ことばの悦楽

（265）もも

　果物で何が一番好きかと問われれば、美味しい「もも」だと答える僕なのだが、「もも」みたいな「同じ音を繰り返す言葉」が他にどれだけあるのだろうかと考えてみると、母音を繰り返す「感嘆語」以外にも割と沢山あるんだなと気付いた訳で。

　擬音なども含めれば、もしかしたら50音全てが使えるのではなかろうか。

　いろはにほへと…で有名なあの歌は、50音を一度づつ使って意味を成す詩を書いたという、僕には到底が真似出来そうには無い技術が使われているのだか、「同じ音を極力連続で使う」という事なら僕にも出来るのではないかとも思えた訳で。

　まずは同じ音が続く言葉を思い付くままに羅列してみると、

「アア」「イイ」「うう」「ええ」「おお」

「母（か）かぁ」「危機」「九九」「毛ケ《けけ》」「此処」

「笹」「獅子」「煤（すす）」「世々」「粗祖」

「多々」「父」「筒」「手々」「呶々（とと）」

「奈々」「ニニ」「ヌヌ」「寧々」「野々」

「母」「ヒヒ」「フフ」「ヘヘ」「頬」

「ママ」「耳」「ムム」「メメ」「桃」

「ヤヤ」「ユユ」「ヨヨ」

「ワワ」「ンン」

　最後の方は何だか怪しい気もするが、何だかんだで50音を埋められそうだな。

　他にも同じ読み方の異義語は沢山あるだろうから、それらを駆使すれば、何か出来るのではなかろうか。

　母が嬉々として此処のママと桃を笹で巻いて「ああ、イイ…」と悶え…

　みたいな？

　いざやってみると意外と難しいものだが、時間をかければ出来なくは無さそうだ。

　などと考えてはみたものの、そんな作品のニーズがあるのかどうかは怪しいものだな。

　こんど、気が向いたらチャレンジしてみるとするかな。

　そんな事を思う、今日の僕なのであります。