(166)過労死で転生する主人公

 異世界転生ファンタジーもので、最初に主人公が「何らかの死に方」をする訳だが、その中で「過労死」というものがある。


 休日もほとんど無く、毎日残業が当たり前で、心身共にくたびれてしまい、やがて過労死するという「設定」な訳だな。


 僕も貧乏経営者なので、何だかんだで休日は少ない。


 そういえば今年はどれくらい休日があったんだっけな。


 というか、年内に片付けたい仕事がまだまだ残っているんだが。


 なんて事を考えながらカレンダーを見ると、既に10月30日。


 早いもので間もなく10月も終わりを迎え、年末まで残り2か月しかない。


 まだ年末について語るには早すぎる気もするが、つい先日「もう9月も終わりか~」と言っていたと思ったら、もう「10月も終わりか~」と言っている訳で。


 となると、あっという間に「もう年末か~」という事になるのは目に見えている。


 10月は何だかんだと仕事で忙しくしていたし、11月もそれなりに忙しくなる予定で、どんどん平日の予定は埋まってゆく訳で。


 11月になると、土日の休みが8日間と祝日が2日あるので、計10日間の休みがある。


 つまり平日は20日間しか無い訳で、仕事量を考えると、むしろ20日無いんだなと感じる訳で。


 12月には祝日は無いが年末休暇があるので、土日を合わせて11日間が休みだと仮定すると、やはり平日は20日間しか無い。


 つまり、年末まで残り40日しか、仕事をできる日が無い訳だ。


 今年の場合、1月から12月末までの平日数を数えてみると、年始休暇と夏休みを1週間ずつと仮定すれば、およそ240日ある計算になる。


 つまり休日出勤をした日を除けば、一年間に365日あるうちの240日しか仕事をしていない訳だ。


 ホワイトな会社で働いている人は、いわば1年間の3日に1日は休暇があるという計算になる。


 学生などは、テスト休みや夏休み、冬休みに春休みと、何だかんだで180日くらいの休みがあるので、1年間の半分が休みだと言っても過言では無い。


 なるほど、つまりは「適切な働く日数」というのは、3日に2日程度という感じな訳だ。


 仮に「土曜日は仕事があるんだよ」という場合、1年間に52週間ある訳だから、ここから50日程度足すと、年間の仕事日は290日という事になる。


 つまり「5日に4日は働いている」という事か。


 総務省の統計から過労死の事案について調べてみると、だいたいこれくらいの日数を働いている人くらいから過労死が起こりだす様だ。


 となると、個人差はあるだろうが、人間というのは5日に4日働くのがほぼ限界という事なのだろうな。


 では僕はどうかというと、年間で約320日間仕事をしている事が分かった。


 つまり、過労死が起こってもおかしくないレベルという事だ。


 でも、僕は過労死してもおかしくない程の満身創痍なんて年間で数日しか感じていないし、仕事のストレスもそれほど大きくはない。


 となると、物語に出てくる「過労死する主人公」というのは、一体どれほど過酷な職場で働いているのだろうか。


 と考えた時に、結論として導き出されるのは「仕事量や時間が問題」というよりは、「嫌な仕事をしているか、やりがいのある仕事をしているか」の違いなのではと思える訳で。


 なので、「過労死する主人公」には是非、この言葉を贈りたい。


「転職しようぜ」


 ってね。


「見栄を張って贅沢をせずに、ミニマムな生活をしていれば、意外と転職できるもんだからさ」


 と付け加えておく必要があるかも知れない。


 やたらと「過労死する主人公」が物語に出てくるというのは、いわば「社会にそうした人が多くいるから」という事なのだろう。


 なので、この言葉はそうした社会人に贈る言葉と言えるかも知れないな。


 個人事業主の僕には上司が居ない。


 なので人間関係のごちゃごちゃしたストレスはほぼ皆無だ。


 個人事業主になると資金繰りは大変だが、サラリーマンだってきっと生活費の工面は大変な筈だ。


 大企業の社長か既得権益の輪の中に居る人でもない限り、「人生は楽勝」なんて人はそう多くない筈。


 だからまずは、転職して自分自身をリセットし、社会の構造を俯瞰ふかんして見てみるといいと思うんだよね。


 転職歴6回の僕が言うんだから、あまり間違っていないと思う。


 願わくば、「過労死で転生する主人公」が出てこない日本になって欲しいと願う、今日の僕なのであります。

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