第9話 ジョージの助け舟

 先月はレナード様の17歳のお誕生日だった。


 我が国では18で成人になるので子供としては最後の誕生日である。

 レナード様も本当に立派になられた。学業も成績優秀で最近は侯爵家の家業のお手伝いもされている。


 落ち着いた物腰で、先日の誕生日パーティーの時も17歳という年齢に驚かれているお客様が多々見られた。

 見目も麗しい。美しい金髪、もうジョセフ様の身長を超え均整の取れた体つきで、頭脳明晰そうでありながら冷たい感じはしないブルーグレーの瞳。


 ウイリアム様によると学園でもおモテになるらしい。


 当のレナード様は女子にはあまり関心を示されずパーティーでも令嬢たちに囲まれて少し辟易とされておられた。この誕生日パーティーでのお披露目でレナード様の花婿候補としての株がぐっと上がったことは間違いないでしょう。


 侍女に追加の飲み物の指示を終えて出て行こうとする私に懇願するようなまなざしで声をかけられ、


「あっジョージ、お父さまが僕を呼んでるって?」


 ここは助けて差し上げましょう。


「はい、お急ぎのご様子でした」


 私がそう答えると、令嬢たちの残念そうな視線をかいくぐり広間から出ていこうとすれ違いざまに


「ジョージ助かったよ、ありがとう」と苦笑いされた。


 その様子をウイリアム様は面白そうに眺めておられ


「僕が困ったときもよろしく頼むねジョージ」


 とませた調子で笑っておいでだった。



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