第三十七話 NaClO+2HCl→Cl2+NaCl+H2O

「みんな着いたよ」


 蓮の家から車を走らせること一時間半。俺たちは、蓮の家の別荘に到着した。


 俺たちが住んでいる都会と比べて、自然が綺麗なところだ。


「みてみてー、海が見える!」


「近くに、ビーチもあるから後で行ってみようか」


 俺たちは自分たちの荷物を車からだし、蓮の別荘に運び込んだ。


 蓮の家程は大きくないが、それでも普通の一軒家よりはだいぶ大きい家だった。


「それじゃあ、男子はこっちの部屋を使うから、女子は奥の部屋使って」


 蓮が、俺たちが使う部屋に案内してくれたので荷物を運びこむ。


「へぇー、結構きれいなんだな」


 俺たちはいったん自分たちの荷物を部屋に置き、再びリビングに集まる。


 女性陣も集まったところで、今後の予定を話し合うことにした。


「さて、これからどうしようか」


「とりあえず、もうそろそろお昼だからご飯食べない?」


「そうね、とりあえず遊ぶのは午後からにしましょうか」


「じゃあ、みんなで飯作るか」


「わかった、じゃあとりあえず買い出しからだね。この近くに、スーパーとかコンビニがあるから行こうか」


 話し合いの結果、メニューはチャーハンになった。


 皆で買い出しに行き、材料を買ってくる。ついでに、夜作る予定のカレーの材料も買うことになった。


 



「それじゃあ、作るかー」

 

 買い出しから戻った俺たちは、さっそく調理に取り掛かることになった。


「で、誰が作るの?キッチンに全員は入れないわよ?」


「なら、私が作りましょうか?」


 篠崎さんが言う。


「いいじゃん。ふーちゃん料理上手だし」


「でも、一人はちょっとね」


「じゃあ、凛いけよ。お前自炊してるから料理なれてるだろ?」


「そうだね、凛も料理上手だよね」


 と、二人が俺にふってくる。


{え、俺?}


「いいじゃん。私りんりんのごはん食べてみたい!」


 確かに、自炊歴は長いし料理も苦手ではないのだが、そこじゃない。


 おそらく、ここにいるほとんどの人が俺と篠崎さんの事を知っているから多少気を利かせられているのだろう。


 しかし、確かに俺はこの旅行には篠崎さんとの蟠り解消を目的としてきている部分もある。というか、そっちがメインだ。チャンスは積極的に使うべきだろう。


{分かったよ}


「じゃあ、決まりね」


「あの、僕も手伝っていいかな?」


 そういったのは阿久津君だった。


「それは全然いいけど、阿久津君料理できたの?」


「うん。兄弟にたまに作っているから」


「そっか、じゃあお願いしようかな」


「三人でくらいで大丈夫かな?」


「大丈夫だと思います」


「そっか、じゃあ僕たちは念のため、お風呂とかトイレとかの掃除して待ってようか」


 そう言って、他のメンバーは掃除に行ってしまった。


「・・・・」


 しばしの沈黙。


 今、最も一緒にいてはいけない三人である


 混ぜるな危険。


 地獄みたいな空気が流れる。


「じゃあ・・・つくろうか」


「そうですね」


 とりあえず、俺たちはキッチンに向かった。





作者からの一言


おはようございます。

この話を書き始めてみて思ったのですが、この旅行編はなんとなくですが長くなりそうな気がします。だれないように気を付けます。

本当はテンポがよい方が読みやすいのはわかっているんですが、そうすると話が薄くなりそうで嫌なんですよね。


気が付いた方もいるかもしれませんが、三十七話目にして段落を使い始めました。

使い方あっているかわかりませんが。


                       黒崎灰炉











 







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