第2話

 龍彦の報告を聞いて耳を疑い……はしなかった。


二年前。

日本に、とんでもない宝物を投げつけた謎の日本人は、当然のごとく監視されていた。

その彼の作った装置は、VRや医療についての知識の他に、こんなものを表示した。

ーー異能値。

ーー根源魔力。

ーー魔力。


だから、当然人々は興味を持って、そりゃもうなんだかんだで二年で1万人程度は試していたし、それに沿って実験だってしていたのだ。


結局、合格したのはその中でわずか34人のみだったが。


「なんだと? 新たなしかも有人惑星に異能に魔法の卵?」

 

 確かに、異能値と魔力と根源魔力という測定器はあったし、ついでに自分も測っていたので、ついにという思いの方が大きい。


「……。それって異能値いくつから異能が使えるんだ?  異能はどんなものだ?」


 それが大事だ。それが大事なのだ。自分だって異能値は結構高かった。一万人の中で、上から数えた方が高い程度には。

 龍彦がペットボトルを投げて手をぞんざいに振れば、不可視の5本線がペットボトルを切り裂いた。

 思わず絶句する。数瞬の沈黙ののち、思わず喜びの声が漏れた。


「ずるい! 絶対楽しい! すごい!! どうにか潜り込めんのか!?」

「交渉してはみますが、有人惑星となると本格的な植民は難しいでしょう。それに、もう一つの惑星もありますし」

「あれな……」


 遠い目をする軍人。

 惑星麗和はそりゃもう大変な事になっていた。大きいんだから、喧嘩の必要なんてなさそうなのに、実態は凄まじい場外乱闘である。もはや事前の取り決めも何も無い無法地帯。好き勝手入植する人々に、政府ももう諦め気味だ。一応、参加する国からは日本が実際に払った費用を根拠に資金を貰っていたからまだいいのだが。

 結局お金で解決という流れになり、普段はお金を払わされている日本が逆に資金を得ていた。

 既にそれは、払った金額を超えている。一応、完全に日本の領地である良さそうな位置の島国も得たし、これで良くない? となっている日本である。


 端的にいうなら盛大に失敗した。


 当然である。外圧にただでさえ弱い日本に外から狙われるような宝を落とせば当然そうなる。


 なので、それはそれとして異能やエイリアンにすごく興味がある。開拓はもうお腹いっぱいです。

 小さな領地を頂けて、そこから特産品を安くいただければいうことはない。

 是非とも噛ませていただきたい。


 軍人だって、幼き頃はエルフだドラゴンだのに憧れていたのだ。


「あまり欲はかかないようにするから、どうにか噛めるようにしてほしい」


 そして報告を上げたのだが、情報は当然のように漏れ、当然のように科学者が一緒にいく事になり、科学者の護衛をする護衛隊を護衛するコメ軍なんてわけのわからない事態になるのだった。

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