第十五話 勉強合宿二日目
「現代文の範囲ってどこまでだっけ!?」
「誰か英語のここ、なんて訳すか教えて!?」
「この式の答え分かる人いない?」
勉強合宿二日目、俺たちは朝食を終えた八時半から勉強をしていた。
「現代文は、23ページまでだよ」
{それは、「~を可能にさせる」っていう意味}
「そこは、4√2です」
大人数で勉強することのメリットは、それぞれが得意な教科を教えられるという事。
「なぁ、休憩まだぁ?」
「新之助君、あと三十分でお昼だから頑張ろう!」
「もう、無理ぃぃぃぃぃぃぃ」
デメリットは、騒がしい事である。
だが朝から休憩なしで勉強しているため、確かにちょっと疲れた。
そこからお昼休憩を挟み、勉強合宿二日目午後の部へと突入した。
やっと最終章である。
「あれ、古文の範囲ってどこまでだっけ?」
「変域のt>=-1ってなんで-1になるんだっけ?」
相変わらず賑やかである。
(俺も自分の勉強しよ)
そう思い、教科書を開こうとすると、
「あの、凛、教えてほしいところがあるんだけど...」
そう言って美鈴が声をかけてきた。
美鈴が俺に質問だと??
こんな不可解な現象の原因として、思い当たるのはあいつしかいない。
俺が蓮の方を見ると、蓮がこちらにはにかんできていた。
今日も今日とて素敵な笑顔がだが、今はそんなことはどうでもいい。
{蓮に聞いた方がいいんじゃない?}
「聞いたわよ。でも、わからないから凛に教えてもらえって」
そんなわけあるかい。
入学式で入学生代表を務めて、あのエリートしか入れない生徒会に入っているあの蓮が分からないはずがない。
確かに俺は、一部の教科は蓮よりもいい点数を取ることがある。だが、だからと言って蓮が分からないとは考えずらい。
やりやがりましたねぇ。
「それで、教えてくれるの?」
まぁ、そのためにみんなで集まっているから、別にいいのだが
{どこが分かんないの?}
「ここなんだけど、、、」
そうして、二、三問美鈴の質問に答えたところで
「わかった、ありがとう」
そう言って、蓮の隣に戻っていった。
美鈴と話さなくなってからどのくらいの年月がたっただろうか。
一時期まったく口を利かなかった時から比べたら、少しは話すようになったのかもしれない。
しかし、昔のように戻るにはまだまだ時間がかかりそうだった。
というか戻れるのだろうか。
だが、蓮としても彼女と友達が仲悪いというのは居心地が悪いのだろう。
そんな蓮の気持ちを汲んでやりたいのだが、別に俺も好きで仲悪くしているわけではない。
すると、
「一ノ瀬さん、分からないところありませんか?」
と、篠崎さんが俺の隣に来て聞いてきた。
{いや、今のところはないけど}
「そうですか」
そう言って、そのまま自分の勉強を始める。
どうしたのだろうか。
「ねぇ、りんりん、ここ教えて~」
そう唯に呼ばれたので、唯の隣まで行って、分からないところを教える。
「なるほど。じゃあここは?」
そう言って教えている時、ふと視線を感じ、見ると篠崎さんと目が合った。
(どうかしたのかな?)
「ねぇ、りんりん、ここは?」
そう唯に言われたので、また教え始める。
しばらく教えていると、また篠崎さんと目が合う。
そんなやり取りを数回繰り返した時
「ありがとう!よくわかった」
そう唯が言った。
{どういたしまして}
そういって、俺は自分の場所に戻った。
すると、
「一ノ瀬さん、私にも勉強教えてください」
と、篠崎さんが言ってきた。
{え、篠崎さん分からないころあるの?}
「はい。この問題の答えを見てもらってもいいですか」
そう言って、問題を見せてくる
{全問合ってるけど}
昨日も篠崎さんに勉強を教え合った(ほとんど俺が教えてもらった)のだが、篠崎さんは、ほとんど間違えがなかった。
「なら、ここの問題はどうですか?」
{いや、こっちも合ってるけど}
「なら、どこか間違っているところとかないですか?」
{ちょっと待って、篠崎さんほとんど間違ってないし、俺が教える必要ないんじゃない?}
「私には教えてくれないんですか?」
{いや、教えないとかじゃなくて、その必要がないというか}
篠崎さんが残念そうにしている。
そんなに、教えてほしいのだろうか?
{じゃあ、ここを篠崎さんに教えてほしいんだけど}
今度は逆に、俺が聞いてみることにした。
「一ノ瀬さん、分からない問題があるんですか?」
篠崎さんの顔が明るくなる。
まぁ、あるというか、ないというか
{ここを教えてほしいんだけど}
「ここはですね、、、」
そう言って、篠崎さんは問題を教え始めてくれた。
「だから、この問題はこれが答えです」
篠崎さんが、得意げに教えてくれる。
{ありがとう}
「他は何かありますか?」
{えっと、じゃあここの問題を、、、}
「ここはですね、、、」
篠崎さんは、とても楽しそうに教えてくれた。
そうこうしていると、
「みんなもういい時間だから、そろそろ終わりにしようか」
そう蓮が言った。
時刻は六時。
明日は学校があるので、そろそろ俺たちは帰らなければいけない。
みんなで帰る支度をはじめる。
「じゃあ、そろそろ帰りますか~」
杉山が言いったので、みんなで玄関に向かう。
「みんな誘ってくれてありがとう」
唯がそう言うと、
「うん。僕たちも楽しかったよ」
「ぜひ、また一緒に勉強会しましょう」
と、蓮と篠崎さんがお見送りしてくれた。
{篠崎さん、また明日ね}
「はい、一ノ瀬さん。また明日」
そう言って俺たちは、それぞれの帰路に就く。
たまには、こういうのも悪くないと思った。
作者からの一言
おはようございます。
皆さんは勉強好きですか?
自分はそこまで嫌いではないです。
別に成績が特別良かったわけでもないですが。
机に向かうことだけが勉強だとは思いませんし、それだけが大切だとも全く思いませんが、机に向かって勉強する時間も必要ですよね。
最近、PVやフォロー数が伸びてきていて嬉しいです。
星も10を超えました。ありがとうございます!
とりあえず今は、星50が目標です!
星、ハート、フォロー、感想なんでもお待ちしております。
黒崎灰炉
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