第ニ話 その③ 『小説の中に転生』する系の話にものもおぉす!!
「あ、そういえばさ」
「わ、いきなり起き上がるから、びっくりした」
「だからさ、ねぇちゃん。前回の話読んでないと解らない始まり方しないでって言ってるでしょ」
「前回の話?」
「あ……ごめんなさい、
「ううん、気にしないで。それで? どうしたの? おわし?」
「うん。ずっと気になってたことがあるんだけど、最近の異世界転生ものでさ、小説とかゲームのキャラクターに転生するものってあるじゃない?」
「ああ……ぼくの嫌いなやつだ……」
「おお、いうねぇ、誠。」
「え? そうなの? 誠君。どうして?」
「だって、そうじゃないですか。主人公は、『未来を変えるために原作を改変する』って、奔走するわりには、『原作にはないことが起こる』とか矛盾したこと言ってるし、それに……」
「それに、なに?」
「その『元になる小説』を書いている人の、現実世界にいる原作者の事を全く考えてないと思うんですよ」
「どういうこと?」
「(あれ、喜多原さん、ずいぶん食いつくな……)」
「つまりですね、主人公の世界では、あたかもひとつの世界で描かれているような話も、現実世界の原作の文章は、主人公の好き勝手やった行動に書き換えられてるってことです。それも、発行された何十万部数もね」
「なるほどね……」
「誠……」
「そんなことになったら、とんだポルターガイスト騒ぎだし、本も回収しなけりゃならない。それに、それに、原作が未完結という設定だったら、作者は、今まで練っていた話を捨てて、新たに練り直さなきゃならない。これは、とんだ労苦ですよ!!」
「そっか……つまり、誠君は原作者が『新たに練り直した部分』が、小説の中に転生した主人公が言う『原作に無いことが起こる』……と、伝えたいのかな?」
「え? えと……。解りやすく言うとそう……です……」
「そっか……誠くんの言いたいことは、分かったよ……」
「き、喜多原さん……?」
「あのさぁ……誠……」
「なに? ねぇちゃん?」
「あんた、それ、web小説に流れる広告だけ見て言ってるでしょ?」
「そっっそんなことないよ!!」
「じゃあ聞くけどさ、誠。あんた、その『小説の中に転生』する系の話、ひとつでも読んだことある??」
「……少ししかない……」
「たはぁ〜! ほとんど読んだことないのに『小説の中に転生』系の話を批評するなんて、あんたもとんだアンチだねぇ〜! あ、あと、喜多原さん」
「え!? な、なに!?」
「喜多原さんは、誠とは反対に『小説の中に転生』する系の話、大好物でしょ? 特にラブいやつ」
「へぇ!? な、なんで分かったの!?」
「長年の付き合いだもの、分かるわよ~♪ だから、さっきの誠の話にも食いついてたのよねぇ〜♪」
「え!? そうなんですか!?」
「ち、違うの、ちがうの!! 誠くん!! 私はただ、『そういう見方もあるんだな』と思って聞いてただけで……」
「あ~あ~。誠、喜多原さんのこと、傷つけた〜♪」
「ご、ごめんなさい! 喜多原さん!! ぼく、そんなつもりじゃ……」
「おわし! 面白がらないで!! 誠くん、ほんとに気にしないで大丈夫だよ!?」
「で、でも……」
「あ、あとさ、喜多原さん」
「な、なに? おわし?」
「ラブいやつでもさ、特にボーイズラブが好きだよね?」
「やめてええぇぇっっ!!」
「とあー」
「終死!!」
――第二話 おしまい!!――
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