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つれてこられたのは見たこともない廃墟。もちろんのことながら人は一人も居ない。
元々、何かの居住スペースだった広い二階建ての家。生活をするためのほとんどの物はすでにそろえられていて、古い外見に新しい家具という絶妙なチグハグ感を醸し出しているその場所の、真新しそうなふわりとしたソファーに腰掛けた。
ゆったりと寛ぐチカゲを横目に小さな舌打ちが聞こえて説明が始まる。
「食料は2週に1度、特別な要望がなければこの紙に書かれている品が玄関先に輸送される。輸送兵との接触は禁止だ。この家の外周にはフェンスが張り巡らされているが、そこから外へ行くことは出来ない。あくまで、この敷地内で生活しろ。リスト以外の物資が欲しければ、直通電話を使って要望すれば、審査される。不合格となれば無理だが、合格であれば次の物資搬送の際に同送することになっている。それ以外の規制はサルビィア様の特別な配慮で無しとなった」
「それ以外って、俺には出歩くなって言われる方がきついんだけど」
「黙れ。本来なら罪人としてこんな場所で自由にしていられない立場だということを忘れるな」
「はい、はい。で、俺のカメラは?」
「玄関においてある。全く、あんな物のどこがいいのか……。サルビィア様もどうしてこんな奴を……」
不機嫌に顔を歪めた男は必要なことだけ告げると、文句を言いながらその場を後にした。
家を囲っている塀、唯一の大きな扉が閉められ、厳重に鍵が掛けられる音が響き渡った。
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