第7話

本日は会議である。

VRを用いて、どのようにお金を稼ぐか。

その会議だ。


「まずはVRRPGで経験値を貯めるのはどうだろうか。オンラインはまだ早かったと思う」


 我が社のメインプログラマである機平の言葉に頷く。確かにいい案だ。


「開拓ゲームのデータを流用すれば、早期にどうにかなるかもしれないな」

「でも、完成するのはもう何年か後だろ? その頃には飽きられてるんじゃねーか?」

「新しいプロジェクトも並行して進めた方がいいと思うよ」


 駆け出しプログラマとして頑張っている氷炎コンビ、刹那と海斗が意見を出す。

 ゲームの企画書を一緒に出してきた。さすがだ。


「確かに、新しいプロジェクトか……。どんなゲームがいいか、意見を出し合うか……」

「はいはい⭐︎ ゲームに限らずとも、何か面白い企画やイベントをするのもありだと思います。むしろ、うちの強みってそういうのだと思います⭐︎ 5周年をどうするかもそろそろ考えないと⭐︎」


 桜子ちゃんが言えば、燕がぱあっと顔を輝かせて、企画書をドンっと机に乗せた。


「僕、5周年イベント、いっぱい考えました!」

「おおー」


 メーリカ国へのツアーやらお祭りやら、楽しそうな企画がしっかりと考えられていた。


「なるほど……。そうだな。イベント、まだ一回もしてないしなぁ」


「ゲームですけど、私達も細かい企画を作ってみました。まずはミニゲーム集から作っていくべきかなって」

「オンライン機能はランキングだけにして、簡単なたたき台のプログラムも作ってみた」

「頑張りました!」


剣槍弓トリオも資料を出す。


「悪いが、わしは渡くんのサポートに専念したい。お父上の機平さんがメインプログラマで抜けられんからな」

「ありがとうございます」

「それは確かに」


 最年長の平光さん。確かに、渡くんには手厚いサポートが必要だな。

 最後に龍彦くん。


「ここは、5周年に向けて特別な事業を立ち上げるべきです」

「聞こう」

「魔法プログラムを作りましょう!」

「それでゲームにどう繋げるんだ?」

「その経験をもとにゲームを作るんですよ!」

「魔法を作るゲームというのはプログラム的に厳しいからなぁ。開拓の非じゃないぞ」

「開拓以上と井生のはうちの体力的にちょっと厳しいですね」


 機平の言葉に、そうだよなと頷いた。こう見えても資格はあるし、ポシャったとはいえゲームを一回完成させている。プログラムについては多少わかるのだ。少なくとも、できるできないくらいは。

 魔法プログラムの作成自体をゲームにするならば、ユーザーとなる世界も作らないと片手落ち。ワールドは小さいものにするにしろ、環境の違いも出さないとだし、簡易化してもめちゃくちゃ大変である。


「そもそも、魔法を作るという作業はくっそ面倒くさいからな」

「そんな……なんとかならないんですか、邪神様!」

「ならない」

「魔法ってどういう風に作るんだ?」


 刹那の質問に、興味深そうな顔をする一同。ふむ。軽く講義をしてみようか。

 魔法というものはな。物理法則をもう一個作るのとおんなじなんだよ。

 略式にすれば簡単だけど、略式は応用が全くできないからな。

 簡単に使えすぎるのも問題だし。

 触媒もめちゃくちゃ高いしなー。






 一通りの講義が終わり、翼が言った。


「イベント会場で一時的に魔法を使えるようにして欲しいです! それぐらいなら可能ってことですよね」

「それぐらいなら、まあ」

「魔法案はお任せください!」

「やる気だな、龍彦。事故が起こらないように無害なのにしろよ?」


 ということで、大きなゲームを2つ、ミニゲーム集、五周年準備を行うこととなった。

 それぞれ言い出しっぺがリーダーである。

 目標は五周年の場で大々的に発表だ。


 今度こそ、売上あげるぞ!

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る