(245)酸

 リトマス試験紙で「酸性かアルカリ性か」を調べる実験をした事がある人も多いだろう。


 酸性のものは「酸っぱい」事が多く、アルカリ性のものは「苦くてヌルヌルしている」事が多い。


 アルカリ性食品は身体にも良いとされていて、若返り効果なども期待されている訳だ。


 色々なファンタジー作品で、強い「酸」を使った攻撃をするシーンを見かける事があるが、この「酸」というのは、他の物質に触れる事で「酸化」させる事が分かっており、「酸化した物質」は溶けて分解されてしまったりする。


 これは人間の身体の中でも起きている事で、胃袋では「胃酸」が分泌されて、食べた物を「溶かして分解する」という事が行われている訳だ。


 鉄などの物質も、「酸化する」と言えば「びる」という意味になる訳で、つまりは人間の身体が酸化してゆくのも「身体が錆びてゆく」という事でもある訳だ。


 ならば「酸」は体内に取り込まない方が良いのかというと、決してそうではない。


 むしろ「酸素」が無くては人間は窒息死してしまうし、「酸」とは切っても切り離せない訳で。


 人間の身体には無数の「菌」が活動していて、彼らは「適度な体温下」でなければ良い働きが出来ない。


 その体温を保持する為には「カロリーを燃焼」する必要があり、その燃焼の為に「酸素」が不可欠な訳だ。


 そうして人間の身体は絶妙なバランスを保ちながら新陳代謝を繰り返し、今も生きていられるという訳だ。


 そんな中でも、食べ物の中でも最強クラスに「酸性」である事で知られる「梅干し」という漬物。


 これはとても不思議な食べ物だ。


 クエン酸という「酸」を多く含んでおり、これが身体を健康にしてくれるというのだ。


 しかも梅干しを毎日食べると、身体が「アルカリ性」に近づくというのだから更に不思議だ。


 人間の身体が、強い酸性の食べ物に対抗すべく、身体をアルカリ性に整えようとする事でそうなるらしいのだが、確かに梅干し効果は実感レベルで素晴らしいと思う。


 関西出身の僕は小さな頃から梅干しを食べて育ったが、東京に居る今も梅干しが無くなると寂しくなる訳で。


 ともあれ、健康の為には「酸」が必要だし、身体が「酸化」しないようにしないといけないし、新陳代謝の為にも「酸素」は多く摂取しないといけないしで、我々は毎日を「酸」と共に生きているんだと痛感するな。


 毒にも薬にもなるこの「酸」だが、これからもバランス良く摂取していこうと、冷蔵庫の梅干しがあと一粒しかないのを見て思う、今日の僕なのであります。

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