第5話

俺はチキンカツ定食、颯太は生姜焼き定食にぶっかけうどんを頼んだ。あらいらっしゃいとキッチンの中から返事が聞こえた。颯太は大食いで気に入られてるので、いつもおばちゃんにおまけされている。二人とも注文を受け取ると、恵那の待つ席へと向かった。

 

「遅い!」

「仕方ないだろ混んでたんだから」

頭をかきながらそう答えた。

恵那は急いで行ってくると小声で続けると小走りで学食の列に向かっていった。

 

「しかしなんであいつは海で遊びたいなんか言ったんだろうな。」

「恵那的にも例の噂気になってたんじゃないのか?」

「正直俺は乗り気じゃないけどな。万が一人魚に会ったらどうするんだ。」

「私の悪口でも言ってた???」

先ほどの会議の話を軽くさらっていると恵那が帰ってきた。お盆の上には涼やかな器に小洒落たパスタが盛られている。

 

「いや別に。」

「私はみんなで海で遊びたかったの。そんなに嫌なら反対したら良かったじゃない。」

「夏の思い出作りということで良いじゃん。潮が考えてるほどの事はないよ。そもそも潮は人魚信じてないだろ。」

 

そう言われると二人の言う通りなので、大人しく食べるのに集中することにした。

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