(165)ハロウィン

 10月最後の週末、街には仮装した子供達の姿があちこちで見られた。


 何となく外国人の子供が多い気がするので、もしかしたらキリスト教会のイベントかも知れないな。


 都内は教会も多いし外国人も多い。


 クリスチャンも多いので、こうしたイベントを街で見かける事も珍しくは無い。


 が、やはり思うのは「いったいいつからハロウィンが日本で流行りだしたのだろう」という事だ。


 少なくとも僕が子供の頃に、日本でハロウィンイベントなんて見た事が無かった。


 高校生の頃にドイツのヘビメタバンドでハロウィンというバンドの曲が流行っていて、CDのアルバムジャケットがカボチャで作ったランタンだったので、「きっと外国では馴染みのあるものなんだろう」と思っていた位の事だ。


 そもそも僕が高校生だった頃には、インターネットは勿論、携帯電話さえ普及していなかったので、知らない情報に出会ったとしても、すぐに調べられる様な時代では無かったのだ。


 社会人になってから会社からポケベルを支給されたりしたが、ポケベルで情報を調べられる訳も無く、ハロウィンがヨーロッパのキリスト教発祥の収穫祭だと僕が知るのは、ずいぶん後になってからだった。


 なのに、今は当たり前の様にどこの街でもハロウィンイベントが行われ、渋谷では乱痴気騒ぎが繰り広げられる。


 クリスマスと同じで、いつの間にか日本に浸透し、巨大なビジネスへと波及して行った感じかも知れないな。


 そう考えると、日本人てのは昔から「酒を飲んで騒げるなら何でもアリ」って民族なのかも知れない。


 正月は新年を祝いながら騒ぎ、春には桜を見ながら騒ぎ、夏は花火を見ながら騒ぎ、秋はハロウィンで騒ぎ、冬はクリスマスで騒ぐ。


 探せば毎月何らかの祭がありそうではあるが、外国資本に乗っ取られつつある今の日本から鑑みるに、10年後には毎週どこかの国の祭が日本で行われている時代が来るのかも知れないな。


 まあ、今の政治のままでは、祭を楽しむ金も無く、僕の様な庶民は参加できないかも知れない。


 きっと、上級国民が乱痴気騒ぎしているのを、冷めた目で遠巻きに眺める事しか出来ないといった日が来るのかも知れないな。


 こんな僕だが、イベントが嫌いな訳では無い。


 ただ、どうせイベントをするなら、「彼女と出会った記念日」とか「彼女と初めて旅行した記念日」とか、気心が知れた仲間だけで共有出来る様な、毎年同じ様に楽しめる事を感謝出来る様な、そんなのがいいな。


 資本家が絡んだ訳の分からないイベントよりも、もっと「愛」がある時間を過ごせるのがいいな。


 だいたいさ〜、ハロウィンの「トリック・オア・トリート」ってのも、「お菓子をくれなきゃイタズラするぞ」だなんて、ちょっと欧米化し過ぎじゃない?


 こんな文化だから、世界が「利権をくれなきゃ攻撃するぞ」みたいな社会になってるんじゃないの?


 何ていうか、もっと「愛のある社会」に僕は生きていたい訳で。


 とりあえず今日の僕は、スーパーでハロウィンイベントには相手にされて無さそうな食材を買って、農家や漁師、酪農家の皆さんに感謝を捧げながら、美味しいご飯を食べたい気分なのですよ。


 という訳で、ちょっとスーパーに行って、寂しそうな食材を買って来ようと思う、ひねくれ者の今日の僕なのであります。


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