第三話 『【真夏の怪異】 恐怖の麦茶』
わたしの名前は、『
「おわし〜♪ おわし〜♪ おわおわし〜」
その日はとても暑くて……まぁ、毎日暑いんですけど。えっと、つまりですね。あまりの暑さに母が作り置きしておいてくれた麦茶を、がぶ飲みしていたのです。
「はぁ〜♪ 毎日30度超えなんて、まじ
そんなことを言いながら、何度目かの麦茶を飲もうと冷蔵庫から麦茶の入ったピッチャーを取り出し、左手に持っていたコップに半分まで注いだその時でした……!! 終死なことが起こったのは……!!
「こ……これは……っ!」
ああ、なんということでしょう! このまま麦茶をコップに注ぎ続けると、ピッチャーの中身が空になってしまいます! これすなわち、わたしが新たに麦茶を作らなくてはならないということ!
……なんてことを考えていたら、そこに9歳の弟、
「どうしたの、ねぇちゃん?」
「ああ、誠。ちょっと、これを見てちょうだい」
そう言いながら誠の方振り向き、麦茶が入ったコップと、ピッチャーを差し出します。
「ん? ……ああ、ピッチャーにひと口分だけ麦茶が残ってるね」
「
「誰でも分かるよ……」
「じゃあ、この先の展開は言わなくても分かるわよね?」
「ピッチャーに残っているひと口分を、全部コップに注いだら、お姉ちゃんが麦茶を作らなくちゃいけなくなる?」
「そう! そうなのよ! そんなことになったら、お姉ちゃん、すごく面倒臭くなると思わない!?」
「知らないよ……」
「と、いうわけで、誠。このひと口分だけ残った麦茶を、あなたに進呈します」
わたしは、左手に持っていたコップを自分の方へ引き、ひと口分だけ麦茶が入ったピッチャーを誠に向かって、さらにずずい、と差し出します。
「なんでだよ! 全部ねぇちゃんが飲んで、新しいのを作ればいいじゃん!!」
「ええぇぇーー。だってええぇぇーー。新規に作るの面倒くさいしぃぃ〜〜」
「ぼくだってめんどくさいよ!! というかさ、いつもいつも、冷蔵庫の中に麦茶をひと口分だけ残しておくの、やめてくれない!?」
「それはぁ〜♪ お姉ちゃんのぉ〜♪ 愛っていうかあぁ〜?」
「さっき、めんどくさいって言ってたじゃん!! そんなことするから、毎回ぼくが麦茶作らなきゃいけなくなるんだよ!? だいたいさ、たくさん飲んでるのねぇちゃんなんだから、たまにはねぇちゃんが作ってよ!!」
「それがいやだから、ひと口残してるんじゃない」
そこまで言った時でした。誠は、どこかあきらめたようにため息をつくと、24時間布団が敷きっぱなしにしてあるわたしの部屋の扉を開け、そちらに来るようにわたしを手招きしたのです。
……そして。
「とあー」
「終死!!」
と、いうお話でした♪ はぁと♪
「いいから、麦茶作ってよ!!」
――第三話 おしまい!!――
「あ、そうだ誠。作者も、麦茶はひと口残す派だって」
「とあー」
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