07.救出後

助けたエルフをギルドに運んできた。担いでいる姿は見せられないので行きと同じように路地裏に《転移》。そしてレーガンの部屋の窓から直接入る。


「うおっ!クロトか。普通に入っ・・・シーアか?」

「そのシーアって奴かはわからないけど『暁』のパーティーメンバーではあるはず」


エルフの顔を見てすぐに名前が出てくるのは流石ギルドマスターだと思う。・・まあエルフはそんなに見かけないから簡単に覚えられるのかもしれない。

そこから少し話し合い、明日になってからエルフと俺の話を聞くということになった。


翌日。ギルドに行くとエルフが起きていたようでレーガンの部屋から話し声が聞こえた・・・ん?ゲルドも来てるのか。


「おう、クロト。・・ああ、ゲルドはこの後の話に関係が出そうだったから呼んだ」

「わかった。それで、話っていうのは?」


俺の視線で気づいたようで先にゲルドの説明をしてくれた。

エルフは1時間ほど前に起きて昨日のことを説明していたようだ。


「先ずこっちはエルフのシーア、シーアそっちがゲルドに雇われてるクロトだ」

「シーアです。昨日は助けていただきありがとうございます」

「クロトだ。仕事だったんだからそんな気にしなくていい。それで、は今後どうするんだ?」


昨日のことではあるが『暁』はシーア以外のメンバーが死んでるし、他のパーティーもほとんどが今の状態で安定している。ゲルドに関係しているっていうことは商会のどこかの部署に入るのかな?


「あなたの仕事にご一緒させていただきます。それと呼び方はシーアでお願いします」

「・・・ん?」

「あなたの仕事にご一緒させていただきます。それと呼び方はシーアでお願いします」


いや2回目を求めたわけではないんだが・・・

シーアを見ると、決意に満ちた目で見つめ返された。レーガンを見ると、肩を竦めてそっぽを向かれた。ゲルドを見るとニヤリと笑われた。

助けてくれよ…


「いや、俺は1人で大丈夫だから」

「そこをなんとか!」


これと同じようなやり取りを5分ほど続けていると・・・


「だから言っただろうシーア。こいつは1人でやると言い張るさ。なんたって事情が・・ていうか人間じゃないからな!」

「その通り!・・・え?」


レーガンの勢いにつられて反射で肯定てしまった・・・


「まあ、あの魔法の威力なら予想はつくぞ」


・・・あれ、師匠?あれが標準の威力だと聞かされたんですけど・・・


「確かにあの状況で私が助かったのだから納得はできる」


レーガンとゲルドならまだしもシーアまで。・・・ん?トレントのことだよな・


「あれくらいなら1人でも倒せるだろ?」

「「「エルダートレントを1人で倒す人間がいてたまるか!」」」


おう、全員に突っ込まれたよ・・・ていうかエルダートレントってどちら様?


「資料にトレントって・・・」

「クロト。トレントは西の森にいっぱいいるだろ。あれが全部エルダートレントだったら小さい町や村はすぐに滅ぶぞ・・・」


・・・どおりで戦闘に時間がかかるわけだ。

言われてみれば結構動く木を見かけたな。・・・はあ、もういいか。


「そうだな俺は人間じゃない。種族いったほうがいいか?」

「聞きたいが・・・いいのか?弱点とかわかっちまうぞ」

「弱点は俺が聞きたい。・・・吸血鬼王と魔王がかぶっってる」

「・・・そんなことがあるんだな」

「確かにそれなら弱点が見当たらんな」


うん、なんか安心した。攻撃されないか心配だったけど、流石ゲルドとレーガンだな。

シーアは・・・


「いや、2人ともなに落ち着いてるんですか?国に狙われちゃうんじゃないんですか!?」


慌てているが俺の心配なのか?シーアも肝が太い。

でも確かに。俺が狙われればレーガン達も必然的に狙われてします

あ、もしかして・・・


「2人とも知っているもか?」

「ああ。というか俺が知ってレーガンに伝えた。」

「・・・極秘の情報だろ。そんな簡単に教えていいのか?」


確か水晶に一部の者しか知らない情報って書いてあったはず・・・


「大丈夫だ。レーガンを信じてるし、もし知っていることがばれたら多分消されるからな」

「ちょっと!そっちで話進めないでくださいよ」


あ、忘れてた。ゲルドとレーガンに目で確認をとると頷かれた。話していいということだろう。


「えーとだな魔王とか吸血鬼王っていうのは1人じゃない。それぞれの種族から一定以上の実力を持つ者に与えられる称号みたいなものなんだ」

「・・・それは私みたいな冒険者が知っていていい情報なんでしょうか?」

「良くない。ばれたら多分消されるな。まあ、それは置いておいて。なんで俺と一緒の仕事がしたいんだ?」


魔王関連も重要だけど話を先に進めないといけない。


「絶対置いておいたらいけない話なのに・・・。やりたいと思った理由は恩返しがしたいというのと、森に中でのサポートという仕事ならエルフの得意分野だからです。魔法も植物系なら結構使えます」


森の民だからっていう感じかな?植物魔法が得意なのはありがたい。今度教えてもらおう。ということで


「まあ他に隠すこともないから一緒でもいいかな。あとは・・・」

「ああ。シーアは商会で雇おう」

「!ありがとうございます。クロトさん、これからお願いします」

「ああ」


この後、東の森で実力を見てみよう。

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