先輩の話
私は先輩が好きだ。
先輩は覚えていないが私は一度先輩に命を助けて貰った事がある。その先輩の名前は伊野輝(いのあきら)先輩で水泳部に所属している。私が川に溺れている子供をを助けようと飛び込み崖の上に避難させた時に強い流れがきて今度は私が流された。そしてその時に助けてくれたのが先輩である。いわば命の恩人と言う奴だ。ちなみにこれは中学生の時の話しで今私は高校生である。
高校生になって奇跡的に先輩を見つけた。そして、水泳部に入っていることを知り私も入った。子供の頃から水泳をしていた私は先輩と同じ100メートル自由形を泳ぐことにした。
先輩は私と同じ後輩とは関わろうとせず私から声をかけない限り喋ろうともしなかった。
なので、毎日毎日私は話しかけタイムを競い合うことにした。水泳において男女差と言うのは存在し大体私が負ける。しかし、負けると言うのはちょっと悔しいが先輩と一緒に泳ぐのはとても楽しい。たまに自分が後輩だと言うことを忘れ厳しい言葉になってしまうけれど、先輩はそれを許してくれる。
帰り道は先輩と一緒だ。先輩はいつも少食なのかあまりご飯を買って帰らない。これじゃまるで私がたくさん食べる子のようだ。
先輩との会話で1番うれしかったのは私が他の先輩と一緒に帰らないこと聞いたとき
伊野「俺は帰り道が違うから一緒に帰らないし、真谷以外の後輩とはあまり話さないから」
と言ってくれた時である。この言葉を聞いて私はなんだか特別にしてくれてるような感じがして嬉しかった。
しかし、先輩は1年上の3年生である。先輩の最後の試合が近いので私は先輩が練習に集中できるようにしばらく距離を置いた。こっそり先輩の練習を見ていたがその真剣度がとても伝わってきた。
最後の試合当日に決勝進出を果たし決勝戦私は見た。結果はコンマ2秒で先輩が負けて2位になった。私は試合が終わった先輩に話かけようとしたが泣いているのが分かったので声をかけるのをやめた。その日に以来先輩は引退し水泳部に顔を出さなかった。先輩も受験で忙しいだろうとは思っていたが自然と表情も暗くなってしまう。
数ヶ月が経ち先輩が水泳部に顔を出した。今日は大学の合格発表だったので私は聞き合格ていたのがわかり私は誰よりも喜んだ。先輩に諭され練習に戻ったが先輩は先生と話した後もみんなの練習を見ていた。
数ヶ月ぶりに先輩が一緒に帰ろうと言ってくれたので私は笑顔で承諾した。数ヶ月ぶりに話すので話したいことが沢山あり時間が許す限り全部話した。とても長い時間に感じれた。私は最後の試合の日に本当は告白するつもりだった。しかし、先輩が負けてしまい。あの状況で告白する勇気が無かった。いや、多分私には面と向かって告白する勇気が最初からないのかも知れない。話ながら考えその結果私は先輩の連絡先を貰うことにした。
そして、私は家の前で先輩と別れ勇気を出してたった一言『好きです。』と送り返事を待った。こんな最低な告白に先輩はどう思うだろうか。これで断られても私は文句は言わない。何故なら私が悪いのだから。面と向かって言えない私が。
しばらくして、返事がきた。私はドキドキしながら画面を見たのだった。
先輩の背中を追いかけて ニガムシ @chirsann
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