第13話
「はぁ⋯⋯やってしまった⋯⋯」
放課後、ファミレスにて。
クラスメートである仲が良い女友達2人とテーブルを囲んでる中、私は頭を抱えていた。
「ひ、姫乃ちゃん、大丈夫?」
「ま、まあ⋯⋯はい、大丈夫です⋯⋯」
「ったく、男子たちもほんっと最悪だよね〜!」
私に寄り添い不安げな顔を浮かべる雫(しずく)と、それとは反対に頬杖をついて唇を尖らせる遥華(はるか)。
2人とも真反対な性格だが、ありのままに生きているところが好きだ。
「最近姫乃ちゃんが例の人と上手くいってないからって、『相談のろうか?』って⋯⋯キモすぎない?」
「き、キモいは言い過ぎだよ⋯⋯。それに、例の人とうまくいってないって言っちゃ駄目だよ⋯⋯」
「いえ、いいんです雫。実際、うまくいってないのは事実ですし⋯⋯」
自然と溜息が溢れてしまう。
最近、原因不明で善一くんから避けられている。
もう1週間も登下校を共にしていない。
クラスが違うから流石に寂しい。
「でもさ、なんで姫乃ちゃんは無視しちゃったの? 彼、姫乃ちゃんに話しかけようとしてたように見えたけど」
「それは⋯⋯」
そう言われると自分でもわからない。
あの時突然思いついたことだったから。
善一くんが教室から出てきたのが見えた時は嬉しかった。
だけど———
「———急に避けられ始めて⋯⋯今までの不安とか焦りも出てきて⋯⋯善一くんが鈍感なことにも急にイラついてきて⋯⋯」
「あー⋯⋯彼、鈍感だもんね」
「姫乃ちゃん⋯⋯」
大体、私だって今まで耐えてきた方だ。
ハグとか何回もしてるのに善一くんは多分私のことを意識してないし、好意だって頑張って伝えてるのに⋯⋯。
「丁度クラスメートの男子たちが付き纏ってくれたので仕返しでも、と思ったのですが⋯⋯」
「多分、何も感じてなさそうだよね〜」
「そ、そうかな? 私は落ち込んでるように見えたけど⋯⋯」
「ほ、本当ですか!?」
私が他の男子と話しているのを見て善一くんが落ち込んでいる?
そ、そんなことが⋯⋯?
たしかに押してダメなら引けとはよく言うが⋯⋯。
「わ、わかんないよ? 私の見間違いかも⋯⋯」
「雫さあ、相変わらず自信なさすぎだってば。もっとこう⋯⋯自信をさ! ね!?」
「うぅ⋯⋯そんなこと言われてもわかんないよ。見間違いかもしれないし⋯⋯」
「あっ! 自分を卑下するのは駄目って言ったでしょーーー!?」
雫は弱々しい悲鳴を上げ、女子バスケットボール部に所属している遥華に強引にくすぐりを受けていた。
自分を卑下する雫と、それを注意する波瑠にはもう見慣れたものだ⋯⋯。
「⋯それにしても⋯⋯」
なんで善一くんは私を避け始めたのだろうか。
私が善一くんを気に障るようなことを無意識に言ったのかそれとも妙な噂でも吹き込まれたか⋯⋯。
「それとも⋯⋯」
よくある善一くんの変な勘違いで起こしただけのことかもしれない。
「っ⋯⋯もしかしてっ⋯⋯!」
善一くんが考えた新たないじめだろうか?
だとしたら完璧すぎる。
今までの善一くんからは考えられないまともで最もダメージのあるイジメだ。
「ひ、姫乃ちゃん? 大丈夫?」
「いつもの熟考が始まっただけでしょ?」
うぅ⋯⋯考えれば考えるほど頭が痛い⋯⋯。
早く善一くんと話したい、触れたい、いや側にいるだけでもいい⋯⋯。
————————————————————————
応援コメントでNTRか?とかあってめちゃ笑いました。
そうする気はサラサラないんですが、そのコメントを見て、ありだな〜なんて考えてしまいました。まあ、しないんですけど。
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