(246)目
小説の中で、「鋭い眼光だ」とか「驚いた目をしている」「目が笑っていない」など、とにかく「目」を表現する文章がよく見られる。
「目は口ほどにものを言う」という言葉もある通り、「目」の表現はセリフとは別にその人物の思いを表現する事になるという事なのだろう。
しかし、小説というのは映像やイラストがある訳では無いので、その目の表現によって想像される姿は、読者によって色々だろう。
となると、コミカライズやアニメ化等が行われる作品なども、もしかしたら原作者の想像していた目とは全く別物になる事も多いのではなかろうか。
普段の生活の中でも、相手との会話は「目を見て話しなさい」などと教えられてきたが、僕はあまり相手の目を直視して話す事が出来ない。
いや、大事な話は目を見て話すのだが、それほど大事でも無い話をする時には、あえて相手の目を見て話そうとは思わない。
何故なら、それこそ「目は口ほどにものを言う」のを実感しているだけに、自分の話がツマラナイ時などの視線に耐える自信が無いからだ。
人間の目とは実に正直なもので、眼球の黒目の部分には、光の量を調節する瞳孔がある。
暗い場所では「より光を得よう」として瞳孔は開き、光が強い場所では「光の量を絞ろう」として瞳孔がキュっと閉じる訳だ。
しかし、瞳孔の性質はそれだけではなく「好きな物を見る時には瞳孔が開く」し、「嫌な物を見る時には瞳孔が狭くなる」という事も分かっている。。
昔、何かのテレビ番組でそういう実験をやっていて、全ての人が同様の結果だった事から、僕の中ではそれは「事実」として認定されている訳だ。
そして、その後興味を持って相手と話す時に目を見る様になったのだが、僕の話に、
「へ~、おもしろーい」
と言いながら、瞳孔がキュっと狭まっている女子の目を見てからと言うもの、相手の目を見るのが恐くなったという訳だ。
何とも情けない話ではあるが、だからといってその情報が役になっていない訳では無い。
取引先などの担当者の目を見る事で相手の表情が読み取れたり、相手の言葉が「自分を騙そうとしているのかどうか」なども測れる様になったのは大きな収穫でもあった。
そんな「目」にまつわる表現を、小説の中でどのように活かしていくべきか・・・
まだまだ表現手法の奥は深いな。
まるでその場に居る様な没入感を得られる作品を、いつかは書いてみたいと思う、今日の僕なのであります。
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