第42話 勇者と作業
>> ゴルファ
上手くいった。
ローのやつにエステルちゃんを寝取られてから、我慢の日々。
いや、そもそも、初恋が俺でない奴はアウトなんだが。
地雷っぽかったし。
ともかく。
俺にも、ついに主人公らしく、ヒロインが現れた。
敢えて全力で魅了を使ったのは、助けた後に逃げられても困るからだ。
卑怯と言うな。
全力を尽くしていると捉えて欲しい。
さてさて。
魔王すら軽く倒せる俺だ。
モンスターパレードなど、軽く沈められる。
ファムディアは、何度も行ったことがある。
何故か魔物が多いから、稼ぎが良いのだ。
レベル上げが主な目的だが、副産物として随分お金も稼がせてもらった。
気配、察知。
ふむ。
転移。
転移した先に、魔物の群れ。
これは……烏合の衆か。
特に、リーダー格はいないようだ。
「剣技レベル10」
スキルを発動。
普段から使っていれば、意図的な発動は不要だが。
俺の場合、スキルの数が多すぎるから、普段は不活化している。
サンッ
なまくらの剣が、伝説の剣に早変わり。
剣聖すら慄く技術で、敵を切り刻む。
「縮地レベル10」
移動速度を上昇させる。
というか、通常の移動を瞬間移動にする感じだ。
通常、スキルは5が最大だ。
そう言えば、10がどれだけ異常な事か分かるだろう。
ざん
オークキングの首が飛ぶ。
す
ドラゴンの首が落ちる。
面倒なので、レアドロップ以外は放置だ。
普段のレベル上げよりも、数段雑に処理していく。
10分くらいだろうか。
入り口にたまっていたモンスターパレードは、その姿を消した。
あと2つだったか?
ふむ、多分あれだな。
距離は、ざっと100kmといったところか。
なら。
「精霊魔法レベル10」
そして
「精霊魔法、ラーヴァフロウ!」
魔物の群れの真ん中に、溶岩が出現。
魔物の群れを飲み込む。
……流石に、全滅はしないか。
「精霊魔法、フライ!」
飛び上がり、ややあって、到着。
魔物は混乱の極み。
「精霊魔法、ラーヴァスピア!」
千に近い炎の槍が上空に出現。
降り注ぐ。
「レッドレイン、そんな名前をつけてもいいな」
呟く。
さて。
ここまでは、余興か。
家を出てから、1時間も経っていない。
後は。
「人の子よ。何者ぞ」
それが、語りかけてくる。
フェンリル。
おとぎ話の存在だが。
こうして、現実に出てくるとは。
「俺こそ、問おう。神話の時代に滅びたとされるフェンリルが、何故現代にいる?」
「我が主が目覚める。今生は、優れた肉体を得てな。なれば、この好機、我とて座して待ちはせぬ。目覚めもしよう」
……封印されてたのが出てきちゃった感じかな?
一応、狼系の魔物を育てまくると、フェンリルにはなる。
ダンジョンでマスターに飼われているのは、大抵そういう奴だ。
もしくはガチャ産。
「うぬは、勇者か?」
「当たり」
隠す意味はない。
何故なら、こいつは今から滅びるのだから。
「なれば、不運であったな。我が、主様の露払いをしておこう」
フェンリルがひと吠えすると……
青い光が無数に出現。
……さっき俺が放った溶岩の槍より遥かに強いな。
じゅ
俺に殺到するが。
俺の周囲を覆う、オーラの鎧に弾かれ、霧散する。
「むぅ?」
さて。
とっておきを出すか。
というか、ぶっちゃけ、実験だ。
俺の持っているスキルのうち、危なすぎて使えないシリーズ。
そのうちで、ましな方に分類されるこれ。
本当は魔王に撃つ予定なのだが。
ぶっつけ本番で使うよりは、予め試しておいた方が良い。
「神技解放」
普段は封印してあるスキル群を活性化。
そして、それだけで単独のスキルとなる、特別な攻撃スキル。
「
剣に。
光が集まり……
ゴウッ
光の奔流が、大地を、森を、溶かしながら突き進み。
そして。
「ぐおおおおおおお!」
フェンリルが現出させた護りの光を次々に貫き。
ゴウッ
フェンリルの半身をえぐった。
……生きてた。
「ぐ、ぐぬ」
転移して逃げようとするが。
当然、周囲の空間は凍結させている。
空間移動は使えない。
さてどうするか。
これより強力な奴は、世界が壊れそうなんだよな。
なら。
「
再び、フェンリルの身体を吹き飛ばす。
「
「ぐおお……!?」
「
シュンッ
3撃目で、フェンリルは動かなくなった。
「ひっ!?」
周囲の魔物が、怯えた声を出す。
「
魔物の群れを吹き飛ばす。
「
別の方向も。
「
さて……あとは細かい奴か。
正直逃しても問題ない気がするが。
変に俺の存在を広められても困るからな。
「剣技レベル10」
「縮地レベル10」
地道なのが一番。
1体ずつ、処理を続ける。
そして。
2時間、というところか。
モンスターパレードは、軒並み消失した。
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