これが本当の悪夢
教室に入った瞬間俺は憐れむような目で見られた。
違うぞー、俺は自分の意思で照屋さんといるんだからなー? 絶対昨日のこと引きづってるだろこいつら。
照屋さんも気にしてないと言うか、あれは気にする余裕が無いのか。なんで俺が哀れみの目で見られてるか分かったわ。昨日のこともあるだろうけど照屋さん俺の事凄い睨んでたわ。心の声のおかげで気づかなかったけど、怖っ。けどこれはこれで美人だな。
「追加してあげたわよ」
そう言って俺にスマホが帰ってくる。照屋さん今は不味いって。また哀れみの目で見られてるもん俺。美少女と絡めて哀れに思われるって有り得るのかよ。有り得たわ。
「ありがとう」
少し大きな声で言っておく。これで少しでも勘違いが無くなるといいんだけどな。
また哀れみの目で見られたわ。なんでやねん。
席に着くなり俺はうつ伏せで寝る。なんか精神的に疲れたわ。照屋さんがいる限り響平も来ないだろうし、こんな短時間で深い眠りにはつけないだろうからチャイムくんが起こしてくれる。
おやすーースマホが震えた。恐らく誰かからのメール。あーどうしよ、気になって眠れねぇ。てかタイミング的に照屋さんか。そう思い一度起き上がりスマホを確認する。
響平「昼食時説明求。これは命令であり拒否権はない」
......照屋さんじゃねぇのかよ! 期待させんなよ! 照屋さんならともかくお前に眠りを妨げられたと思ったら急に腹たってきたわ。
くそっ、はぁ、どうしようか。既読つけたしなんか返さないとまずいよなぁ。
弘「おやすみ」
これでいいだろ。夢の住人が俺を読んでるんだ。もうだめだ。おやすーーまたスマホが震えた。......通知OFFにしとこ。
今度こそ行ってきます(おやすみ)。
んー? どこだここ。あー、これ夢か。明晰夢か。人目見て気づいた。だって現実じゃありえない光景だったから。正直かなり失礼だが照屋さんが笑顔でクラスメイトに囲まれて楽しそうに話していたのだ。さらに面白いのが何故か響平だけすみっこでしゃがんで不幸のオーラ的なものを出している。
照屋さんの方へ行くか迷ったが響平の方へ向かう。理由は単純面白そうだから。
「おい響平。お前何すみっ○ぐらししてんだよ」
「照屋さんに振られた」
え? 俺の夢の中でお前照屋さんのこと好きなの? しかも告白までしてるのかよ。現実世界との違いに思わず笑いそうになるが耐える。
「そ、そうか。まぁ元気出せよ。ほら可愛い猫あげるから」
ここは俺の夢の世界だ。だから手元に猫を出すなんてお手の物だ。
「ばか〜」
「ぶっ、ちょ、待って今ーー」
「あぁぁぁぁぁぁ、猫まで俺の事を馬鹿にするぅぅぅ」
そう、猫が喋った。ばかと猫が喋った。こんなふうな鳴き声を想像した覚えはないけど夢なんだからなんでもありだ。
そして響平は涙を流しながらコツコツと足音を鳴らして早歩きで教室から出ようとドアへ向かう。走れよと思ったが足元を見ると何故かハイヒールを履いていた。ほんとになにやってんのお前。そりゃ振られるわ。学校にハイヒール履いてくるやつに告白されて頷くわけが無い。歩きにくそうだし。
やっとドアにたどり着いた響平はドアを横にスライドし出ていこうとするが、スライドしたことによって出来たドアが倒れないようにするためのスライドする場所? でハイヒールの後ろの部分がはまり転ぶーーと思ったら響平の腕がペンギンみたいになってパタパタしながら飛んで行った。
俺の感想は一つだけだ。
「あいつ何やってんの? せめて飛べる鳥の羽にしろよ。てかツッコミどころ多すぎて逆に冷静にーーいや、これ違うな、もうあいつが怖すぎて冷静なんだわ」
俺が響平に話しかけたことを後悔しながら照屋さんに話しかけようとクラスのみんなに混ざろうとしたところでチャイムがなり目が覚めた。
俺は素早くスマホを取り出し響平にメッセージを送る。おいふざけんなお前寝るな! と来ていたがどうでもいい。
弘「悩みがあるなら聞くぞ。あとペンギンは空飛べないし学校にハイヒール履いてくるのはやめとけ。俺はお前がどんな趣味だろうがもちろん友達だが流石に引くぞ」
俺はメッセージを送ったことに満足しもう一度眠りに入ろうとして先生に怒られるのだった。
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