04.修行
真祖との模擬線だが、体のスペックが高くても、技術が追い付いていなかった。
そこで要求を変えて普通の修行をつけてもらうことにした。
「まずは指先に魔力を出してみろ」
「はい、師匠。・・・できました」
「よし次は、腕全体から出してみろ。」
「はい、師匠。・・・できました」
と、修行をやっていたのだが体のスペックが高いためやれと言われたことがすぐにできる。
(師匠呼びは強制された)
「次は全身から出せ。・・・そんな感じだ。その状態が身体強化だ。これも1回だけでマスターできているようだな。よし、次は魔法だ。何が使える?」
「初級魔法と転移です。」
「では初級魔法を1つの属性につき1時間ずつ打ち続けろ。魔力は種族的に大丈夫だろう。」
「はい、師匠」
(なんか最近「はい、師匠」ばかり言ってる気がする・・・)
ちなみに師匠は合計で100時間しか出せないので、指示を出してもらったらすぐアイテムに戻ってもらい終わったら再度召喚して指示をもらっている。
このように修行を続け、魔法の2重詠唱(名前の通り魔法を2つ同時に使える)を覚えると、突然
「よし短剣の修行をするぞ。」
「はい、師・・・え?長剣ではなく短剣ですか?」
「異議は認めん!」
「あ、はい。」
そうして多分長い時間が経った。多分なのは途中で時間間隔がわからなくなったからだ。
「よし、時間も減ってきたし技術も大分習得した。そろそろ模擬線をやるか?」
「やります!」
「わかった。ルールは短剣と魔法だけであればなんでもいい。それだけだ」
「わかりました」
ということでいちかの続きが始まった。魔法を打ち合いながら距離を詰めて短剣で攻撃する。ただ、師匠と教え子でやっているためやることは基本同じなのでなかなか勝負が決まらない。
結局決め手になったのはスペック差だった。師匠が魔力切れで降参した。戦うのは結構楽しかった。たぶん殺し合いではないからだろう。
「技術なども申し分ない・・・というか、はっきり言って異常だな。大量の魔力にその身体能力。これが知性のない化け物だったら討伐の余地もあるが、知性がある上に技術まで身に着けた。異常だな」
「褒められたという認識でいいんでしょうか?」
「言い方は悪いが褒めている。おっとそろそろ時間のようだ。ああ、2つ言っておく。口調は荒くしておけ。それから修行を始めてもう50年経っているぞ。ではな」
「え!?あっはい。本当にありがとうございました」
50年。50年か~。そうか勇者と魔王は不老だから気づかなかったんだ。
10分位放心した。
「まあ悩んでもしょうがない!とりあえず人里探すか。」
森は思い出の場所として《転移》できるようにしておいた。
・・・
森の中を彷徨い出して数日経った。道中狼の魔物にあったが魔法一発で終わってしまった。
そして昼頃。
「あれ?魔物の音と・・・なんだこれ?」
狼の魔物の走る音とガラガラという音が聞こえてきた。
(ちなみに音が聞き取れるほど音源が近い訳ではなく、耳が良すぎるだけである。)
まあとりあえず行くかと思い飛んでいくと・・・(飛び方は修行中に師匠が教えてくれた)
「おお馬車だ!まだ走ってるから人乗ってるかな?」
街道のような物があり、そこで馬車が魔物から逃げていた。ガラガラというのは馬車の走る音だったらしい。
「とりあえず助けるか。ええと・・翼と牙をしまってと。よし!準備OK!。」
声をかけるために馬車に飛び乗る。
「おーい、大丈夫か?」
「だ、だれだ?」
馬車に乗っているのは男のようだ。
「話は後だ。俺は魔法を使える。助けたほうがいいか?」
「・・・ああ、もう!どうにでもなれだ。やってくれ!」
「りょーかい!」
威力は控えめでっと。
・・・よし!《ファイヤーボール》×3
ボンッボンッボンッ!!魔物1体につき魔法1回。すべて命中である。
「おーい。終わったぞ~。」
「なに!?本当か?」
そういって中からでてきたのは恰幅のいい男。商人かな?
「本当に助かった。俺はゲルド。見ての通り商人だ。・・あんた、なんでこんな所にいたんだ?山に住んでいるのか?」
「数日前まではそうだったな。ああ、俺はクロトだ。実は何故か分からないが目の色がおかしいんだ。それで他におかしいところがないか確かめるために山に籠っていたんだ。」
当然嘘で、彷徨っているときに考えたものである。・・クロトという偽名には我ながら安直だと思う。
「ただ、町への道を忘れてしまってな。どうしようかと思っていたんだ。ここから1番近い町なんだが・・・」
「そうだったのか。確かに目が赤と黒だな。それと近くの町っていうとハラルの町か?」
「ああ、そうだ。」
すいません。嘘です・・
「それなら送って行くぞ?」
「いいのか?だが俺は今、金ももってないぞ?」
「通行税位なら払うから護衛してくれないか?」
おぉう。通行税があるのか。金の話をしておいて良かった。
「助かる。それで頼む。ええと、ゲルドでいいか?」
「ああ。こっちもクロトと呼ばせてもらうぞ?。」
「ああ。よろしく、ゲルド。」
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