週末ですね終活しませんか?

トラース

終活

酷い吹雪の中、風の当たらない場所に座り込んでリュックを漁る。

ぐぅーーー……と腹が音を立てた。

缶詰めも非常食も底を尽きた。生憎水ならあるがもう誤魔化しも効かない程だ。

火を着ける


不思議なことに厚手袋を付けていても指先が寒いと感じる。

どうしてか、死ぬ間際になって人は後悔が溢れるものだ。


32の今まで女性経験がなく、これといって自慢出来る趣味も友人関係も強くやりたいと思う夢や希望もなかった。

もしこうすれば、こう生きれてたら……なんて空想に浸る。


嗚呼、もっと正直に生きれてたらなんて思ったところで目を閉じた。



……暖かい?それに懐かしい匂いがする。

目を開けてみた。広がるのは安心する赤い炎とトマトスープの入った鍋、そして一人の金髪の少女だ。

生きている事に静かに驚きながら起き上がろうとする。

しかし上手く手に力が入らなくてドンッと音を立てて倒れた。

起きた事に気がついた少女が慌てて寄ってきた。


「大丈夫です?」


そう言ってきた。

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週末ですね終活しませんか? トラース @Towata0911

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