メール

 響平のせいでHRで怒られてしまったが無事一限目の授業が終わった。

 流れるような動作でスマホを取り出すとメッセージが来ていた。響平から......のはどうでも良くて照屋さんから来ていた。しかも連絡先交換してすぐじゃん! 響平......お前、またしてもやってくれたな。(響平は悪くありません)

 くっ、響平の趣味(夢)に頭が引っ張られて照屋さんのメールに気が付かなかったなんて......くそっ、響平め。

 一限目の授業は歴史と好きな教科だったので集中していて照屋さんの方を向かなかったので、メールのことを気にしていないか照屋さんの方をバレないように見てみる。心の声を聞いてもいいが普通に顔が見たかった。聞くとしても顔を見てからでも遅くないし。

 ......ん? あれ、なーんか照屋さん泣きそうになってない!? えっ? よく見ないと気が付かなそうだが(バレないようにと思いつつガッツリ見た)なんかすごい泣きそうじゃない!? もしかして俺がメール返さなかったから? いやいや、そもそも既読ついてないと思うし、気づいてないって思うだろうからそんなわけないか? んー、わからん。心の声聞くのが一番早いわ。


【やっぱり連絡先交換してすぐあんなメールしたのが気持ち悪かったのかな......ほんとはあんなメール送るつもりじゃなかったんだよ! でも、手が滑っちゃって......うぅ、しかも既読ついてるのにずっと返信来ないし......どうしよう、時津くんに嫌われたら生きていけないよ。もう一回メールしてみようかな? でもそれでほんとに嫌われたら......】


 は? 既読ついてる? まてまて、まだ俺はメールの内容すら見てないぞ。

 ツッコミどころは多いけど取り敢えずメール返信しないと。

 そもそもあんなメールってどんなだよ。俺は急いで照屋さんからのメールを開く。


玲羅「時津くんと連絡先が交換できて幸せです。これからよろしくお願いします」


 仮にこれを心の声が聞こえなかった時の俺が読んでたらどう思ったんだろうか。気持ち悪いとは思わないだろうな。でも不気味には思ったかもしれない。いつも睨んでくる照屋さんがこんなメール送ってくるなんて何を企んでいるんだ!? って絶対なってると思う。

 心の声が聞こえるまで照屋さんの気持ちに......いや、あれは分かれって言う方が無茶だわ。

 

弘「俺も玲羅さんと連絡先が交換できて幸せだと思ってます。返信が遅れたのは普通に気が付きませんでした。ごめんなさい。あとこちらこそよろしくお願いします」


 何となくメールだし照屋さんのメールの名前が下の名前だったのでそっちでメールを送ってみた。今度こそバレないようにこっそり照屋さんの方を見てみるとメールの音がなった瞬間スマホを取り出しメールを確認していた。こっそり見ていただけなので分からないが照屋さん頬がほんのり赤い気がする。勘違いじゃなければ嬉しい。表情は相変わらずだが。


【時津くんも私と連絡先交換できて幸せって思ってくれてる!? しかも玲羅って名前で......どうしよう、私も弘くんってよんだほうがいいかな? 弘くん......弘くん......呼びたいけど恥ずかしいよ......でも名前で呼んでくれるってことは時津、ううん、弘くんもやっぱり私の事好きなんだよね!? 少なくとも好意は持ってくれてるってことだよね】


 うん、ここまで聞いて俺は急激にさっき送ったメールが恥ずかしくなってきていた。さっきまでは照屋さんが泣きそうだから早く返信しないと! と必死だったから恥ずかしくなかっただけでシラフに戻ると死にたくなってきた。

 まずいと思い俺は響平のメールを開く。


響平「は? 訳分からないこと書いて逃れようたってそうはいかねぇぞ? 昼食の時説明してもらうからな!」

弘「......そうか、まぁできる限り説明するから昨日のことは忘れようぜ。俺もお前の趣味のこと忘れるからさ」


 これでwin-winの関係だな。響平は昨日のことを忘れ水に流す。そして俺は響平の趣味のことを忘れる。完璧すぎるぜ。

 おっ、響平からメールだ。早いな。


響平「昨日の事を忘れるのはともかく、俺の趣味ってなんだよ!?」

弘「大丈夫だ。もう忘れたから」

響平「だから何の話だよ!?」

弘「じゃあもう授業始まるから」

響平「おいーー」


 なんかメールが来てた気もするけど授業始まるしな。うん。俺は優等生だから授業中はスマホの通知を切ってカバンにしまっておかないとな。

 俺は優等生だから。大事な事だから二回考えといたぜ。

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