想い

私は時雨に、暇だから遊びに行こうと誘った。

時雨と一緒に、春斗を誘うと家に行った。

だけど家には、救急車が止まっていた。

私達は駆け寄り、ドアの方で、心配そうにしている叔母さんに事情を聞く。

「あっ…二人とも遊びに来たの?」

叔母さんは私達の顔を見た瞬間涙がポツリと頬を伝っているのが見えた。

(泣いてる?)

私は胸に妙な不安が広がる。

「どっ…どうしたの叔母さん!なんかあったの!?」

私はおばさんに駆け寄った。

「春斗が…春斗が!急に大量の睡眠薬を飲みだして、それで、倒れたから、怖くて…。救急車を呼んだの」

叔母さんは、泣きながら状況を説明した。

(春斗が…。まさか昨日の言っていた子が関係しているの…?)

時雨も同じことを思っているだろう。

先に叔母さんは春斗の乗った救急車に乗り込む。

それから暫くして、叔父さんが帰ってきたので私達も叔父さんの車に同乗させてもらった。

車から降りた私達は急いで病院に駆けつけた。

待合室の椅子に叔母さんは座っていた。

「春斗は…」

走ったせいで少し咳き込みをしながらも確認する。

「容態は安定しているの。だけどもう少しだけ病院で安静させるって、お医者さんが言っていたわ、だから今日は二人共帰っていいわよ。後は私達に任せて。」

叔母さんはさっきと違い、医者の言葉に安心したのか、

笑顔だった。

「…それでは僕達は帰ります。」

帰り道

私達はずっと三人で過ごしていたから、春斗が居ないだけで、心にポッカリと穴が空いたような、そんな空気だった。

「大丈夫だよ、俺達三人ずっと一緒だったんだからさ。

これからも三人ずっと一緒だろ。だから心配すんな」

その空気を安心に変えようと時雨は言葉を掛ける。

でも、その言葉に私は余計に涙を零す。


遊ぶときも、勉強するときも、学校に行くときも、私達三人は常に一緒にいた。同い年だけど、春斗は弟のように感じた。

だけど最近になって気づいた自分の気持ちを

まだ伝えられていない。

「何で、あのとき春斗の言葉を信じなかったんだろう」

(春斗を失いたくない、まだまだこれからも三人でいたいよ…)

帰りながら私は心から神様に向かって春斗を助けるように、祈りを捧げた。


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