EX.アメリアとレイネシア
アメリア
最近ストレスが溜まるばかりだ。原因としては先ず、国のことだ。魔王が出るという危機のために勇者を召喚することが私が産まれる前に決まった。実際、召喚された勇者達は修行を兼ねて国の周りの魔物を討伐してくれている。にも関わらずだ。他でもない召喚を決めた大臣達が勇者を排除しようとし始めたのだ。
他にも勇者達がモルテリア共和国に行ってしまったというのもあるだろう。よく話相手になってくれるので、良い息抜きになっていたのだ。そしてなにより私の癒しが・・・
「失礼します。只今レイネシア様がお戻りになりました」
「・・わかったわ。今迎えに行きます」
私の癒し!叫ばなかった自分を褒めてあげたい。
「アメリア姉さま!只今戻りました」
「お帰りなさい、レーネ。部屋でお話を聞かせてね?」
「はい」
レーネに変な虫がついていないか確かめなければ。
・・・
また叫ばなかった自分を褒めてあげたい。レーネが迷子?そこを案内したのが男?それだけでも不安なのに極めつけはそのことをレーネが楽しそうに話していることだ!
何か対策を考えなくては・・・
「風?窓が開いてるのかしら」
「い、いえ。気のせいなのでは?」
「そうかしら?まあいいわ。私は仕事だから戻るわね。しっかり休憩してね」
「はい。姉さまも仕事を頑張ってください」
よし、頑張ろう!
レイネシア
「ちょっとアベル君。姉さまに気づかれるじゃない!」
「大丈夫だよ。風が吹いただけで精霊と判断する人はいないよ」
彼は精霊のアベル君。今回は事情があっていなかったが、普段は一緒にいる。
精霊はその者が産まれたときについてずっとその者を守る。精霊持ちはエルフに多いが人間にもいないわけではない。ただし確率が低いし下位精霊しかつかない。しかしレーネには上位精霊どころか精霊王がついていたのだ。そして精霊王の能力は・・・
「それにしてもすごい加護をもらってきたね」
「加護が増えたの?」
「うん。それも2つ」
その者についた加護を詳しく視ることだ。今まであった加護は《精霊王の加護》と《ルーナの加護》。2つ目はこの国の王族であれば誰でも持っている。
「2つも?」
「2つ増えたっていうのもすごいけど、内容はもっとすごいね。《魔王の加護》と《吸血鬼王の加護》。両方に、しかも同時になんて僕にも無いよ。心当たりは?」
少し考えるが初めて会ったのはクロトさんだけで、クロトさんがどちらかだったとしても、もう1人がわからなかった。
(アベルから魔王などが複数いるというのも聞かされている)
そのことを伝えると・・・
「うーん。もう片方はどこかですれ違ったのかな?まあ加護ってことは害意を持っていないということ。だから探す必要も無いと思うよ。万が一遭遇してもすぐにわかるから大丈夫」
「うん。ありがとう」
またクロトさんに会いたいな。
クロトさんが魔王や吸血鬼だったとしても関係ない!
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