(348)愛車

 僕の愛車の調子が悪い。


 まあ、今に始まった訳ではなく、何度も色んな修理をしてきた訳だが、それでも大切に乗って来た訳で。


 だけど、老化に勝てない僕の肉体と同じく、愛車も老朽化には勝てない様で、あちこちガタが来ているのが現実な訳で。


 じゃあ、車を買い換えればいいかというと、それもなかなかしんどいところがある。


 それは僕が個人事業主だからだ。


 個人事業主というのはローンの審査が通り難い。


 通るとしても、金利が高くなったりする事もある。


 それが嫌なので、今の愛車も中古車を現金一括払いで購入した訳で。


 また現金一括払いで車を買える余裕があればいいのだが、コロナ禍以降は業績がガタ落ちで、1000万近いコロナ融資を受けるハメにもなった。


 毎月の返済だけで15万円近く引き落とされるし、それだけでもしんどいのに、光熱費が上がったりガソリンが値上がりしたりで、おサイフへの影響は絶大だ。


 コロナ禍になる前は、毎月の固定費は家賃や駐車場代、車の維持費を考えても30万円くらいだった。


 それが、コロナ融資の返済や諸々の値上がりが上乗せされ、今では毎月50万円位の固定費を見込まなければならない訳で。


 業績がコロナ禍以前まで回復したとしても厳しいのに、まだそこまで回復していないという現状は、あまりにも過酷だ。


 生活費を抜いた固定費だけでサラリーマンの平均年収より高いって、個人事業主が抱えられる規模では無い気もするが、まあ、それでもやるしか無いのが現実な訳で。


 そのためには愛車のサポートがどうしても必要で、調子が悪いなんて理由で仕事を受けないなんて選択肢は無い訳で。


 そんな貧しい僕を全力でサポートしてくれる愛車には、やはり並々ならぬ愛着もあって、運転席に座っていると、何となく安心感を得る事も出来る。


 やっぱ、僕と同様に身体中キズだらけだけど、一緒に戦ってきた相棒でもあるんだよな。


 スナイパーは馴染みのライフルを相棒にすると言うけど、僕の場合は愛車が相棒でもある訳で。


 僕もたまには休養をとるし、愛車にも今日は休養をとってもらう事にするかな。


 そんな事を思う、今日の僕なのであります。

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