第10話 真夜中の知らせ
第2部
真夜中だった。厚い玄関ドアを力いっぱい叩く音が静かなホールに大きく響き渡った。
「お願いします、警備隊の者ですお知らせがございます」
この時間に警備隊からの知らせ。
警備隊はその町の保全、事故、事件の処理全般を担う機関である。
ジョージは不吉な予感を感じながらガウンの襟を引き寄せ、寒さのせいか不吉な予感のせいなのか少し身震いしながらドアを開けた。
2階の僕の部屋は玄関の真上にある。10月末の夜、窓は閉めていたがそれでも玄関を叩く音と何か大声で呼びかけている声は聞こえてきた。
パジャマの上にガウンを引っ掛けて早足に玄関へ向かった。
玄関ホールが見えてくると中に黒いコートを着た背の高い男とジョージが話しているのが見えた。ロブや侍女長の姿も見える。反対側の廊下からフロウが同じ、パジャマにガウン姿で不安そうな面持ちで歩いてくるのが見えた。
その時侍女長が口をおさえ泣き崩れた。
その姿を見たフロウが走って階段を駆け下りた。フロウを先に行かせてはいけない、と咄嗟に僕もその後を追った。だが間に合わなかった。
先に玄関ホールに到着したフロウに、厳しい表情のジョージが一言二言話をした。
ぐらりと彼女の体が揺れた。追い付いた僕は必死にその肩を支えたがフロウの細い肩を掴む自分の手が震えているのに気づいた。
「兄さん・・」
振り返ると不安そうな顔をしたウィルがすぐ後ろに来ていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます