第2話 生徒会 その一
「由香里さん。」
「はーい!」
「これはどういうことですか?」
「必要と思って!」
現在は夜9時、説教タイム。
私と由香里さんは対座して、テーブルに置いてる手のひらサイズの箱について、その中身について、真剣な話をしようとしている。
「いや、必要ない。」
「でも妊娠したら大変でしょう?」
「なんでそう思った?前提がおかしい。」
「なんでって、いずれそうになるでしょう?」
由香里さんが当たり前のように笑顔を見せた。
「そうじゃない。」
「憂也。」
突然名前呼ばれて、由香里さんに目線を向いた瞬間、雰囲気が変わった。
「朝ノックの時、あれはおはようのおはでしょう?」
そう、あれは私と彩花の挨拶、._..._...。
「彩花ちゃんが憂也を待ってる間も、何だこの女とか誰だとか聞いたでしょう?」
「あと弁当も用意したでしょう?匂いからすると唐揚げと生姜焼き入ってるよね?」
「イチャイチャベタベタするしないのは個人の自由、どうでもいいこと、一緒に過ごした時間だけは嘘つかない。」
由香里さんは言葉を少し止めた。
吐息の音が聞こえる。彼女は指先を組み、視線を下ろした。
「彩花ちゃんと、一生、一緒に歩み続けると決めたでしょう?」
私は少しうなずいた、返す言葉何で、今は何もない。
私が説教されてるような気分だ。
「実は笹木さん…から、少しは聞いた。」
違和感。
笹木さんって、お父さんのことでしょう。
聞いた瞬間、その感触の暖かさと重さを感じた。
でも、「愛」と言うものではなかった。
思えば由香里さんがお父さんの名前を呼んだのは初めてかもしれない。来た時は確かに聞いたことない。
「一生だから必要でしょう?それとも勝負下着の方がよかった?」
曇から晴れまで変わるには、1秒もいらない由香里さんでした。
「ありがとう。」
なぜこんな言葉が出てくるのは私にも分からない、頭の中は泥沼のようだ、でも先に出てるのは、その言葉だった。
感謝の気持ちはまず伝えないといけないと思ったかもしれない。彼女が来てから、私は完全にお世話になった身です。
「でもそうじゃない!」それでもコンドムはちょっとおかしい。「高校生がこんな…」
「はい、分かってます。」反撃が止められた。
「正直、性行為は別に高校生でもなんでもいいと思うよ、世間で許されない根本原因は責任と言うのもです、99.9%高校生じゃその二文字の重さなんで知らないからでしょう?」
そうです、少なくとも私もそう考えていた。
「だから、もしできたら私がサポートしてあれるから大丈夫!」
は?
「でも彩花ちゃんも大胆、学校でみんなに見せる何で、ごめんね、それは予想できなかったよ!」テヘペロ。
こいつー!
「明日彩花ちゃんにもちゃんと謝るから許してね。」
手を合わして頭を下げる行為、実は祈りと近い、許しを希望する点から見ると、まあいい。
「はいはい、もういいよ。」
私は無心にため息ついてしまった。
「憂也、もう1つお願いがあるんですけど…」
「は?なに?」今更断るのもね、もともと家族として会話を進めたいつもりでこうなってはいるけど。
「彩花ちゃんのスリーサイズ教えて?」
「知らん。もう寝る!」
その後の会話はなかった。私はお風呂のあと、部屋に引きこもることにした。
>憂也、今日ありがとうね。
なんだ、いいって
ごめん
>いいよ、あたしが学校で開けちゃったのが悪いと思うし。
いや、そもそもそんなもの送る側が悪い
それでも彩花の代わりに許してあげた
>正解。
別に私の家と彩花の家はそんなに遠いわけではない、玄関出たら栗宮家見えるくらい。
>ね、明日なに食べたい?
いつもおまかせでいいんじゃない
>ちょっと奮発しようと思って。
じゃ卵焼きと大根下ろしでお願いします
>はーい、ほかにご注文は?
シェフに任せます
>かしこまりました!
>由香里さんと話した?
うん、少しね、もう大丈夫
>そうか、よかった。
生徒会入るのことは大丈夫?
>うん、大丈夫。
そうか、じゃ、明日もよろしくね
>おやすみ。
おやすみ
おやすみは言ったけど、まだやり残しがある。
生徒会について調べないと。
学校から配った紹介ブックには少し情報が乗ってる。
生徒会長、二階堂栞、2年C組、趣味は読書と映画。
ふむふむ、今更読書と映画?世間で見たらただのテンプレだよね?
副会長、岩槻覚、3年A組、日本高校生代表、趣味はありません。
ほー趣味のないタイプ、やばそう。
副会長、三橋美里、2年D組、趣味はショッピング。
上に乗ってる写真を見れば分かる、美人さんですね。
書記、三橋千里、1年F組、趣味はショッピング以外。
姉妹だね、うむ、こうなったのは分からんでもない!
全員成績学年トップ5、優秀にもほどほどにって言いたくなるメンツ。でもよくある話した、優秀するほど、後々気まずくなる。片面しかないものは存在しない。
でも1年生入ってるのは助かる、付属から高等部入った子かもしれない。
そして生徒会の仕事は…何でもあるんだな、当たり前だけど。
早く寝るつもりだったけど、胸がザワザワしてた。
実は今、お父さんのことを思い出した。
元々週3日しか家にいない人、5年前お母さんが亡くなってから、月3日いるかいない人になった。
そんなお父さんがなぜ由香里さんを連れてきたのはよく分からない。
そもそも5年経ってるし、今更お母さんの役割を果たせる人を探すって、栗宮家に謝れって。
頑張って働いたのは分かる、私の通帳に毎月30万入ってくる、家は建てたものだし、ネットや電気や水道料金などなどもお父さんが払ってくれる。私も大きい出費ないから貯金はかなりある。
自分を仕事に埋めようとしたかもしれない。
由香里さんはどこから来たのは分からない、お父さんとの関係も今になってわからなくなった。
何も分からない、趣味、好きなもの、嫌いなもの、番組は何を見る、休みの時は何をするのも分からない。
女子高生にそんなものプレゼントするのは自ら天然になりたいところかもしれない、なんせ天然は先のこと言えないはず。
もう寝よう、明日は生徒会に行かないといけない。
楽になりますように。
朝起きたらまず天気チェック、学校事前準備チェック、リュックチェック、片付け終わってから、7時16分部屋から出るのが私のルール。
「おはよう、憂也。」
「おはよう。」
「やほー」
彩花がいた。
「今日早かったね。」
「うん、昨日早めに寝た。」
よく見たらテーブルの上にすでにコーヒー2杯がある、半分くらい飲んった様子から見ると、色々話したみたい、よかった。
彩花はこどもの時から柔道やっていた、朝練も日課で、中断したのは病気と朝一の用事がある時くらい。中学の時は柔道部入ってたけど、昨日のこともあって、少し心配はしたけど、本人が生徒会入ってもいいっと。
「あとは今日本番はどんな感じになるか…」
「高校はこれでいいのか…」鏡の中の自分を見て笑った。
今朝彩花と由香里さんが二人でこそこそ何かをしているようだ、何が違うと気づいた時はもう坂の上、ゆっくり登る時。
「今日いいことあるといいね。」
これはまたどこから来たものやら。
「え?うん、期待は薄いけどね、平常運転ならもう満足。」
「へー」
…
「近すぎ。」
肩を並べて歩く、それは20cmとする、今は急に10cm迫られた私でした。
彩花からの返事はなかった。
シャンプーの香り、石鹸の香り、視線を寄せると、長いまつげ、少し赤く染められた頬、と、桜色の唇。
「ほかに言いたいこと…」
歩く時は前を見るのが正しいです。それを知ったとしても、目が…
「ないの?」
知らない間に息を止めたことに気づいた。
ここで何を言っても負ける。
と考えつづ、私はスマホ出して、新規メール、入力。
「 」
送信っと。
メールを見て彩花はくすっと笑った。
そして距離も安全の20cmに戻った。
でも少し熱くなった気がする。
「今朝ね、由香里さんがお詫びにお化粧教えるって。」
なるほど。
「いいんじゃない。」
「うん。」
高校はこれでもいいんだ。
「おっす、笹木、昨日はどうだった?悪戯って聞いたけど。」
「おはよう、悪戯でした。」
「やっばそう?」栄門は何気なく隣に座った。「噂だと何が避妊アイテムの話らしいぞ。」
「へー」その通りです。
「でもそんな大げさだよな、先生たちも分かってないよ、妊娠より避妊のほうがいいに決まってるだろう!」
都会から来たやつの面構えがやっば違う。
「ってお前部活決まった?お!」隣の席の持ち主が来た。「おっす、すまんすまん。じゃ後で。」
「あいー」
ちなみに栄門の席ドア寄りの一番前。
昨日のことがあって、噂もあっちこっち飛んでることもある、安全な場所が見つかる前昼は彩花と各自自由行動と決めた。
「そう、部活!」これは朝の続きです。私はゆっくり弁当食べながら栄門の長話を聞いている。
「俺は将棋部に入ろうと思う。」
「へー将棋好きなの?」
「いや。」
「じゃなんで?」
「可愛い子がいたから。」
「動機不純と言うのはお前みたいなやつだぞ。」
「一目惚れなんだ、F組の星川夢見、名前も可愛いよね!今度お前にも見してやるよ。」
「なんだこの変態みたいな発言は、通報するぞ!」
今この人から逃げたい気持ちは湧いてきた。
「冗談冗談、こう見えて一晩しっかり考えた結果なんだ。」
一晩で将棋部か…
「ならいいけど。」
「お前はどう?将棋部来ない?」
「いや、私は生徒会。」
こっちは10分で決められたんだけどな。
「マジ?!すごいなお前、やる気満々じゃん!」
「まあ、高校生だもんな。」
「じゃ今度将棋部が困った時はこれだな、頼りになるぜ。」
クイズ、OKのサインを寝かしたらどういう意味か。
「無理言うな。」
「そうだな!ははははー」
昼休みは栄門の笑い声で終わった。
放課後は大至急生徒会室へ向かった、彩花は私みたいの自己ルールないから先についた。
ノックから「入って」の「失礼します」。
真っ先に大きなテーブルが見えた。円卓会議開けそうな大きさです。
「適当に座っていいよ、笹木さん。先輩たちクソ遅いから。」
「え、いいんですか?はい…」
先輩たちと言ったら多分彼女は…
「三橋千里、よろしくね。」
「笹木憂也、よろしくお願いします。」
三橋さんはこっちに一目も向けず、ただただ鉛筆を走らせていた。
2席分空いたところに座った彩花も、残念そうな笑顔でこっちに向けた。
私からの返事はまばたき1回。
「宿題もなんでもいい、イチャイチャだけはやめてね。」
事実を語るような温度で言われた。冷たい。
私も宿題やるか。
無言の続きは約30分、だんだん大きくなる話声が無言の終わりを告げた。
「よし!全員揃った?」
ドアを推し散らした女の子がものすごい勢いでテーブルの真向に座った。
「生徒会長二階堂栞よ、こっちらは副会長の三橋美里」一息加え「ちゃん。」
彼女は両手を上げ、まるで歓迎するように、「よろしくね、憂也くんと彩花ちゃん。」と即両手を腰に当たった。
「「よろしくお願いします。」」
返事は大事。
「あの、岩槻先輩は…」念の為聞いたほうがいいかもと思って口を開けた。
「あいつは忙しいから無視していいよ。」答えてくれたのは副会長の三橋美里先輩。
訳ありそうなので好奇心を回収しました。
「話は校長先生から聞いた、面白そうな後輩は歓迎です。生徒会室でイチャイチャするだけはダメね、外なら大丈夫!」
生徒会長がこんなこと言っていいのか悩ましいところです。
「そうだ、三橋さん二人いるから、千里ちゃんは千里ちゃんか三橋さん、美里ちゃんのことは美里ちゃんか美里ちゃん先輩でいいよ。」
「栞?!」
「三橋さんでよろしく。」妹異議あり。
「千里のほうが同い年だし、そっちが千里でいいんじゃない?私は三橋先輩で。」姉も異議あり。
姉妹と言うのはこういうことなんだよね。
「え、そうすると私も呼び方変えないと統一性なくなっちゃうよ、やだよ。」
「せめてちゃんはー!」
「可愛いから却下。」
生徒会役員の感じは大体分かった。
先輩にちゃんつけは少し変に聞こえるからとりあえず「じゃ美里先輩、よろしくお願いします。」
「美里先輩、よろしくお願いします。」彩花もナイスフォロー。
「はーいいよもう。」会長からささやかのため息。「みんな揃ったし、ではー」
気づけば三橋さんはすでにノート開いて記録の準備もできていた。
「63年度第一回円卓会議開始!」
「あ、私のことは栞ちゃんでいいわよ!」
本当に円卓会議だ。
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