第21話「反撃のカービン」

平治のカービンは瞬く間に、二人の男を倒した。

文字通り頭部を蜂の巣にしたのである。

遠目にホールトマトのようなものが散った。

これなら無力化したはずだ。





そして、平治はすぐに銃口を溶接マスクに向ける。



溶接マスクも必死の様子で、すぐにマスクを被った。

目は見えていないだろう。



弾丸は溶接マスクに当たり、甲高い金属音とともに激しく火花が散った。



そして、流れた弾丸が当たったのか左肩から腕にかけ、血が飛んだ。



溶接マスクは再びトラックの方へ火炎放射した。



平治は再度トラックの方へローリングし、隠れる。



平治は顔をしかめた。

確かに弾丸は溶接マスクを捉えたが、火花が散っただけで敵は倒れなかった。



防弾仕様の特殊なマスクなのかもしれない。



平治がすぐに引き金を引いた指で、マガジンリリースを押す。カービンの弾倉は滑るように落ちる。



と、同時に平治は胸ポケットの予備弾倉へ左手を伸ばす。



が、予備弾倉どころか、ポケットすらない。



「あっ」と平治。

何万回と繰り返し身体に染み込ませた再装填動作は数年後たった今でも覚え込んでいるらしい。





しかし、平治は暴徒鎮圧用ポリマー防護服を着ている。胸にはポケットすらない。



戦闘によって、警官である現在の自分を忘れていた。



「どうぞ!」大慌てでB班の一人が予備弾倉を渡してきた。



平治はすぐに弾倉を込め、チャージングハンドルを引く。



火炎が収まった瞬間、平治は再度躍り出た。

銃口を再度溶接マスク野郎のいた位置へ向ける…



しかし、いなかった。



平治に射殺された2名が血だまりを形成しながら倒れているだけである。





火炎放射男は逃げたらしい。



平治は死んだ男らからピストルを取り上げた。

ピストルは血塗られている。



そしてその1丁を垣に渡す。

垣は「ひっ」と叫んだ。



「予備に持っとけ」と平治。



「すぐに負傷者を冷やそう。流水で。近くにトイレがあったはずだ」平治はB班に言った。B班の班長が頷き、指示を出した。



B班は負傷者を担いだ。



平治はカービンの安全装置を作動させ、渡してくれたB班員に返そうとした。

その班員は予備弾倉をくれた男だった。



男は平治の申し出を断った。

「俺は負傷者を担ぐ。あなたが持っておくといい」男はいった。その目は輝いている。

「所属部隊を教えてほしい。一体地球のどんな精強な部隊なのか。我々もその技術を学びたい」



平治が垣を見た。垣は複雑な顔から一転吹き出した。

「お前の所属部隊名教えてやれよ!平治」垣が笑う。



「第5自治区、地域見守りあんぜんパトロール隊」平治が答えた。



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