなんでここに?」
「ああ、モルテリア共和国に向かうところだ。どうも魔物が活性化しているらしいんだ。それで助っ人に呼ばれた」
「君たち強そうだもんね。エルフの子もそうだけど、・・・ああ、人間じゃないのか」
「やっぱりわかるもんなのか?」
「うん、人間とじゃ魔力の質が全然違うからね」
それは俺も前から感じていた。俺の魔力は凝縮されている感じはあるが、シーアの魔力はそれより薄い。人間の魔力はもっと薄い。これが質なんだろう。
「ていうか人間とかと違って精霊はあまり気にしないんだな」
「精霊は雰囲気で何となく大丈夫かどうかがわかるからね」
「雰囲気、なんか曖昧だな・・・。そういえば前にも精霊の気配もたいなものを何度か感じたんだが、精霊っていうのは結構いるものなのか?」
「それは下位精霊じゃないかな?下位なら結構いるんだよ。・・・おっと、そろそろ風が切れるな。僕は戻るよ。頑張ってね」
そういうと精霊は消えていった。
「さて、飯にするか。明日は朝起きてすぐにでるぞ」
「わかった」」
明日からは適度に頑張ろう。
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