ヘヴィ・レイン 2
「「!!!???」」
彼らは全員四肢を機械化した
その左胸には白の文字でこう刺繍されていた。
「「情報局『
『その通りだ』
誓の正面に陣取った『
彼は銃口を向けたまま二人を見下ろしつつ、言葉を続けた。
『船橋満里奈准尉ならびに園寺誓准尉、貴官らには機密事項保護上の嫌疑が掛けられている。よって委員会規則第98条1項に基づく査問に応じてもらう』
「嫌疑って何のことですか。私たちこの近くに住んでる友達と会ってただけなんですけど」
『姑息な言い逃れは止せ。我々とて同胞に手荒な真似をしたいとは思わん』
「だったらその銃を下ろしてください」
『ならまずは貴官らがその武器を捨て、我々の指示に従うことだ』
(…………満里奈)
(うんっ)
分かりきったことではあったが、穏便には済ませられなさそうであった。
ならばどうするか。大人しくついていくか?
そんなまさか。ついていけば拷問同然の査問の
せっかく満里奈の母親の、光莉の死の真相の
だったら!
……誓と満里奈は、ANNA総局と明確に敵対することを決めた。
武器ケースで不意に
『!? このッ!!』
ダァン! という乾いた、それでいて重々しい銃声が響く!!
誓と満里奈はそれを背に高く跳び、水路沿いの五階建てビルの屋上へと一足で退避。そこで武器ケースを開き、それぞれの武器──
下の
誓は
そして容赦なく解き放つ──
「〈サンダーストライク〉ッ!!」
『『『ぐぁあっっっ!!!???』』』
三人分の悲鳴が聞こえた。
その声はボイチェンで一律に若い男性のものに変えられていた。
誓はそれに構わず武器ケースに残っていた
(まだ四人残ってる。でも今のでもうビルへ登って来ようとは思わないはず。何も無理に戦う必要はない。このまま建物の屋上伝いに逃げて撒くか……!)
満里奈を見る。彼女ももう
お互いに頷き合う。それで意思が伝わる。
だがその時指揮官含む残りの四人が、射出アームとワイヤー巻き上げによらず自らの脚力だけで跳び上がってきた。
彼らは二人ずつに分かれて誓たちを囲い込み、そのままの勢いで一切の
「任せて!!」
満里奈の
青ざめた光が空中に魔法陣を描き、分厚い氷の障壁に変じる。
彼らは構わずにトリガーを引いた。雨の中爆炎めいたマズルフラッシュが焚かれ、ダダァン!! というハンドガンにしてはあまりに重たい“爆発音”が幾度も鳴り響く!
戦闘用の義体でなければ反動で腕の骨が砕けるほどの高威力銃だ。魔法使いの肉体をして重傷を負わしめるほどの威力を持つその銃撃だが、しかし、満里奈の強固な防壁魔法を破るには至らなかった。
彼らが弾切れを起こすと同時に満里奈は反撃に出る。
「凍てつけ!〈
『『『『うおぉぉおおっ!!!???』』』』
指揮官たち四人の四肢が一瞬にして氷に包まれた!
〈
「ほっといても10分ぐらいで溶けるようにしといたので。帰ったらちゃんと風邪引かないように暖かくしてくださいね。行こっ、誓っ!」
「うんっ」
二人は戦えなくなった
傘や武器ケースはその場に棄てて。どうせ入っているのは帰りの
それより問題なのはどこへ行くかだ。誓は建物から建物へと跳び移りながら考えた。
(実際にこうなってしまった以上、まずは『避難所』へ行く。そしてどうにかしてレーアさんと連絡を取る。後のことはそれから考える。で、ここから一番近い『避難所』は……!)
視界の左手側に雨の中でも光を放つ宝石のようなビル群がちらつく。
東京コロニーの中心部にしてこの国の政治経済の中枢。
皇居や政府機関、大企業の本社などが集うダウンタウン──皇宮第一都心セグメントだ。
だがそのすぐ右隣、ちょうど皇居付近から見て北東部に、ここからでも分かるほどあからさまに真っ暗な一画がある。
「満里奈!」
「うんっ!」
「『
「おっけーっ!」
誓は満里奈の返事を聞きつつ、今度は自身の右手側の水路を見下ろした。
水路を行く
誓は満里奈とアイコンタクトを取ると、「せーの」でタイミングを取り、その
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