登校
あー、起きちまったかぁ......目覚ましセットしてなかったんだけどなぁ。起きちまったら学校サボる罪悪感がなぁ......今日はほんとに行きたくないなぁ。
南那と会うことはないだろうけど響平がめんどくさい。いや、俺が悪いんだけど面倒だわ。てかよく考えたら振ってたとはいえ俺コーラあげたんだぞ! 怒られる筋合いが無い! そう考えたら急に胸が軽くなった気がする。学校行こ。
「行ってきまーす」
普段は言わないが何となくテンションが上がったのでそう言い学校に行く。
お! 響平発見。......隠れよ。
別にビビってる訳では無い。コーラあげたし、もう響平は怒ってないと思う。うん。コーラあげたし。いやいやいや、俺コーラにどんだけ絶対の自信もってるんだよ! ん? あれ? 響平が校門の前で腕を組み出したんだが? 俺の事捕まえようとしてる? 不味くない? いや、俺を待ってるとは限らないしな。
俺が現実逃避をしているとスマホが震えだす。響平から電話がかかってきてしまった。
「も、もしもし?」
「いるのは分かっている。大人しく出てこい」
「なんで俺が事件の犯人みたいになってるんだよ!」
「オデ、オマエ、ユルザナイ」
「ホラーとかサスペンス系の漫画に居そうなキャラやめろや!」
勢いで通話を切る。
どうしよ。待て、よく考えたら響平はほんとに怒ってるのか? 俺をビビらせようとしてるだけなんじゃないか? よしお前の心の声を聞かせてもらおうか。
【弘は許さん。俺を見捨てやがって。逆の立場だったら俺は助けたぞ! まぁ、理由ぐらいは聞いてやろう理由を聞いてショーもなかったらボコボコにする。コーラもかけてきたし許さん。ユルサナイ。まぁ、ボコボコにまではしないが、許さん】
......あいつ心狭ない? 見捨てたって言ってもお前自分一人でどうにかなるじゃん。俺の方が弱いの知ってるじゃん。むしろ足でまといが出しゃばるよりいいと思うんだが。これ俺が悪いのかな? あれ? なんか俺が悪い気がしてきたんだが。冷静に考えれば友達を見捨てるって最低だな。
んー、でも響平じゃなかったら助けた自信あるんだよなぁ。なにか出来たかは別として。
でもお詫びにコーラあげたしなぁ。てかコーラかけてはないだろ。事故で通せそうだな。俺走ってたし。コーラが揺れないようにしてたけど揺れてたみたいで通せそうだな。
じゃあ逃げた理由はなんだよ。ダメだな。素直に謝るか? んー、でもなんかちょっと楽しいんだよな。逃げてみたいって気持ちもあるんだよな。
「何をこそこそしているのかしら?」
「うわぁ!」
「何をコソコソしながら間抜けな声を晒しているのかしら?」
「間抜けな声晒したのは照屋さんのせいだろ!」
単純にいきなり後ろから話しかけられてびっくりしたってのもあるけど照屋さんの方から話しかけてくるなんて珍しくて正直びっくりしたってのもある。
心の声を聞きたいけど今聞いたら響平のことを冷静に考えられなくなりそうだな。
あ、そう言えば響平、照屋さんのこと苦手だったよな。照屋さんと一緒に登校したら響平に絡まれない! そして俺個人としても照屋さんと一緒に登校したい。響平! お前ってやつはこんな時まで俺の背中を押してくれるのか!
「照屋さん、ここから一緒に学校行きません?」
「え? あなたなんかが私と?」
落ち着け。大体心の声は予想できる。てかここで断られたら俺響平にやられちゃうよ。
「はい、俺なんかが照屋さんと一緒に学校に行きたいです」
「そう、そこまで言うのなら特別に、一緒に行ってあげるわ」
よし、これなら響平から逃げられるぞ。
「何をちんたらしているのかしら、早く行くわよ」
なるべく照屋さんに近づいて歩く。かなり目立ってるが仕方ない。照屋さんも何も言わないし大丈夫なんだろう。
響平が俺に気づいて近づこうとするが横の照屋さんを見て固まる。俺は笑顔で堂々と学校に入る。
......これ俺の首しめてね? 後で絶対聞かれるぞ。やばい。素直に謝っとけば良かった。今更後悔しても遅いけど。メールで取り敢えず謝っとこ。
「せっかく私が一緒に登校してあげているのに何スマホをいじってるの?」
「いや、これは......」
こんな時こそ出番だ。心の声を聞かせろ。
【時津くんもしかして私と登校するのつまんない? 確かにずっと無言だったけど話題が......映画! 映画の話だ!】
「時津くん、昨日の話の続きだけどこの映画とかどうかな?」
首を小さく傾げる照屋さん。急に可愛くなるじゃん。さっきまでのどうした? 急に可愛くなるじゃん。大事な事だから2回考えたわ。
「照屋さんが選んだやつならなんでも」
「そ、そう」
ん? もしかして俺今恥ずかしいこと言った? 正直映画とかわかんないから多分昨日調べたと思う照屋さんの言う映画ならいいと思っただけであって深い意味はないはず。
「あなたはいつでも暇そうだからともかく、私は今度の日曜日なら空いてるわよ」
「じゃあ日曜日でお願いします」
【今よ、私。時津くんの連絡先を聞くのよ! 今しかない。自然に聞けるのは今しかない!】
「あなたは鈍臭いし会えなかったら困るから連絡先を教えなさいよ」
「どぞ」
照屋さんの心の声を聞いた瞬間から連絡先をすぐに出せるようにしておいたのだ。
用意が良すぎて照屋さんも驚いてるようだけど......
【は、早すぎない!? 時津くんも私に連絡先を教えようとしてたのかな? あとちょっと待ってたら時津くんから言ってくれて、時津くんの気持ちもわかったのに!】
そんなことを考えながらもちゃんと俺の連絡先を登録する照屋さんを見ていると教室に着いた。
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