第3話

「いろんな人種がいる……」


 桜子が感極まってポーッと周囲を見ている。他の子達も似たようなものだ。

 竜族や獣人族、エルフ族、ドワーフ族、ドリアッドなどそりゃもう様々。

 そう、ここは惑星テランがメーリカ国の王都フリーガーディアンである。


「開拓をするに当たって、役人を派遣してもらえるんだ。もちろん、費用は支払わないとだけど」


 ゾロゾロと迷彩服やお星様の服や白衣の人を引き連れて役所に向かう。

 うん、来たいっていうんだもん。12人だけで会社の仕事も村の維持もとなると大変だし、企画が終わったら村も放棄なんて無責任すぎるし。後、蜘蛛子さん他についての便宜も払ってもらえる事になったし。


 そして、市役所に宝石や魔石を提出し、申請をした。


「うん? お前ら、何族だ……?」

「丸耳族と言います。開拓をしたいと思っているので、申請をお願いします」

「ああ? 子連ればかりじゃないか。無謀だとは思うが……まあ挑戦するのは自由だ。派遣する者の選定は二日後まで待て。開拓予定地だが、どこになる?」


 地図を出す。ここは空を飛べる竜族がいるので、地図は機密ではない。

 ちなみに子連れとは卵の事である。卵生の種族もいるからね。鳥人とか竜人とか。


「ここ」

「は?」

「ここ」

「あそこはレイドボアの縄張りだが」

「知ってます」

「そ、そうか。どうするつもりだ?」

「バーベキュー!」

「逆に夕食にならないようにな……。しかし、そうだな。よし。場所の予約はしておいてやるから、レイドボアを倒してから来い。それならば、無駄足にならないし、派遣する者もちゃんと選んでやる」

「わかりました。一ヶ月後にまた来ます」


 そして、社員その他を連れて、説明しながらあちこち見て回った。

 翻訳するのは今だけだから頑張って必要な用語を覚えるがいい。


「この惑星は魔物達が強くて、人類大ピンチなんだ。だからまあ、干渉してもそんなに問題はない」

「魔物って強いんですか?」

「魔法だなんだとチートな人類が負ける程度には強いよ。でもまあ、弱い敵から徐々にレベル上げして行くから心配ない」


 一旦社に戻って休み、次の日早朝から街の外で狩りをする。


「じゃあ、一角兎から狩ってみようか。武器は持ったね? 武器トリオから行ってみよう。卵は抱えたまま、間違っても割らないように」

「俺はやるぜ俺はやるぜ」

「そうかやるのね」

「やるならやらねば」


 獲物や周囲の戦う様子を見て、安堵した様子の軍人さんがいう。


「じゃあ、私達も散開しますね。時間になったら合流しましょう」


 そして、迷彩服の人達と白衣の人達は野に放たれた。

 さて、この惑星の魔物は俺が研修してた世界と酷似しているので、捌き方は大丈夫なんだけど、うまく教えられるかどうか。


 









 二週間後。


「上手に焼けましたー!」


 ビックボアの丸焼きを前に輝く笑顔で桜子が言う。

 大変良くできました。できすぎてびっくりです。

 異能、魔力、根源魔力をちゃんと区別して操れるようになってきているし。

 その背後では軍人さんが異能でサクサクグレイトウルフに切り掛かっていた。

 ちなみにグレイトウルフは家より大きい。無謀ー。


 二週間後には彼らは現地の人々にすっかり受け入れられていた。早い。

 燻製の作り方や農作物の育てるコツなど、この文明力でできることを色々教えたのが勝因らしい。

 

 俺も軍人さんや科学者達に燻製などの作り方の知識を分けてもらう代わりに、異能値が高い人の異能を解放するバイトを行ったもの。やはり食べ物は強いよね。


 楽しいと習得は早いとよく言ったもの。

 彼らはどんどこ異能を伸ばしていた。

 

 後、自力で魔法については覚醒させて魔法習得を頑張っていた。好きこそ物の上手なれ。

 これについては本当にびっくり。俺はまだまだ教えるつもりはなかったし、特殊加工した魔石や卵にしか魔力を吸えないほど硬い殻に覆われていたはずなのに、どういうことなの……。

 自力で魔力の殻を破る方法を調べ上げるなんて、イカれてる。

 そんな魔法に異能にフィーバーしまくる軍人さん。


 でもここぞというときはロケットランチャーに頼っちゃう。だって軍人だもの。

 グレイトウルフはロケットランチャーによってお星様になった。

 






 ということで、いつの間にやら……本当にいつの間にやら一足先にレイドボアもついでにバーベキューにしていて、街ぐるみの宴会を行なっていた。一ヶ月まだたってねーよ。無事開拓の許可が降り、お役人様を連れて陣地を作る事になった。


 あっという間に出来た。陣地構築で軍事様に勝てるものはいないわな。


「これじゃ開拓感ないから、俺達の家は自分達で作ろうか」

「でも、家の作り方なんてわからないですよ?」

「心配しなくていいよ、桜子。平光」

「チームにRNGポイントを貰ったぞい! 欲しい家を選びんさい」

「えと、じゃあこれ!」


 ポイント消費をして、時計を操作すると、あら不思議。


 ボフンっと家が出現する。


「こっちの方がずるじゃん……じゃあ俺、この格好いい家!」

「全員に家を建てるにはそのレベルの家だとポイントが足りんぞ」

「レアポイントはレイドボスと引き換えでーす」

「狩にいくか」‘


 そこで軍人さんも口を出す。


「レイドボス狩れたら私達にもご褒美ください」

「んー。異能解放3人」

「5人」

「ん、まあいいか」

「よし行くぞー!」


 そこで、平光さんの卵が割れた。子犬いや小狼である。


 いつの間にかきていた平光さんの奥さんと大喜びで餌をあげている。

 あ、花子さんはかなり早い段階から一緒に来るようになっていた。

 機平さんは相変わらずお仕事である。

 

 産まれてきたばかりなのに平気な顔で肉をかっ喰らうそいつは足もぶっとく確実に強く大きくなる。

 うっわ。異能に魔法に魔物の始祖とか確実に戦力オーバーだろ、まさかこんなに強いとは。やばいなバランス整えるどころかぶっ壊れるかもしれん。

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