★★★



 一寸法師は、地図をたよりに日本を北へ進みました。ある日、船で北上中、嵐に遭い難破してしまいました。海岸に打ち上げられ瀕死でした。


 一匹の燕が、一寸法師のそばへ降りてきました。


 燕の背中に小さな女の子が乗っていました。


「まあ大変っ!! 死んじゃったのかしら?」


 一寸法師と同じ背丈の女の子が覗き込みます。


 小さな外国人の女の子でした。


 女の子は、おやゆび姫と呼ばれていました。


 おやゆび姫は、月の光を浴びると体が赤くひかりました。


 燕を生き返らせたときと同じです。


 一寸法師は、おやゆび姫に助けられました。


 こうして小さなふたりは出会いました。



「ありがとう、君は命の恩人だ!!」


「あなたも、わたしと同じたけね?」


「そうみたいだね」


「あなたの国では、普通のことなのかしら?」


 おやゆび姫は、一寸法師を見て、小人の国があることを期待しました。


「いや、おれはひとりだけだ。だから君を探していた」


 おやゆび姫はがっかりしました。


 一寸法師は、今までの出来事を話しました。鬼に倒されたこと、鬼はおやゆび姫を知っていたこと、いつか鬼を退治したいと思っていること……。


「鬼にさらわれた人がいるんですよね?」


「はい」


「助けに行きたいんですよね?」


「はい」


 一寸法師は泣きました。悔しかったのです。それを話せる相手が出来て嬉しかったのです。だから泣きました。


「だったら行きましょう。ちいさなふたりの決意ですが、ないよりはマシです」


 ふたりは燕に乗って、鬼のいる島へ向かいました。



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