第29話 2人の世界、おままごと。②

「ど、どうしたの!?優ちゃん!」

すぐに、俺は優ちゃんに駆け寄る。


「だ‥‥だってぇぇ、玲ちゃんがぁぁ、うぇーーん!」

ダメだ、話が出来ない‥‥。

そうしていると、ふと声が聞こえた。


「仲良しねぇ〜」

「そうですねぇ〜」

母さんと優ちゃんの母親の優美さんがニヤニヤ顔で俺達を見ていた。


(いや、助けろよ‥‥なんで、2人とも落ち着いてるんだよ!)

もう俺がなんとかしよう‥‥。


そうして、振り返ると優ちゃんは少し様子がおかしかった。手が少し震えて、唇がピクピクと動いている。

(あれ、この感じ、どこかで‥‥?)


ただ、次の瞬間、

「玲ちゃんがその気なら‥‥、私‥私、私!」

俺は優ちゃんにそう告げられ、

押し倒されていた。


ガタッ

流石にマズイと思ったのか、母さんと優美さんが席を立つ。


だが、

「私、今から、玲ちゃんとお話するの!邪魔しないで!」ギロ

と、睨みつける。


「そ、そう?分かったわ。」

「ゆっくりね?」

と、2人の動きが止まる。


(助けて!、怖い!、子供にビビんな!!)

心からの叫びだった。ただ、優ちゃんには通じず‥‥、



「玲ちゃんは私のこと嫌いになっちゃった‥‥?」

こんな酷い質問をしてきた。


「そんなことないよ!」


「そう?なら、証明して‥‥。」


「証明?、そんなのどうやって‥‥?」


「そんなの簡単だよ。

私に好きって言いながら、抱きついて、私の目を見て、キスし続けてくれるだけで良いよ。」


それのどこが”簡単”なんだ‥‥?


でも、この感じどこかで

‥‥‥中学の時——


「早くして」


——分かりました!もう、考えてなんかいられなかった。


俺は優ちゃんを抱き寄せて口を耳元によせて、


「優ちゃん、好きだよ‥‥、

いつも笑顔なとこも、僕の為に行動的になることも、いつも僕のことを考えてくれることも好きだよ。

たまに嫉妬が激しいこともあるけど、そういうところも全部含めて、好きだよ。」


俺の本心だった、ずっと伝えたくて、伝えられなくなった言葉。

そうして、頬にキスをする。


自分から”望んで”する久しぶりのキス。不思議なキスだった。


「これから、玲司くん大変そうですね‥‥。」

「そうね‥‥私もそう思うわ。」

そんな声が聞こえたが、聞こえてないふりをした。今が幸せだったから。




それから、少し経って、優ちゃんと優美さんは帰っていった。


そして、優ちゃんに困った癖ができた。

度々、キスをねだってくることだ。

‥‥いや、困りはしないんだけど。










子供ということを最大限、利用する優子。

次回は、優子視点にしようと思います。


後、新作も投稿したので、是非読んで頂けると幸いです!


タイトルは、

『転生した先でも、痩せられない。何かのドッキリですか?』

です!



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る