03.さようなら

目を開けるとそこは扉と玉座がない王の間的な場所。そこにいたのは角の生えた男と、翼と牙の生えた男がいた。


「「来てくれてありがとうございます!」」


何か感謝された。


「えーと、どちらさまでしょうか?」

「私は魔王適正担当の者です」

「私は吸血鬼王適正担当です。」


さっきの黒い人が言ってた人かな?大分かしこまった感じの2人だ。・・・って


「僕の適正それだけですか?」

「はい。ただ、王系統の適正が被ったことは初めてです」


そんなレアいらないです・・・


「それで僕はどうすればいいんでしょうか?」

「魔王か吸血鬼王かを選んでもらいます。実は今、魔王や吸血鬼王などの人類の敵対者側は人材不足でして今回は本当に感謝しているのです」


それでそんなにかしこまった感じなのか。ただ・・・


「いや、今の状態ではなんとも・・・」

「そうですよね。とりあえずそれぞれの職業の特性を説明しますね。それから魔族側せは職業ではなく、種族という言い方になっています」


種族の特性をまとめると・・・

魔族

・高い身体能力と再生能力。再生は一部の部位欠損レベルなら一瞬で治る。

・1つだけ相手に状態異常を付与する魔眼を持つ。

・食事は必要ない。(食べることはできる)

・1対の翼を持ち空を飛ぶことができる。

魔王

・魔族よりも高い身体能力と再生能力。

・2つの魔眼。

・食事は必要ない。(食べることはできる)

・2対の翼を持つ

吸血鬼

・高い身体能力、血を飲めば一瞬で回復する再生能力。

・血を吸った相手を故意で自分の眷属にできる。

・1週間血を吸わなかった場合血を求めて暴走状態になる。(通常の食糧も必要ないが食べられる)

・1対の翼を持ち空を飛ぶことができる。

吸血鬼王

・吸血鬼よりも高い身体能力を持ち、吸血鬼より少量の血で再生する。

・吸血鬼と同様の眷属化と、眷属がどこにいても呼びだすことができる。

・飢えは感じるが血は吸わなくても暴走はしない。

・1対の翼を持ち空を飛ぶことができる。


という感じらしい。・・・が


「特徴を言われてもどっちを選べばいいかわからないんですが・・・」

「そうですか。ではこうしましょう。選んだ時の特典で選んでもらうというのは?」

「特典?」

「はい。普通はないのですが人材不足のため、特別に用意したものです。魔王を選んだ場合は、初級ではありますが全ての魔法を覚えられるアイテムになります。持って《使う》と念じれば使えます。ただ魔法に関しては初級、中級、上級があるとだけ。ほかの部分の検証はそちらでお願いします。」


なんで水晶に魔法に関することがなかったんだ?魔法のことはほとんど丸投げされたし。


「吸血鬼王を選んだ場合は吸血鬼の真祖を召喚するアイテムを。この真祖は知能が高いので戦闘に役立つかと。ただ、出せる時間は合計で百時間です。こちらも《使う》と念じれば使えます。」


なんかこう、だな。


「1回両方持たせてもらっていいですか?」

「?いいですよ。それと口調はもう少し荒いほうがいいと思います。」

「そうですね、ええと。こんな感じか?」

「はい。それっぽいと思います。」


それっぽいて・・・

それじゃあえっと・・《使う》!おっ、丁度いいのがある。


「じゃあ色々ありがとう。」


ええと、後はこの魔法か・・・《転移》!


「いえいえ。では選らん・・・」

「ありがとうだけど、やりたくないんで。さようなら!」

「「・・・え?」」


・・・


「うわ~、森の中だ。まあ成功したからいいか。」


海斗は最初のほうから逃げたいとは思っていたのだが、肝心の方法がなかった。そんな時に特典の話が出た。内容を聞いた時に負けを覚悟で戦おうと思っていたのだが、魔法を手に入れて考えが変わった。手に入れてすぐ、魔法の知識は理解できた。それも特典の1つなのだろう。

そして魔法の中にあった《転移》を使ったのだ。


思ったけどよくあんな作戦決行したなと今になって身震いする。

10分後・・・


「うわっ!なんだこれ」


この後どうするかを歩きながら考えている時水辺で自分の姿を見たのだが・・・


「黒と赤の目に2対の翼、それに牙。もしかして魔王と吸血鬼王を両方と選んだことになってるのか?」


まあ特典を両方使っているのだからありえなくはない。ないのだが・・・10分程放心した。


「さて、この後どうするにしろ最低でも翼と牙はなんとかしないと。・・・引っ込まないかなこれ?・・・あ、普通に引っ込む。よかった。よし体のほうは大丈夫だから、後は魔法だな」


アイテムを使った時に頭に浮かんだ魔法は《火水木土闇》の初級5属性と《転移》。《転移》は1度使っていて分かるから。他の属性も理解はしているのだが、《転移》でわかったように使った後だとより理解が深まる。というわけで全種類使った。


魔法の種類・・・

・火水木土はそれぞれ《ファイヤーボール》のようなボール系と《ファイヤーウォール》のような設置系の2つ。

・《闇魔法》は《影潜り》と《影縫い》の2つだ


全て使ってみたが名前通り。

検証中に魔物か動物か分からないが狼が襲ってきたので全て倒した。中級、上級魔法は手に入れてみないとわからない。


「さて魔王の特典の検証は終わったから、次は吸血鬼王だな。」


吸血鬼王の特典は合計100時間、真祖を召喚するというもの。使用法はもう考えてある。

《使う》!


「おっ!出てきた。喋れるか?」

「ああ。・・・敵がいないようだが?」


良かった。喋れなかったらどうしようかと思った。さて、


「敵というわけではないが俺と1日1回だけ模擬線みたいなものをしてくれ。あ、殺さないでくれよ?修行みたいなものだから」

「・・・そのような使われ方をされるのは初めてだ。了解した」


さて、勝てるだろうか?

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