第14話 たこが無ければ釣ればいい。
たこ焼きのタコを求めて・・・
関内中のスーパーを巡るもどこもSOLD OUT!!
第一次緊急事態宣言の時は、マスク・消毒液・トイレットペーパーに続き、たこまでが品薄になるとは・・・
そして・・
僕は、なんとなく横浜でもタコが釣れると数年前に飲み会でなんとなく流し聞いていた話を思い出したのだった。
そうだ!タコを釣ろう。
そして・・
近場のスターバックスに入り、グーグル先生に教えを仰いだ。
なるほど・・・
本牧や磯子で釣れるのか・・・
ここなら、20分くらいでいける。。
これは神の思し召し!!
単純な僕は、すぐに翌朝、人生初のタコ釣りに出ることを決めた。
まずは、道具を揃えなければいけない。
根岸(ちょうど本牧と磯子の昼間らへん)の少し大きな釣具屋に車を飛ばした。
店員さんにタコ釣りを始めたいから、一式くれと話をした。
僕はどう見てもズブの素人。
堤防でのさびき釣りで、鯵や豆サバを釣ることを勧められた。
しかし、僕は釣りがやりたいのではない。
たこが釣りたいんだ。
という話を熱弁した。
根負けしてか、暇だったからか分からないが・・
店員さんは、丁寧に道具を選んでくれて、セットアップし、大体の釣れるポイントで不法侵入にならない場所を教えてくれた。
*完全なポイントは教えてはいけないマナーらしい*
餌は不要だが、白いものに反応するので、
発布スチロールか牛脂を買ってくくりつけるように教わった。
帰りがえけになじみの肉屋で牛脂をもらい(無料でたくさんくれた)、
たこがたくさん釣れたら、持ってくると大見栄を切って、帰宅したのだった。
帰宅してからは、イメージトレーニング。
竿を持つのは、中学ぶりだ。
そしてタコは初めてだ。
こんな時にYouTube先生はありがたい。
たくさんのタコ釣り動画が溢れている。
数本を閲覧し、僕はなんとなくできる気になり、最高のイメージトレーニングを終えた。
タコ釣りの朝は早い。
僕は5時に目覚まし時計をセットし、5時20分出発、5時45分 釣りスタートとスケジュールを立て、眠りについた。
翌朝、目覚まし時計で目を覚ました僕に太陽も微笑んだ。
暑くもなく、寒くもなく、初夏の最高の天気だった。
*これがタコ釣りに向いているかは、今も分からない*
そして、車を走らせ、釣りポイントに。
こんな時期だ。先客もいない。
僕は一応のマスクと、ビニール手袋をした状態で、釣りを始めることにした。
前日に釣具屋さんにセットしてもらい丁寧に使い方を教えてもらっていたので、
なんなく、海にキャストすることができた。
なんとなくいい感じ。
僕はiphoneに入れてある海っぽい音楽を流した。
ケツメイシ、サザン、TUBE、KinKi Kids・・
ご機嫌なナンバーが流れ続けるも・・
僕の竿に当たりが来ることはなかった。
タコ釣り、投げっぱなしではないので・・
そこそこ体力を使う。
YouTubeで見ただけの素人がやっているので、
これで正しいかも全く分からない。
何度も投げては巻いてを繰り返す。
全く、、、一度としてあたりはない。
開始、30分。
既に僕は飽きていた。
なんとなく、、
正解の見えない不安からか、完全にやる気を無くしていた。
僕は一旦遠くへ投げて。
堤防に寝転び、空を眺めた。
空は澄み切っていて、太陽は暖かく、海は輝いていた。
すごくいい気持ち。
こんなコロナ禍で、不謹慎にもたこ焼きのタコを釣りにきている僕。
自分のちっぽけさを恥じながらも、幸せを感じていた。
そして、
足元を見ると、そこにはたくさんの魚影が見えた。
そんなに大きくはないが、数センチの魚がたくさんいる。
僕がタコ用の牛脂を落としてみると、小さい魚たちは必死でそれをつついたのであった。
なるほど、、
店員さんの言っていた意味がわかった。
さびき釣りなるものなら、ここで釣れるのだろう。
さびき釣りのセットも買っておけばよかったと、少しの後悔をするも、、
もう既に釣りへの興味も薄れかけていたので、、、
これでよかったと自分に言い聞かせ、海を後にしたのだった。
時間にして40分程度、釣果ゼロ。
これが僕が、僕のタコ釣りデビュー戦だ。
リベンジマッチはきっと当面はないだろう。
牛脂を無償提供してくれた肉屋さんには申し訳ないが、
タコを釣ることは、師匠を持たない僕にはきっと無理な話だ。
サザエさんであれば、波平は魚屋でタコを購入し自分が釣ったと見栄を張り、家族や肉屋に振る舞うのであろうが、今は深刻なタコ不足。
代替品のタコは見つからなかったので、肉屋にはビール6本パックを買って渡した。
タコは釣れなかったが、朝の海で一遊びした後に食べた早朝の牛丼は美味しく、
味噌汁も沁みた。
控えめに言っても僕は幸せを感じることができる1日だった。
そして、この日のお昼寝はぐっすりと眠ることができた。
コロナ禍が無ければ、海を感じることも、たこ釣りの大変さも、
朝の牛丼の旨さも知ることがなかった。
そういえば・・
たこ焼き機も釣竿も、その後・・・
使わないままに、2年が経過した。
そのうち・・
多分・・またやるかもしれない。
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