第四十一話 There's truth in your lie

{篠崎さんの目ってどうして碧いの?}


 彼女の目が碧いのは、初めて会った時から気が付いていたはずなのになぜ今まで疑問を持たなかったのだろう。


「それは、生まれつきです」


{でも、篠崎さん日本人だよね?}


「・・・・」


{じゃあさ。どうして俺の目も篠崎さんと同じ碧色なの?}


 そう俺が言うと、篠崎さんは驚いた様子で、


「どうして・・・・」


 とそう呟いた。


 その、「どうして」の言葉の意味は、どういう意味なのだろうか。


「一ノ瀬さん。今は何もあなたに言えません」


{今は?ならいつなら教えてくれるの?}


「それは・・・・」


{いや、やっぱりいい}


 正直、これ以上篠崎さんを詰めても仕方がないだろう。


 きっと彼女は何も答えないだろうし、俺も疲れてしまった。


 文字を打つのに。


「ごめんなさい」

 

 篠崎さんは、悲しそうに最後にそう言った。


 そのあと、俺たちは蓮の別荘に戻った。


 帰り道、俺達の間に会話は一言もなかった。



「おかえりー」


 別荘に帰ると、唯がリビングにいた。


{ただいま}


「ただいま帰りました」


「仲直りは・・・できなかったみたいだね」


唯が俺にだけ聞こえるように言ってくる。


{どうだろう。良くなったかもしれないし、より悪くなったかもしれない}


「どういうこと?」


{俺にもわからん}


 結局、この旅行で得られたことはあったのだろうか。



「なぁ、そろそろいいんじゃないか?」


 俺が遅めの夕飯を食べ終わって食器を洗っていると、リビングに戻ってきた皆に杉山が言った。


「そうだね、あんまり遅くなっても危ないし」


「緊張するよー」


「まぁ、私は余裕だけどね」


「えー、さっきまで怖がってなかったー?」


「そんなことないわよ!」


 何やら盛り上がっている。


{何の話をしているんだ?}


 俺が聞くと、


「あぁ、実はな昼間みんなで話し合って夏らしいことをしようとなった結果、肝試しをすることになったんだ」


{肝試し?}


「うん。昼間この近くの森の中にある神社に紙を置いてきたから、それを各ペアで取りに行くんだよ」


(えぇ)


 正直全く行きたくない。そんな気分ではないのだ。


「もし、凛が体調治ったらみんなでやろうっていってたんだ」


(うっ!)


 そういうことを言われると弱い。


{わかったよ}


「よっしゃあ」








「それじゃあ、ペアは決まったな」


 みんなでくじ引きをした結果。


 俺と蓮、美鈴と阿久津君、唯と篠崎さん、そして杉山と委員長というペアになった。


「じゃあ、最初は凛と蓮ね。いってらっしゃい」


 みんなに見送られ、俺たちは目的地である神社に向かう。


 なぜ、ただでさえ乗り気になれない肝試しを男二人でやっているのだろうか。


「あはは、僕とペアになっちゃったね」


{まぁ、変に気を使わなくていいからいいんだけど}


「あ、そうだ。凛には言っておくけど、僕美鈴と別れたんだ」


 しばらくの沈黙が流れる。


「あ。ここに来るんだったら虫よけスプレーしておけばよかったね」


{は?なんて言った?}


「だから、虫よけスプレーしておけばよかったねって」


{それじゃねぇよ。わかんだろ}


「はは。美鈴と別れたんだよ」


{いつ}


「昨日の夜二人で散歩した時」


{お前から振ったのか?}


「いや、美鈴から言われて僕が承諾した。まぁ、どのみち僕も言うつもりだったんだけどね」


{なんでだよ}


「けじめをつけるためだよ」


{なんの}


「僕達の関係のだよ」


{関係?}


「僕はさ、最初から美鈴の事を好きじゃなかったんだよ」


{はい?}









作者からの一言


おはようございます。

十月に入りましたね。

時間がたつのが早くて嫌になってしまいます、

また、忙しくなってきたので投稿頻度が落ちてしまうかもしれませんがご容赦ください。

                        黒崎灰炉


























 


 


 

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