閑話 《勇者の本音》
――勇者としてに任務を果たすため、ルナは王都へと帰還した。本来であれば彼女は故郷へ戻す事は許されていなかったが、どうしても我慢できずに彼女は飛び出してしまった。
一年ぶりに再会した幼馴染のコウと出会えた事は嬉しかったが、彼女は一人で無茶をするコウを見て怒ってしまった。喧嘩別れのような形で彼の元を離れた事にルナは落ち込む。
「はああっ……僕、どうしてあんな事を言ったんだろう。コウ、絶対怒ってるよね」
王都の城壁にてルナは三角座りで落ち込み、この一年の間に最も合いたかった幼馴染と喧嘩して王都に戻ってきた事に深く後悔する。本音を言えば謝るためにもう一度故郷に戻りたいが、生憎と今回の一件で彼女は大勢の人間に叱られてしまった。
「僕が勇者の仕事をほったらかして出て行ったから皆が怒るのは仕方ないけどさ……僕だって一年間も我慢したのに」
立派な勇者になれば故郷に帰る事も許されると聞いてルナは必死にこの一年間頑張ってきた。勇者としての力を覚醒させるために厳しい訓練を行い、一年前と比べて彼女は確実に強くなった。
しかし、強くなった途端に国王は彼女に勇者の務めを果たすように命じる。現在、王国の領地内で危険区域があちこちに誕生し、その問題の対処のために勇者の力が必要不可欠だと判断され、これからしばらくの間はルナは忙しくなる。
次に故郷に戻れるのはいつの日になるか分からず、だからこそコウと喧嘩して別れた事に彼女は酷く落ち込む。だが、ルナは気を取り直して勇者の務めを果たす事を決めた。
「そうだ!!もっと僕が強くなって勇者の仕事をちゃちゃっと終わらせれば村に帰れるかもしれない!!そうしたらコウにも謝れるし、それがいいよね!!」
彼女は一刻も早く一人前の勇者となり、国の問題を早急に解決すれば故郷に帰る事を正式に許可される日が来るのではないかと考えた。そんな単純な話かどうかはともかく、幼馴染のコウに謝罪するために彼女は一人前の勇者に早くなることを誓う。
「よ〜しっ!!頑張るぞ〜!!」
ルナはコウにまた会うために今まで以上に勇者としての務めを果たす事に専念する。しかし、そんな彼女の願いとは裏腹に日々成長していく勇者を国の人間達が容易く手放すはずがなかった――
※流石に短すぎるので10時にもう1話追加します。
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