第三十九話 晒される碧い真実
その日の夜。
「くらえ!ワイルドドロー4」
「チャレンジ!手札のカードを見せなさい。他に出せるカードがあるのに、そのカードを使っていたらそっちが、四枚引くのよ」
「いいだろう。見よ!この俺の手札を」
「出せるカードあるじゃない!」
「くそぉぉぉぉぉぉぉ」
夕飯のカレーを食べた後、俺たちは皆でUNOをしていた。
UNOでは、その地域ごとにローカルルールというのが存在するが、それらは公式のルールと異なることが多いらしい。
「俺五連敗だー」
「昼間のバレーもあわせたら六連敗ね」
「負けっぱなしじゃねえか」
笑いが起こる。
こういう時にやる、ゲームの盛り上がり方は異常である。
時刻が八時を回り始めたころ、ゲームもそこそこにそれぞれ思い思いの時間を過ごすことになり、俺は先ほど使っていた食器の洗い物に行くことにした。
(さて、チャンスがあるとしたら夜か)
篠崎さんと話し合うチャンスがあるとしたら、夜くらいしかない。
昼間は皆で遊ぶし、そもそも二人きりにならなければいけない。
なんて話しかけるか考えながら、洗い物を終えリビングに戻ると、委員長がリビングでスマホをいじっていた。
「あ、一ノ瀬君、もしかして洗い物やってくれてた?」
{うん、全部洗っといたよ}
「ごめんね、声かけてくれたらよかったのに」
{いいよ、一人でできる量だし}
「ありがとう」
{他のみんなは?}
「うーんと・・・・」
どうやら、残りのみんなはそれぞれペアになって散歩に行ってしまったらしい。
おそらく、唯と杉山、蓮と美鈴、そして阿久津君と篠崎さんのペアだろう。
まぁ、考えることはみんな同じという事なのだろうが、全員一気に行ってしまったら、委員長が一人になってしまうのが分からないのだろうか。
だが、またタイミングを失ってしまった。
「あの、ありがとう。今日誘ってくれて、すごく仲がいいって訳じゃなかったのに」
{いや、俺たちも委員長が来てくれて楽しいよ}
「そっか」
{委員長こそ、変に気を使ったりしなくていいからね}
「全然気なんか使って無いよ。むしろ、いつもよりはっちゃけさせてもらってる」
{学校では委員長やってるもんね}
「まぁ、委員長だからね」
そう言って笑い合う。
{あ、委員長ちょっとごめん}
俺は、委員長にそう伝え自分のバックから交換用のコンタクトを持ってくる。
結構長い時間ずっとつけっぱなしでいい高性能なコンタクトなのだが、交換時期が来ると目に感じる違和感がすごいことになる。
「一ノ瀬君コンタクトしてたんだね」
{うん。目が悪いわけじゃないんだけど}
まきなさんに、自分で変えるなと言われているのだが今はいないのでしょうがない。
さっそく自分で取り換えようとするのだが、今まで自分でやったことがないのでなかなかスムーズに取り換えられないでいた。
「一ノ瀬君。私がやってあげようか?」
見るに見かねた委員長が言ってきた。
{いや、さすがに}
「でも、さっきから全然つけられてないよ」
{お願いします}
同級生の女の子にコンタクトレンズを変えてもらうのは非常に恥ずかしい。
だが、委員長は慣れた手つきでコンタクトを変えてくれた。
やったことがないのでわからないのだが、人のコンタクトを変えるのってそんなに簡単なのだろうか。自分でやるのすら難しいのに。
とにかく、早く自分でできるようになる必要がある。
「はい。できたよ」
{ありがとう委員長}
「一ノ瀬君の目って綺麗だね」
{そう?}
「うん。いままで気が付かなかったけど、、、」
「一ノ瀬君の目って碧いんだね」
作者からの一言
おはようございます。
最近、一日のPV数が1000を超えるようになりました。
以前まで何日もかかっていたのが一日で届くようになるのは、すごいですね。
今日の話を書いていて感じたのですが、基本的に物語の設定や構成は前もって考えているんですが、今日の話はちょっと浅かったなと反省しました。
黒崎灰炉
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