ことばの悦楽

（273）ワヤ

　おかしい。

　どうにもおかしい。

　業者の動きが不自然だ。

　注文した商品が「廃番になりました」というのが多すぎる。

　3月は年度末だし、新年度に向けて商品の入替えがあるのは分かる。

　が、スタンダードな商品が突然取り扱い出来なくなるなんて、いったい何が起きているんだ？

　特にネットで発注した商品にその傾向が強い。

　何となく口座確認をしてみると、不自然な入金がいくつもあり、調べて見ると、過去に引き落としされた仕入れの代金がそのまま返ってきていた。

　つまり、発注がキャンセルされたって事だ。

　…マジか。

　来週に納品しなきゃならないのに、ドタキャンだと？

　今日は木曜日。

　今日は電車で横浜に出掛けていて、今打てる手が無い。

　明日しか平日は残っていないが、明日は午後からコンサルの仕事で午前中しか動けない。

　土日は動けるが、業者は休みだ。

　…詰んだかな。

　そんな事を考えていたら、別の業者から電話があり、「先月納品分の支払いを、早めにしてほしい」との事。

　分かる。

　分かるよその気持ち。

　だけど、ウチだって大変なんだ。

　決して資金繰りが潤沢って訳では無いんだよ。

　2020年の税務調査と追徴課税に始まり、コロナ禍でコンサルが中断したり、政府の愚策で物価高や円安が止まらず、更にインボイス制度のおかげで仕事を頼める先が減少していたり…

　とにかく中小零細企業や個人事業主が死ぬほど大変なのは分かっているんだ。

　…もしや、やたらと廃番になったりする商品って、業者がリストラして商品を減らしているせいだという可能性もあるのか？

　…だとしたら、ヤバいな。

　もう、自民党の経済政策は信用出来ないな。

　元々信用なんてしてないけどな。

　とにかく、僕は僕の顧客に関係する事だけでも何とかしなくては！

　過ぎゆく時間の中で、今打てる手が無い自分が恨めしい、今の僕なのであります。