05.ギルドマスターと、初仕事

俺はギルドマスターと話すためにゲルドと冒険者ギルドに来ていた。


「おお。これが冒険者ギルドか!大きいな。」

「ああ。おそらくこの町で2番目の大きさだろう。さあ、入るぞ。」


そういうとゲルドは堂々と入っていった。正直俺には無理だ。入るとすぐにカウンターから受付嬢らしき人が声をかけてきた。


「これはゲルド様。本日はどのようなご用件でしょうか。」

「ああ。ギルドマスターに会いにきた。」

「わかりました。少々おまちください。」


そういうと奥のほうへ引っ込んでいった。

・・・というか、周りの「誰だこいつ」っていう視線が痛い。

数分すると奥の部屋に通された。そこにいたのは書類仕事をしている、ハゲでムキムキのおっさんだった。・・・似合わない。


「悪い、ゲルド。少し待ってくれ。」

「ああ、わかった。」


そこからしばらくは紙に書く音が響いていた。


「さて、待たせたな。何の用だ?ゲルド。」

「この間話していたサポートの件だ。いい奴が見つかったからな。腕は保証するぜ!こいつが新人のクロトだ。」

「お前がそういうならそうなんだろうな。わかった、頼もう。俺はレーガン。よろしくな。」


すぐに仕事ができるのはありがたいが・・・


「いいのか?見たこともない人間を簡単に信用して。」

「ああ。ゲルドとは昔からの付き合いでな。こいつの紹介なら信用できる。・・・と、いうわけで俺は忙しいんだ。今日は東の森に入ってくれ。頼んだぞ。」


追い出されたよ。信じてるのはいいんだけど、適当すぎないか?とゲルドを見ると・・・


「慣れろ!」

「おい!・・・はあ、まあいい。じゃあ行ってくる。」

「ああ。狩りすぎるなよ。メインはサポートだからな。」

「分かってるよ!」


・・・

俺はひじょーに退屈していた。確かに魔物はいた。しかしすべて魔法1発で終わってしまうのだ。冒険者もいるが特に危なげもない。結局初仕事はグレートウルフとゴブリンを魔法一発で倒しただけだった。そしてギルドにそれらの素材を持っていくと、レーガンが呼んでいるということで奥の部屋に通された。


「おう、クロト。今日はどうだった?」

「終始やることがなくて退屈だったよ。」

「そうか。悪かったな。今日は試験みたいなものだったんだ。」

「試験?」

「ああ。東の森は一番安全な所なんだ。そこで冒険者にみつからずにサポートできれば合格になる。それで、結果なんだが誰か知らない奴を見たという報告は無かった。よってお前は合格だ。明日からは西にある森にいってもらう。1番被害が大きい所だ。頼んだぞ。」

「分かった1つ質問があるんだが、ケガをして動けないやつがいたらどうするんだ?」

「ああ。そいつはギルドに連れてきてくれ。お前のことに関してはぼかして説明する。」

「分かった。その時はよろしく。」


こうして俺の初仕事は終わった。


仕事2日目。1日目で試験に合格したらしいので、俺は西の森に来ていた。確かに東の森とは違った。ゴブリンやグレートウルフもいたが全て群れ単位だった。また魔物の種類もふえており、オークやワームも出るようになっていた。そんな中俺は・・・


ザンッ


「この短剣切れ味いいな!」


魔物を切っていた。東の森で考えていたことで、魔法で倒すのは便利なのだが広範囲攻撃なので素材が無駄になる。そこで考えたのが剣だ。切る場所を考えれば素材は無駄にならないし、大きな音がなって他の魔物を呼び寄せることもない。と考えた。・・・のだが、剣が無い。そこで・・・


「ゲルド、剣が欲しい。」

「剣?それならいい鍛冶屋に紹介状書くが・・どこで使うんだ?魔法で終わるだろ。」

「魔法だと素材が無駄になるんだよ。」

「なるほど。それで剣か・・・。わかった、書いておく。ついでに地図も入れておくぞ。」

「ありがとう。じゃあ行ってくる。」


ハラルの町は意外と入り組んでいた。地図が無かったら迷っていた。それでも鍛冶屋に行くのに10分かかってしまった。慣れている人は5分で行けるらしい。中に入るとカウンターには誰もいなかった。


「誰かいるか?」

「ちょっと待ってろ!」


太い声が返ってきた。・・・しばらくするとゴツイが背の小さい老人が出てきた。ドワーフかな?


「ゲルドの紹介で来た」

「ゲルドの?珍しいな。・・それで、何を作ればいい?」

「剣だ。ただ、長剣か短剣か迷っていて・・。ちなみに予算はゲルドの全財産だ!」

「そんなに使わん!」


笑われた・・。実際ゲルドに「金は俺が出せる範囲ならいくらでもいいぞ。」と言われている。出そうと思えば全部出せるだろう。


「お前の体型なら短剣だな。とりあえず2本作ってやる」


・・・ということで西の森で短剣を試しに使っていたのだ。師匠から武器全般習っていたおかげですぐにコツは掴めた。それと鍛冶屋に魔物の素材を持っていけば、それを使って武器を作ってくれるらしい。・・・代金はゲルドがだしてくれるよな?


引き続き魔物を狩っていると、少し遠い所で音がしたので気配を消してその場所に行くと1組のパーティーがいた。


「今日は結構狩れたな!」

「ああ、そろそろAランクになれそうだ。頑張ろう!」

「「おおっ!」」


どうやら腕のいいパーティーのようだ。今のところAランクパーティーはハラルの町に一組、4大陸でも10組ほどしかない。そこに近いのだからだいぶ強い。ちなみにパーティーには人が2人、獣人とエルフが1人ずつ(獣人とエルフは初めて見た)だ。

まあこのパーティーは大丈夫だろう。そろそろ素材を持ちきれなくなるから今日は帰ろう・・・。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る