第9話 王都内でのデート(後編)
いきなりサバス様の立っている場所が神々しくなってしまってサバス様を直視できなくなってしまった。
よってマーレットをガン見して目線を逸らしているが、マーレットは身体中震え上がっている。
「ま……まさか、侯爵のサバス様!?」
「ライアンに対して普段からこのような態度をとっているのか貴様は!?」
マーレットの鼻から血が流れている。
おい、私の婚約者見て興奮するな!!
「ひーーー……私の婚約したかったサバス様が……そんな……」
震えながらサバス様を見て興奮しているようにも見える。
妬いてしまいそうだ。
しかも、サバス様は更に大サービスを……。
──ドン!!
うわぁ、イケメンの壁ドン、キタァーーーー!
右手を壁にあててマーレットの行手をふさぎ、上からマーレットを見下す姿。
サバス様は相当お怒りなのはわかるんだけど、それってただマーレットに大サービスしているだけなんでやめてもらえます!?
「マーレットよ、ここで二つ私と公約を結べ。さもなくば貴様の言う上位貴族の権限とやらで貴様の家がどうなってもしらんぞ」
「……は、はひーーー! なんでも聞きますう……」
なんで喜ばせてんのよ……。
マーレットの位置に私が入りたいくらいだ。
容赦無くサバス様は脅迫を続けた。
「ひとつ、二度とライアンに見下すような発言をするでない。また、民衆の人間にもあまりでかい態度をとるな。ふたつ、私の先ほどの変装、誰一人に対しても喋るでないぞ。喋ればどうなるかわかっておるな?」
「は、はひーーー! かちこまりまちた……。やくそくしましゅ……もうしわけございません」
「よし」
壁ドン包囲網はようやく終わり、サービスタイムは終了した。
私もいずれあんなふうに壁ドンされたい。
冗談はさておき、サバス様が私を助けてくれた……。
マーレットが放心状態になっているが、これはおそらくサバス様の顔を直視したダメージだろうな。
「サバス様……ありがとうございます」
「当然のことをしたまでだ、だがすまない。変装を解いてしまったので、ここからは馬車で移動になってしまう」
「私は満足ですから」
遠くから見張っている護衛がこのことに気がついたようで、馬車の迎えがすぐに来た。
今日のデートでわかったことは、サバス様でもダサス様でも、私にとってはどっちでもいいんだと。
だって、どっちだって私の大好きなサバス様なのだから。
後日談。
マーレットは金輪際今日の出来事やサバス様のことは誰にも言わなかったそうだ。
理由は、あれほど至近距離でサバス様を見れたことは自分だけの宝物にしたいんだとか。
全然反省してないし!!
でも、マーレットから私に対して嫌がらせをしてくることは、その後なくなった。
馬車が私の家の前に到着し、サバス様とはまたお別れの時間がやってきてしまう。
できればずっと一緒にいたいんだが。
「そうだライアンよ、明日王宮に来るのであれば、私の父上に会わないか?」
「侯爵様ですか!?」
「うむ。父上は私のパートナーは貴族だろうと民間人だろうと自由にしていいと申していた。心配する必要はない。それにいずれ紹介しようと思っていた」
「わかりました。では明日はそのつもりで伺います」
ついに侯爵様とプライベートで会う日が来てしまうとは……。
さっきのマーレット以上に私の身体がガクガク震えている気がした。
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