第2話

 「行ってくるわ」

 「今日は早めに帰ってきなさい!」

 そんな母の小言を背中で聞きながら、出発の支度をした。今日はサークルがあるので、大学に行かなければならない。

 

 「うしおーーー」

 大学に向かう途中、聞き馴染みのある、大きな声が聞こえてきた。

 「朝から元気だな颯太」

 頭をかきむしりながら、そう言うと

 「何言ってんだこれぐらい普通だろ」

 と返された。こいつは幼なじみで、一緒の大学に通う早川颯太。声もさることながら身長も、 一九〇越えの大男である。並の男なら横に並ぶだけであたかも自分が小さいと感じてしまうそんなサイズ感である。

 「そういえば今朝また見つかったらしいな。」

 颯太がそう続ける。

 またその話題かと多少うんざりするもののそんな態度はおくびにも出さず

「そうみたいだな」

 と短く返した。

「興味ないじゃねぇか!」

 臓器が全て出るかのような衝撃が走る。背中を叩かれながら颯太はそう言った。長い付き合いだバレてたらしい。


 

 

 

 

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