第12話 家族団らん
「はぁーーー……」
「どうしたんだライアン。そんなに深いため息を吐いて。まさかサバス様と喧嘩でもしたか」
心配そうにしながらも、いつものように元気よく接してくるのはお父様。
これでも私のことをいつも心配はしてくれているのだ。
「いえ、サバス様とは幸せなのでなんの問題も──」
「まーーー!! ライアンったら! 私にも早く紹介してちょうだい。サバス様の素顔を拝見したいのよぉ」
「おいおい、娘の旦那になるお方だぞ? 俺の立場はどうなる……」
「あなたのことはちゃんと愛しているわよ。でも推しくらいいてもいいでしょう。サバス様と言ったら物凄い人気なんだから……」
お父様は妬いているし、お母様は顔がニヤけている。
娘の前でイチャコラしないでほしい。
もしも、私とサバス様の子供が産まれても夫婦でこういう感じになったりするのだろうか……。
ん……、コドモ?
「……ひゃーーっ!!」
妄想しただけで声に出てしまった。
顔を真っ赤にしている私に対して、二人とも一度はこちらを見てきたが無視され、しばらく二人だけの世界に入っていた。
今までも妄想癖でこういうことはよくあったので、気にもされなくなっている。
「おっとすまない。ライアンの落ち込んだ理由を聞くのを忘れていたな。まぁその顔なら問題なさそうだが」
「さっきの発狂は別件ですよ……。落ちていた理由はオズマとミーナのことです。ミーナのご両親は裁判でお取り潰しの可能性が高いそうですし。色々ありましたけど私にとっては腐れ縁の幼なじみですからね」
「……相変わらずライアンはお人好しだな」
それはわかっている。
散々金をたかってきたオズマのフレイヤ家は迷惑だったし、ミーナの我儘や傲慢さには手を焼いていた。
それでも家庭が破滅するほどの事態になってしまったら悲しい気持ちにはなる。
「安心しろ。あれから俺も話を聞いていたが、少なくともこれ以上問題を起こさなければ、今回の件は家と財産を失うだけで済むそうだ。まだ更生の余地はあるだろう」
「まぁ。そんな甘いことしなくても爵位剥奪して追放して仕舞えばいいのに。ワインド男爵家は関わっててめんどくさかったのよね」
お母様はどうやらミーナたちとは二度と関わりたくないらしい。
結果的にはお礼を言いたいことではあるが、自分の娘の婚約を奪ったような相手だもんな。
「厚化粧だし香水臭いし、お茶会のとき毎回迷惑してきてたのよねぇ……」
私のことではなかったんかい!
「でもお母様……。これ以上問題を起こさなければと仰っていましたが、あの家で問題を起こさないことってありますかね……」
「「たしかに」」
お願いだからミーナも含めてワインド家の方々はこれ以上トラブルを起こさないでほしい。
更生してまともにお付き合いができる環境に変わってくれればいいんだけど。
私の考えは甘すぎるのかも知れない。
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