第7話

「裏切り者。なんで斎に喋ったのよ!」

 サイプレスのトマトとロースハムのピッツァを頬張る真に姫香は声を張り上げて立ち上がった。勢いで木製テーブルがガタッと揺れた。

「静かにしろ、ランチタイムだぞ。みんな見てる」

 真はいきり立つ幼馴染みへ冷静に着席を促した。

 やや混んでいた周りからは何事という驚きの視線が投げ掛けられている。姫香は無言で座り直したが、心中穏やかでなくサラダをシャクシャクと口に入れて真を睨んだ。

 垂井観光を終えた真から話があると地元のイタリアンレストランの奢りに浮かれた気分でやって来たら、第一声が斎に協力を仰いだという。

「そんな怖い顔するな。大体謎解きで協力してくれと頼んだ訳じゃない」

 水を一口含んで真は言い足した。

「昨日、南宮大社の建築様式を個人的な研究で見て回りたいからよろしくと頼んだだけだ。冷静に思い直せば用もないのに社内でジロジロと観察してたら斎だって不審がるだろ。こういうのは却って公にした方がいい」

「それは、そうかもしれないけどさ……」

 不愉快な視線を伏せた姫香はそれでも気に入らないと思った。確かに斎は大社の巫女長をしているし、宮司が不在の時は権宮司を抜いて代理のような役を仰せつかっているとも耳にしている。

 それにしても垂井観光の依頼をしたのは自分だし、真もそれを了承してくれた。だから先ず話は斎でなく私を通して欲しい、というのは多分建て前で本音は違う。

 変にモヤモヤした気持ちが晴れない。

「おい、姫香、聞いているか」

 無言のまま、ランチを平らげていた姫香に話を続けていた真は目の前で手を振った。

「な、何」

「何じゃないよ、これからの方針だよ」

「それより、斎と何話してきたの」

「いやだから頼みに行ったって言ったろ」

「じゃあ五分くらいで帰ってきたの」

「そんな訳ないだろ。世間話から工夫して本題に入ったんだ」

「世間話って何の話」

「雑談だよ。大した内容じゃない」

「そんなのは私が判断するわよ。ねえ、何を話したの」

「今は関係ないだろ、そんなの」

「関係なくない!」

 再び声を荒げて姫香は立ち上がった。そして、

「私、昼の仕事に戻るから」

 と背を向けた。

「おい、何だよ、突然何むくれてるんだよ、お前。それにデザートまだ来てないぞ」

 真は呆気にとられたが、姫香は「二人分食べれば」と冷たい振り向き顔で店を出て行った。


「それは本当に呆れたものね」

 案内された社務所の洋間で真と姫香の遣り取りを聞き終えた斎は肩が揺れるほどの大きな息を吐いた。

「そうだろう、いきなり血相変えて、姫香のやつ。たまに訳分かんないよ」

 真もソファーの背もたれに思い切りもたれかかって嘆息した。

 レストランを出て何故か斎に愚痴りたくて大社を再訪していた。

 思い起こせば姫香は小学生の頃から時折斎の話題絡みで妙に不機嫌になる事もあり、そういう時には真は当の斎に解決の糸口を相談していた。

 普通の繰り言なら親友の剣吾にぶつけていたのだが、女子の気分のむらについては推理のしようがなく同じ女子である斎に対応してもらっていた。

 そんな時斎は大抵黙って耳を傾けてくれ、最後には「大変ね」と笑顔で労ってくれていた。しかし斎は今回に限り同調するどころか困った表情で緑茶を差し出した。

「私が呆れたのはあなたよ、真君。特定の感情に疎い所はまるっきり変わってないのね」

「特定の感情って何だよ。大体俺が悪いのか。大社の研究するって報告しただけだぞ。だから斎と話したって」

「そうね、真君はとても素敵な人だけど唯一そこが残念なのよね」

「何だよ、それ」

「無神経な人には教えられません」

 ニコリとした斎の笑顔が何故か冷たく感じられた。

 理論と感情は相容れない。目に見える物は対処の仕方もあろうが、予測外の喜怒哀楽というのは史学者にとって一番の難題である。真は苦い顔を振った。

「斎はたまに怖い時あるからな」

「そうかしら」

「俺は覚えてるぞ。高校の時、やたら斎に執着してた先輩いたろ。ほら、サッカー部のイケメン。斎に婚約者いるって知っててもデートに誘ってきて。何か噂じゃ誰が斎を落とせるかって賭けしてたみたいで、その先輩が最後に残ったらしくてさ」

「そんな事あったかしら」

「あったよ。たまたま俺と剣吾がその場に居合わせたからな。あまりしつこいもんだから斎が『学校であろうが警察呼びますよ。無事に卒業したくないんですか』って真顔で返したらさすがにその先輩もちょっかい出さなくなったしな。あの時の斎は迫力あった」

「そんな事あったかしら」

 再度斎は凍った笑顔で対応した。忘れろという含みだ。

 真は咄嗟に話題を変えた。

「それはそうと姫香と朝日屋で飲んでた時、斎と幼馴染みだって大将に話したら『坂城さん、気を付けて下さいよ。大野巫女長さんは地元で一番人気がありますからね。氏子の間でも結婚したい理想女性ナンバーワンですから、あまり親しくすると恨まれますよ』ってさ」

「あら、何の冗談。婚約者のいる身に」

 斎は椅子でも姿勢を崩さず静かにお茶を口にした。

「はは、それだけじゃなく大社にも斎に惚れている職員がいる噂あるってよ。真相は知らないけど」

「迷惑な風聞だわ。これでも巫女として身持ちは正しくしているつもりなのだけれど」

「いや、お前の品行方正がどうこうじゃなく……」

「それより、あなたの話が聞きたいわ。東京とか、中国とか。以前約束したでしょう」

「女子にはきっと退屈だぞ」

「それは私が決めるわ」

 でしょう、と斎は穏やかに笑んだ。

「それに高校を出てから大社だけにずっと務めているんですもの。多少は見識を広めたいの。いけないかしら」

「時間は構わないのか」

「今ならそんなに忙しくないし、新人の子達にも仕事に慣れてもらわないとね」

「それなら別にいいけど」

「あ、少し待ってもらえるかしら」

 斎は突然スマホを取り出して誰かにメールを打っていた

「やっぱり忙しいんじゃないのか」と気に懸ける真に斎は大丈夫とメールを終えたスマホをケースに片付けた。

 それから斎は東京の暮らしや大学の研究内容などを知りたがった。そして中国に出向いた様子も好奇の眼差しで尋ねていた。

「全く退屈じゃないわ。太公望が日本とは逆で中国では釣り下手の意味だなんて面白いもの。真君の七年間の何がつまらないの」

 小一時間程経過した頃、話が弾んだ斎は心底楽しそうに微笑んだ。

「東京とこっちじゃやっぱり全く違うのね。修学旅行以外で私西濃地方を出てないからとても興味深いわ」

(大野家の掟か。辛いだろうな)

 真は、和佳から斎の家が特殊で外出さえ殆ど許さない家風であるのを漏れ聞いていた。中学もそうだが高校の修学旅行で斎が若干はしゃいでいたのはそんな時代錯誤な慣わしから解放されたものなんだろうな、と遠くから眺めていた。

「それと中国もイメージと異なっていたわ。ネットでは見たけれどそんなに都会になっていたとはね」

「おいおい、まさか黄河文明の印象じゃないだろうな」

「どちらかといえばそうかもしれないわ」

 斎は小さな舌をチラリと出した。

「中国人に旋毛を曲げられるぞ。今やアメリカと競る超大国だ。でも俺が研究しているのは文化大革命前の中国だ。建物も哲学も洗練されていた。春秋戦国時代なんか諸子百家が集う夢のような国さ。日本だって嘗ては大陸文化に憧れていたんだ。日本は様々な文化を吸収し変化させていった。特に仏教が伝ってからそれが顕著になった。教典と共にやってきたありとあらゆるものが全て新鮮だった。儒教も仏教と共に昔から伝わっていたけど広く利用されたのはやはり徳川時代だろうな。幕府の朱子学者林羅山は言うに及ばず、寛政の改革で知られる松平定信も朱子学を広めようとしていた。そもそも徳川が朱子学を推奨したのも為政者としての……」

 するとこの時真は黙っている斎に気付いて、しまったと口を閉じた。

「どうしたの、真君」

 斎は不思議そうに目を瞬かせた。

「すまん。やっぱりこんな固い話面白くないだろ。大学の時もつい何回かやってしまって」

「女子に?」

「ああ、ゼミの子達が話し掛けてきてな。で、毎回こうなんだ。挙げ句周りからは笨笨って呼ばれたよ」

「ベンベン?」

「中国語でお馬鹿さん」

「ま、失礼ね」

「軽いニュアンスでな。完全に馬鹿にされた訳じゃないよ」

「それでも失礼だわ。私なら真君の興味深い話、ずうっと聞いていられるのに」

「ぐっ」

 真は急に左手で胸を押さえて下を向いた。

「どうしたの、真君、大丈夫」

 心配して立ち上がる斎に真は右掌を向けた。

「いや、ちょっと感動して心臓が締め付けられた」

「え?」

「俺の歴史譚を高評価してもらえたのはもの凄く久し振りな気がして」

「史学博士が何を」

 斎は口を押さえて笑った。真はおどけて手を振った。

「テレビに出てる歴史の先生の話術は参考になるよ」

「やめて、真君には全く似合わない」

 斎は更に笑いを重ね、それから暫くしてある問いを投げてきた。

「それはそうと真君は最近の中国には興味ないのかしら。文化大革命前って言っていたたけれど」

「うん、文化大革命は古き良き中国の文化をことごとく破壊した。日本が憧れていた思想も文化も全て変えられてしまった。政治の転換点にはなっただろうけど現代中国には全く関心も求知心もないんだ。これは価値観の問題だ。要するに俺は昔の王朝時代の中国が好きなんだよ」

「そう」

「でもな、斎、日本だって同じような愚かな破壊活動が起きた。あれのせいで随分と文化財が破壊されたり、行方が分からなくなった」

「何の事」

「何だよ、斎らしくない。大社も関係したろ。明治政府の『神仏分離令』だよ。それから派生した『廃仏毀釈はいぶつきしゃく』運動」

「あ……」

 斎は立ち所に悟った。

 倒幕を果たした明治政府が一八六八年に全国に発令したのが神仏分離令であった。

 長く続いた徳川幕府の象徴が寺であり、寺は宗門だけでなく戸籍も管理した。今で言う役場的な役割を担っていた。それ故新政府に睨まれ、日本が世界に通用するには日本独自の宗教が必要とされ国は神道を選んだ。

 仏教は外国由来だから相応しくない、幕府でなく天皇を頂点とする政治に仏像も寺も要らない。神仏習合の寺社がターゲットになり寺と神社を完全に分けろと命じたのがこの法律なのである。

 細かく言えば神号に菩薩・権現などの仏教用語を使うな、神社に付属する神宮寺を廃止しろ、別当、社僧は還俗しろ、嫌なら神主になれ、そして神社内の仏像や仏具を撤去しろという命令だ。それが勝手に解釈されて寺を破壊しろ、仏像を壊せと広がって廃仏毀釈運動となった。

「あの件のせいで国宝級の仏教遺物がどれだけ損害をこうむったか。復古神道だけが国家神道となり仏教の勢力は弱体化した。他の修験道・陰陽道などは廃絶、土御門や橘家神道は民間宗教へと継がれたけど。あれは日本で文化を壊した愚策中の愚策だった。あんな下らない政策は決して許されない」

 真は興奮してテーブルを叩いた。

「真君」

 斎の呼び掛けに真は我を取り戻した。

「悪い、つい」

「いいのよ、時代は違えどもうちの社もあの法律に振り回されたもの。秀覚法印しゅうかくほういん様のお陰で大社にあった本地堂や三重塔は無事に真禅院に移築された。それは宮代人には真摯しんしに学ぶべき話だから」

 神宮寺執行しぎょう(最上位の僧職)・真禅院秀覚法印は神仏分離令と戦った僧である。廃仏毀釈運動に巻き込まれそうになった大社から仏教施設を無傷で移転させた陰ながらの功労者だ。秀覚の活躍がなければ真禅院の三重塔等を今多くの人が見られなかっただろう。

「そうだな。無名だが大社の文化財を守り抜いた天台僧だったからな。幸運だったのはこの辺りには破壊を叫ぶ過激な国学者がいなかったし、神社側が移転に協力的で、ここの地元の人達が手弁当で引っ越しを手伝ってくれたお陰でもある。秀覚法印は全国的に知られても素晴らしい名僧だと俺は思うよ」

「そうね」

 と頷いた斎だったが、メールの着信音がけたたましく鳴った。

 斎は画面を見ると無表情でケースを閉じた。

「ごめんなさい、真君。どうも総代さんが行事ごとの打ち合わせに見えたみたい。折角面白いお話だったのに残念だわ」

「そうか、邪魔しちゃ悪いから帰るな。また時間があったら寄るよ」

「次回楽しみにしておくわ」

 そうして斎は授与所へと出向き、真はバイクが停めてある北駐車場でなく楼門へと向かった。

「しかし、謎解きもどこから手を付けてよいやら」

 楼門の外に立ち、正面の高舞殿と拝殿を眺めつつ真は途方に暮れた。

 婆ちゃんが見付けたのに俺が見付けられないものとは一体何だろう。そういえば婆ちゃんは「境内の見える場所にある」とも匂わせていた。

 真は一通り境内を見渡したが、いつもと変わらない社殿がそこにあるだけであった。近年飾られている大絵馬が神輿舎の前に置かれているだけでそれ以外は特に小学生の時から代わり映えしない。

(婆ちゃん、まさか裸の王様的な謎じゃないよね。馬鹿には見えないっていうのは勘弁してよ)

 と、その時、後ろから大量に地面を踏む靴音の群れが近付いてきた。

 真が振り返るとどこかの園の散歩だろうか、十人程のお揃いの服を着た小さな園児達が、カルガモのように引率する保育士の後をついて門を潜ってきた。

 真は道を譲ってその子供達の往来を脇から見ていた。

 そうすると園児の一人がいきなり大きな声で歌を歌い始めた。園児は誰かから習ったばかりなのか他の園児も釣られて歌いだしそれは合唱のようになっていた。

 真はそのフレーズを聴いてひどく懐かしがった。

(これ、『上を向いて歩こう』だ。俺も婆ちゃんとよく歌ってたっけ)

 こんな令和の年でも名曲は受け継がれているんだなと、感慨に耽っていた真であったが、不意に脳内に和佳のヒント集のモザイク画像が思い浮かんできた。

 反射的に真はスマホで画像を探した。するとあっという間に青空に顔を向けて微笑む、青く細かい格子模様の夏シャツを着た短髪青年が現れた。

「そうか、どこかで見覚えがあると思ったら婆ちゃんのモザイク画は坂本九の『上を向いて歩こう』のジャケット写真の一部だ。そうだそうだ、やっと思い出した」

 真は思わずパンと掌を叩いたが「だから何なんだ、婆ちゃん」と再び思考停止に陥った。

 考えろ、考えろと真は拳で額を叩いた。

 坂本九と南宮大社は何の関係もない。であればヒントは歌詞か。いや、歌詞にはそれらしい繋がりはない。じゃあ単純に上を向けばいいのか。

 真は門を再度潜って拝殿を見た。

「上を見て歩こう。上を、大社で上とくれば……、瓦か」

 ある場所を思い出した真は勢いよく駆けだして登山道に向かった。

 南門を潜り登山道の湖千海神社の側には「瓦塚」という昔の建て替え際に古くなった大社の瓦を祀る、高さ三・五メートル程の塚がある。

 城塞のように四面階段状に古い瓦が組まれたその重々しい遺跡の前には「瓦塚」の石碑があり、こんな文章が彫られていた。

【長年社殿を守ってきた古瓦は無下に始末することは許されない。心から厚くその功業に謝し今より常世神の引常明神の大前に捧げまつり常しへにその功力の御陰を祈りまつる】

「これは、違う。これは大社の謎じゃない」

 真は鬼瓦や馬のレリーフ瓦、兎や大黒天など種々の形状の古瓦を見て否んだ。

 確かにかなり年代物の瓦もありそうだが、そこには何の法則性もないし、和佳が暗号という道しるべを表したものには全く当て嵌まらない。大体建築に素人の和佳が瓦の価値を知っているとは到底考えにくい。

 真は再度大社の境内に戻って上を見上げた。

「上にあるもの、頭上にあるもの……、金物絵馬か。いや、今更これらは珍しい訳じゃないしな」

 ブツブツと独り言を繰り返しながら真は高舞殿の下に立って空を見上げた。

 するとその時、あるカラフルな彫刻が目に飛び込んできた。

「あ!」

 思わず境内に響くような大声で叫んだ真は慌てて口を押さえた。

 蟇股かえるまた彫刻!

 南宮大社の装飾彫刻を代表するのが今、目の前に見えている高舞殿の四面上部を飾る、十二支蟇股と呼ばれる彫刻であった。

 そうだ、何故俺はこの彫刻を忘れていたんだろうと、小走りで息を弾ませながら社内の建築物の上をぐるりと見上げた。高舞殿だけでない、回廊、そして楼門にもバリエーション豊かな蟇股彫刻はまるで時を止めたようにひっそりと社を装っていた。

 東京にいる時、真は何度か栃木の日光東照宮へ建築研究のため訪れていた。

 その時によく耳にしたのが、宮を飾る蟇股彫刻には、実は左甚五郎の「眠り猫」も蟇股なのだが、それらには実は一つ一つ深意が含まれているという話であった。

(これはまさか大社に隠されたクリプトグラムじゃないのか。婆ちゃんはそれを探り当ていたというのか)

 クリプトグラムとは暗号、もしくは神秘的な記号を示す。

 そうだ、これに違いない。謎は間違いなくこの彫刻に隠されているんだ。

 真は脳内に特別な回路が繋がっていく直感を感じた。

 思えば和佳はあれからやたら空を見上げていた。だがそれは空では無かった。蟇股を見て自分が解いた謎を楽しんでいたのだ。

(よし、遂に突破口が見つかったぞ、姫香)

 発見の吉報を待つ幼馴染みに報告しようと真は勇んで北駐車場に向かい、バイクのメットホルダーのキーを回した。

 しかし振り向いた視線の先に妙な違和感があった。

「な、キャリパーが外されてる……何で」

 真はメットを持ったまま唖然とした。キャリパーとはディスクブレーキを構成する主要部品で、これが無いとブレーキが効かない。その部品のナットが外されブレーキホースにダラリと垂れ下がっていた。

「誰かの悪戯か。にしては度が過ぎてるぞ」

 卑劣な行為に怒気がこみ上げてきた真であったが、このままバイクショップへ電話しようとメットをシートに置こうとしたら、その中から一枚のメモ帳がヒラヒラと落ちてきた。

 真はそれを拾い上げ、文字が書いてあるのを見付けた。

 それはボールペンの筆跡で、わざと角張ったカタカナを使い次のように記されていた。

【サカキマコト イノチガオシケレバ モウタイシャニカカワルナ】


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